SS-309 Trad

2013/07/17 作成
2021/03/13 更新

3ウェイ・スピーカー・サブシステム
木製ホーン採用! 広帯域・ハイスピード・レスポンス、超Hi-FiスピーカーOverview of SS-309A
構成 使用ユニット:フォステックス T925A(ホーン・ツィーター)、フォステックス D1405+H400(ホーン・スコーカー)、フォステックス FW305 (ウーファー).
エンクロージャー方式:バスレフ方式(リアダクト).
概略仕様 周波数特性:25Hz~40kHz.
能率:108dB/W (ツィーター), 106dB/W (スコーカー), 95dB/W (ウーファー), (@1m).
寸法:402mm(W) x 752mm(H) x 352mm(D)(ウーファー部).重量:?kg(ケーブル含む).
コスト ツィーター:約5万6千円、スコーカー:約18万円、ウーファー:約4万4千円、エンクロージャー:約7万円、
合計:約35万円.
履歴 2001年製作.2012年改良(Rev.A).現在 Gaudi II で使用中.

コンセプト

本機は、Gaudi の中核コンポーネントとして製作しました。私にとっての理想的なスピーカーを具現化したものです。

30cmウーファーにホーン型のスコーカーと ツィーターを組み合わせた3ウェイスピーカーは、オーディオを始めたばかりの13~14歳の頃(1970~71年)から理想的スピーカーとして構想していました。16~17歳の頃、頻繫に秋葉原のオーディオショップやオーディオメーカーのショールームを訪ね歩くようになって、この想いはさらに強固になりました。
1974年に、このような3ウェイ・スピーカーをマルチアンプで駆動するシステムを設計し、製作に着手しました。Gaudi プロジェクトのスタートです。
このコンセプトを最初に実現したスピーカーが SS-307 です。ただ、ホーン・スコーカーはとても高価なので、フルレンジ・ユニットで代用しました。

SS-307 は設計が未熟で満足のいくものではありませんでした。そこで、基本設計はそのままに細部を改良した本機 SS-309 を製作しました。2001年のことです。
本機は満足度が高く、引き続き Gaudi II でも使用することにしました。

なお、従来は本機をスピーカー・システムと呼んでいましたが、本機にはネットワークが内蔵されていなく、マルチウェイ・スピーカーとしては不完全なので、スピーカー・サブシステムと呼ぶことにしました。

愛称とテーマ音楽

元々本機には愛称はなかったのですが、Gaudi II の要求を満たすために Rev.B へ改良する計画を立てたとき、名前を付けたくなりました。
ホーン型スピーカーは1980年代以降下火になり、今では珍しいスピーカーとなりました。そこで、伝統を意味する「Trad」という名前を思いつきました。私はレトロ趣味ではありませんが、古くても良いものであれば使い続けるつもりです。「伝統」という言葉は、古くても良いものであり、未来に残すものという意味合いがあります。

テーマ音楽は、鈴木勲の「Play Fiddle Play」としました。
私が30cmウーファーにこだわったのは、超低音までゆとりをもって再現したいと考えたからです。本機のテーマ音楽にはぜひ低音楽器をフィーチャーした楽曲を選びたいと思いました。
ベーシストがリーダーを務めるバンドは数多く存在しますが、ベースがリードする演奏はあまり聞いたことがありません。ベースが前面に出て演奏するスタイルは、私が知る限り鈴木勲しか思い当たりません。ジャコ・パストリアスがそれに近いですが、鈴木勲ほどではないと感じます。ベースは伴奏楽器であり、縁の下の力持ちとして扱われがちです。
[Play Fiddle Play (PlayFiddlePlay.mp3)]
演奏: 鈴木勲カルテット、菅野邦彦 (LP, 鈴木勲カルテット+1, Blue City, Three Blind Mice TBM-24)


ここから先は、旧ホームページ(とのちのオーディオルーム)からコピーした内容です。本機を製作した2001年から2013年のツィーターの交換までの期間における、設計、製作、調整、評価を記述しています。
現在と比べると、科学的根拠がない主張をしていたり、評価の仕方が甘かったり(当時は私自身に測定技術がなかったため)、音質評価時に思い込み(プラシーボ効果)の影響が強かったり、今ではちょっと恥ずかしい内容になっていますが、訂正せず、原文のままとしています。

その後引き続き、2021年3月以降の改良とその結果を記載します。


コンセプト(旧)

本機はSS-307の改良型です。音質の改善は当然ですが、それ以上にルックスの改善を最優先しました。
SS-307のエンクロージャーは普通のラワン合板でできていて、塗装もせず、ただワックスを塗っただけの仕上げでした。おまけに改良・改造を繰り返した結果、ジャンクのような外観になっていました。それをリビング・ルームに置いて使っていたので、カミさんからは非難ごうごうで、「こんながらくた早く捨ててくれ」といつも言われていました。リビング・ルームのインテリアにマッチするスピーカーの開発が急務でした。

SS-307の基本設計はとても良いと考えていました。Gaudiのページで述べたように、30cmウーファーをベースにした3ウェイ・スピーカーは、私にとって理想のタイプです。世の中には様々なタイプのスピーカーがありますが、私の場合考え方は単純で、重低音を出すためには大口径ウーファー、超高音を出すためにはスーパー・ツィーター、両者でカバーできない中間の帯域にはミッドレンジを使用する、と考えています。もちろん、超低音から超高音まで歪みなく再現できるフルレンジ・ユニットがあればそれを採用しますが、そのようなものは現実的に存在しないし、今後もノーベル賞級の大発明でもないかぎり登場しないと思います。

基本設計はSS-307と同じで、3ウェイのマルチ・エンクロージャー方式です。ウーファー・ボックスを床に置き、その上にミッドレンジ・ボックス、その上にツィーターを置きます。スピーカー・システムというより、各ユニットを積み上げただけとも言えます。マルチアンプ・システム専用なので、ネットワークは内蔵せず、ケーブルは各ユニットから直接引き出します。
スピーカー・ユニットに関しては、SS-307で使用していたものはどれも優秀なユニットですし、新たにユニットを購入するとコストが相当かかるので、そのまま継続して使用します。ただし、ミッドレンジに関しては、フルレンジ・ユニットで代用しているのですが、将来的にホーン型に変更することを前提とします。
フルレンジ・ユニットをミッドレンジに使用する間は、ミッドレンジ部をフルレンジでも使用できるようにします。


設計

主要部品の選定

前述のように、スピーカー・ユニットはSS-307で使用していたものをそのまま使用しました。

● ウーファー: フォステックス FW305 (30cm コーン型)
● ミッドレンジ: フォステックス 6N-FE88ES (8cm コーン型フルレンジ)
● ツィーター: フォステックス T925 (ホーン型)

FW305は優れたウーファーだと思います。軽やかな歯切れのよい低音を聴かせてくれますし、地響きのような重低音や肌で感じる風圧のような迫力のある低音も再現可能です。かなり高い周波数まで低歪みで再生するので、クロスオーバー周波数(fc)を高めにしても使えます。もしかすると、こちらのほうが同じフォステックスの上位モデルのW300Aよりも高音質かもしれません。
6N-FE88ESは私が今まで聴いたことのあるフルレンジ・ユニットの中で、最もきれいな音がします。ほとんどのフルレンジ・ユニットは高音域が質的にも量的にも満足できないのですが、このユニットはツィーターとしても使えるのではないか、と思わせるぐらい高音域が充実しています。
T925は1982年から使用している古いユニットですが、特に経年劣化を感じていなかったので、引き続き使用することにしました。

ミッドレンジ・ユニットに関しては、前述のようにこの時点ですでに将来はホーン型に換えることにしていました。また、機種もホーンはフォステックスのH400、ドライバーは同D1405にしようとほぼ決めていました。
H400を選んだ理由は、入手可能な唯一の木製ホーンだったからです。金属製のホーンはホーン自体が共振して鳴いてしまいます。この鳴きを抑えるのはかなり厄介な作業となります。またルックスはどう見ても木製のほうが格好いいので、どうしても木製がほしかったのです。ホーンを生産しているメーカー自体少ないですし、木製となると、フォステックスぐらいしかありません。それで、H400を選ぶことになったのです。このホーンはバッフルを必要とせず、ただウーファー・ボックスの上に乗せるだけで設置できるというのも、選ぶポイントとなりました。フォステックスのウッド・ホーンにはH200、H300というよりサイズの大きな製品もありましたが、本機のウーファー・ボックスに対して大きすぎるので、候補から外しました。
ドライバーのほうは1"スロートに合うものであれば何でもよいので、選択の幅は広かったのですが、やはりフォステックスの製品の中から選ぶことにしました。フォステックス製品は品質が安定して、ばらつきが少なく、安心して使えるところが好きです。候補はD1400とD1405でした。D1400はアルニコ・マグネットを使った最高級品ですが、マグネットが強力すぎて、その漏れ磁束がアナログ・プレーヤーに悪影響を及ぼすのではないかと懸念されたのと、最高級品より一つ下のランクの製品のほうが音がよい、というのはよくある話なので、廉価版のD1405を選定しました。

ケーブルもSS-307と同じものを使用しましたが、どのようなケーブルだったか記録が残っておらず、かすかに残っている記憶を書くと以下の通りになります。

● ウーファー: モガミ電線の同軸型ケーブル。型番失念。[2015/01/28訂正] {NEGLEX 2497}
● ミッドレンジ: 日立電線の最も売れ筋のスピーカー・ケーブル、ピンクのシースだった。型番失念。
● ツィーター: 全然記憶になし。ただし、かなり高価なケーブルだったと思う。[2015/01/28訂正] {TARA Labs Prism Claraというケーブル。それほど高価ではなかったようだ}

エンクロージャーの材料にはMDFを使用することにしました。MDFは振動を吸収する性質を持ち、マンションの床材などに使われ普及しました。フローリングの下にMDFを敷いておくと、足音等の振動が吸収され、階下に聞こえないそうです。MDFは木材の繊維を使用していますが、木材そのものではなく、木目がないので、板取りも自由にできます。木質系材料としては割と軟らかめなので、加工が容易なのも不器用な私にとってはありがたい特質です。突板仕上げなどはせず、MDFのみでエンクロージャーを造ることにしました。

ウーファー・ボックスの設計

方式はバスレフ式としました。「シンプル・イズ・ベスト」を標榜するのであれば、密閉式を選ぶべきところですが、密閉式は組み立てた後に低音の調整をするのが困難なので、バスレフ式を選びました。設計時にはマンションに住んでいましたが、その頃すでに将来は一戸建てに引っ越すつもりでいたので、低音の調整ができることは必須でした。

狙った低域特性は、30Hzまでフラットに出す特性を目標にしました。特に低音を強調するようなことはしないことにしました。このことは、再生時にはかなりの大音量で聴くことが前提ということです。Gaudiのプリアンプにはラウドネス・コントロールやトーン・コントロールがないので、フラットな特性を得るためにはかなりの大音量にする必要があるのです。

箱の寸法・容積は、メーカー指定箱を参考にしました。ただし、外形の幅は、フォステックスのウッド・ホーンH400を将来的に導入することを前提としていたので、H400を上に乗せて様になるように402mmにしました。板厚は厚からず、薄からずの21mmとしました。内寸は、360(W) x 710(H) x 310(D)mmで、内容積は約80lとしました。指定箱の75lよりもほんの少し大きめの箱となりましたが、補強材の体積を考慮すると実質はほぼ同じ容積です。

板の接合は単純にイモつぎとします。主に接着剤で接合します。補助的には木ねじも使用しますが、接着剤が固まるまでのハタ金がわりです。
片側の側板だけは接着せず、木ねじのみで固定します。多くのスピーカーは裏板が取り外しできるようになっていますが、本機の場合、メンテナンス時は側板を外します。

バスレフ・ポートは背面につけることにしました。ユニット背面から出る音がポートから漏れ、前面から出る音と干渉するのを少しでも防ぐためです。
バスレフ・ポートには、Tritec社のBR-70という長さ可変型のチューブを採用しました。このチューブをサブバッフルに取り付け、サブバッフルをウーファー・ボックスにねじ止めする構造にしました。ポートは簡単に取り外して、長さを調整できます。

[ウーファー・ボックス寸法図 (SS-309WooferBox.pdf)]

バスレフ・ポートの設計は、私がスピーカー造りの教科書としている「山本武夫監修:Hi-Fiスピーカーとその活きた使い方」に掲載されている手順と公式をExcelファイルに入力し、それを利用して行いました。ものの5分ぐらいで設計できてしまいました。
目標ポート共振周波数(fb)は30Hzとして設計開始しましたが、計算の結果、fbは約28Hzが適当だとわかりました。結局、ポート長はBR-70の最短の長さとなりました。BR-70は筒を2重にし、外側の筒をスライドすることによりポート長を可変する構造になっているのですが、外側の筒は廃棄し、内側の筒だけ使うことにしました。

[ウーファー・ボックスのポート設計シート (WooferBoxPortDesign.pdf)]

スピーカー・ユニット(LS unit)の取り付け方法には、主に下図のような3種類があります。
(a)は最も簡単な方法で、箱の外側からユニットを取り付けます。ユニットの取り付け・取り外しを箱を分解しないでできるのが長所ですが、バッフル面にユニットのフレームが出てしまうのが欠点です。バッフル面に凹凸があると、音響的歪みを発生するので、なるべくユニットのフレームが外側にはみ出さないようにしたいのです。
(b)は箱の内側からとりつける方法です。この方法は音質的に不利です。バッフルが厚い場合、ユニットの前に短い円筒を付け加えた形になります。この円筒は周波数特性(f特)に影響し、ピーク・ディップが発生します。これをキャビティ効果といいます。
(c)はユニット・フレームのはみ出しを減らすために、ユニット取り付け穴周辺をザグリ、その部分だけバッフルを薄くする方法です。

LS unit mounting

(c)の方法が一番良さそうですが、残念ながら不器用な私には、ザグリはできません。そこで一計を案じました。(a)の方法に、サブバッフルを取り付けることにより、ユニットとバッフルを面一にする方法を考えつきました。サブバッフルの厚さは、バッフルの外側に出るユニットのフレームの厚さと同じにします。FW305の場合、約15mmなので、サブバッフルの厚さは15mmとしました。ユニット取り付け部にはユニットのフレーム径プラスαの径の穴をあけます。

Sub-baffle

 

この方法には、バッフル面を面一にする効果以外にも利点があります。バッフルがトータルで36mmとかなり厚くなるので、質量も増します。エンクロージャーにはユニット背面から出る音を箱の中に閉じ込める機能の他に、ユニットを空間の一点に固定する機能があります。重いバッフルはメカニカル・アースというほどではないにせよ、そのイナーシャによりユニットを動きにくくします。また、ザグリを入れる場合と違い、ユニット取り付け部の強度が落ちません。
サブバッフルはバッフルに木ねじで取り付けます。接着剤は使いません。将来ユニットが故障した際に、同じモデルが入手できるかどうかわからないからです。サブバッフルを交換することにより、他のユニットを使えるようにする、という配慮です。

補強材は3種類用います。箱の内側の各辺には、箱の組み立て時に18mm角のスプルース材をサンとしてつけます。バッフルと裏板は40mm径のアメリカ・ヒバ材の丸棒で連結します。天板と底板以外は30mm角のラワン角材で補強します。各補強材の形状と取り付け位置はウーファー・ボックス寸法図に青色で書き込んだ通りです。

MDFは、定尺の21x1820x910mmを2枚、15x1820x910mmを1枚購入し、そこからウーファー部、ミッドレンジ部双方の部品を切り出すことにしました。板取り図の中で、各部品に記号がついていますが、それは下表のような凡例になっています。それぞれサイズが大きいものと小さいものがありますが、大きいほうがウーファー・ボックス用、小さいほうがミッドレンジ・ボックス用です。

F バッフル
S 側板
K 裏板
T 天板
B 底板

[板取り図 (CuttingPlan.pdf)]

Micron Wool

吸音材として、日本無機のミクロン・ウールを採用しました。グラスウールよりもはるかに微細な繊維を使用しているため、吸音率が高く、量が少なくとも充分な効果が得られます。

バッフルのエッジにRをつけないと、回折現象により、音響的な歪が発生するというのが定説になっています。実際にはその歪は微々たるもので、現にバッフルにRをつけていないのに音質の良いスピーカーはたくさんあります。しかし、装飾的な意味合いもあるので、本機でもバッフル(正確にはサブバッフル)にRをつけてみることにしました。
そのための工具を自作することにしました。それについては、「製作」の項で説明します。

部品の加工誤差により、出っ張りや引っ込みができてしまう可能性がありますが、それらはすべて背面に現れるように工夫しました。
組み立て時には一方の側板(以後、固定側板と呼ぶ)を水平に置いて、その上に他方の側板以外の部品を木工用ボンド使って取り付けていきます。ほぞ・みぞがないイモつぎなので、ボンドが乾くまでは若干接合部をずらすことができますので、前面を優先に面一になるように部品位置を調整します。次に天面を優先します。微調整がすんだら、部品同士木ねじで固定します。
接着しない側板(以後、非固定側板と呼ぶ)を取り付ける側の木口は、サンダーによって出っ張りを削り、さらにゴムシートを木口に貼ることによって機密を保ちます。
サブバッフルは箱が完成した後、最後に木ねじでバッフル上に取り付けます。

How to assemble enclosure

仕上げ・塗装に関しては、あまり凝ったことはしたくない、というか作業する場所がないので、大したことはできません。しかし、本機の最大のコンセプトはルックスですから、何も仕上げしないわけにもいきません。
MDFの実物を見たところ、滑らかな表面なので、軽くサンダーをかけた後、直接塗装をすることにしました。塗料には、一番手間がかかりそうにない着色ニスのスプレーにしました。色はメープルにしました。その上にインスタント・レタリング(インレタ)を貼り、さらにクリアニスをスプレーします。

グリルも必須アイテムです。私はスピーカー・ユニットがむき出しになっていても気にならないどころか、むしろかっこいいと感じるのですが、カミさんはユニットに限らず機械的なものをむき出しにすることをことのほか嫌います。
エンクロージャーのサンに使った18mm角のスプルース角材を使ってフレームを組み、それにサラン・ネットをステープル止めしてグリルの形にします。簡単に取り外しができるように、市販のグリル・ホルダーを用います。グリル・ホルダーのオス側をグリルに、メス側をエンクロージャーに取り付けます。
ちなみにサラン・ネット、グリル・ホルダー、また前述のミクロン・ウール、バスレフ・ポートのBR-70は、いずれも秋葉原の旧ラジオ会館4階にあった木村無線で購入したものです。

[グリル図面 (WooferGrille.pdf)]

ケーブルはユニットに直接半田付けし、そのまま外部に引き出します。後々ケーブル交換をするときには多くの工数がかかりますが、インピーダンスが低く、大電流が流れるパスに接点を入れてはいけない、というのが私が長年の経験で学んだことなので、本機でも、直付け・直出し方式を採用しました。

Speaker cable assembly

 

ミッドレンジ・ボックスの設計

ミッドレンジ・ボックスも、フルレンジとしても使えるようにバスレフ方式にしました。ウーファー・ボックス同様リアダクト式です。
6N-FE88ESはバックロード・ホーン用に設計されていて、メーカー指定箱もバックロード・ホーンです。振動系がかなりオーバー・ダンピングになっているので、バスレフにしても低域が不足することが予想されます。しかし、Qを上げて低域にピークをつくる等の対策は行わず、また低域限界も欲張らず、fbはあまり低くせず、fbまではフラットで、それ以下はストンと落ちる典型的なバスレフの特性を目指しました。
6N-FE88ESのf0は110Hzなので、fbは100Hzを目標とし、ウーファー・ボックスと同様の方法で設計しました。

[ミッドレンジ・ボックスのポート設計シート (MidrangeBoxPortDesign.pdf)]

バスレフの設計の結果、箱の容積は6.9Lに決定しました。寸法はまず幅を優先し、内寸360mm、外寸402mmに決定しました。これはウーファー・ボックスの幅と合わせるためです。次に高さを内寸120mm、外寸150mmと、低めにしました。高さは低めにしておかないと、ミッドレンジ・ユニットとツィーターの間隔が大きくなってしまうためです。奥行きは自動的に内寸160mm、外寸190mmとなりました。

材料のMDFボードはウーファー部と共用とします。側板のみ21tとし、それ以外はウーファー部のサブバッフルと同じ15tとします。
バスレフ・ポート用のチューブは、フォステックスP49を設計値の長さにカットして使用することにしました。

板の組み方はウーファー・ボックスと同じです。バッフル、裏板、天板、底板の幅は内寸と同じ360mmで2枚の側板の間に挟まれる形となります。組み立て方もウーファー・ボックスと同じで、一方の側板を水平に置いて、その上にバッフル、裏板、天板、底板を木工用ボンドで接着して組み立てます。

ミッドレンジ・ボックス寸法図 (SS-309MidrangeBox.pdf)

ミッドレンジ・ボックスは小さいので、特に補強材の使用は考えませんでした。

バッフルはウーファー・ボックス同様2枚重ねとしましたが、ユニットとバッフル表面を面一にするためではなく、単純にバッフルの質量を増すためです。6N-FE88ESのフレームは、単純に外付けすればよいデザインになっています。
ウーファー・ボックスと同様、サブバッフルはバッフルに木ねじで取り付けます。接着剤は使いません。

吸音材には、ウーファー・ボックスと同じミクロン・ウールを使用しました。

定在波対策として、天面と底面の内側に細いかまぼこ状の木材を多数貼ることにしました。内側をでこぼこにすることにより、音波を拡散し、定在波を防ごうという狙いです。後に、これだけでは十分ではなく、追加の対策を施すことになります。

回折現象対策はウーファー・ボックスと同様サブバッフルにRをつけることにしました。

加工誤差対策もウーファー・ボックスと基本的に同じです。背面に誤差を集中させるようにします。
ただし、板取りとカットの順序の関係で、2枚の側板に挟まれる格好になる、バッフル、裏板、天板、底板は正確に同じ幅にカットされるはずです。従って、側板をねじ止めする木口はきれいに面一になるはずです。
念のため、もう一度板取り図を下記に示します(「ウーファー・ボックスの設計」の項で示したものと同じです)。

[板取り図 (CuttingPlan.pdf)]

グリルはウーファー・ボックスのものと共通のデザインとします。構造も同じで、サイズが違うだけです。

[グリル図面 (MidrangeGrille.pdf)]

ケーブルの引き出しも、ウーファー部と同様、直付け・直出しとします。


製作

木工

Parts of woofer box

今まで板の切断はのこぎりで切るか、電動丸のこを借りてきて切るかしていました。しかし、今回はマンション住まいで充分な工作スペースがないことと、部品点数がかなり多いので相当手間がかかることから、初めて業者にカットしてもらうことにしました。
正確な直方体で、密閉度の高い箱を作るには、部品の加工精度は0.1mm以内でないと駄目だ、というのが定説ですが、それだけの精度で加工する業者では、かなり料金もかかりそうなので、材料を調達するドイト(その頃家の近くにあったホームセンター、今はすでに閉店している)でカットしてもらうことにしました。
ドイトの場合、精度は1mmということでしたが、スピーカーのエンクロージャーに使う板なので、なるべく精度を上げてくれと頼んだところ、係の人が結構職人気質の人で、できる限りのことはする、と引き受けてくれました。案ずるより産むがやすしで、切り出した部品の精度はかなり高く、誤差はほとんどありませんでした。
ウーファーの取り付け穴のような大きな穴は、本来ドイトではカットしてくれないそうですが、これもやってもらえました。右の写真は出来上がったウーファー・ボックス用部品です。

サンや補強材、グリル用の木材は自分でカットしました。

ミッドレンジ・ボックスのサブバッフルの穴は自分で加工しました。6N-FE88ESの取り付け穴が単純な円形ではなく、不規則な形をしているためです。自他共に認める不器用者の私には、かなり緊張を要する作業でしたが、無事加工できました。

Baffle hole for 6N-FE88Es Sub-baffle of midrange box Parts of midrange box
6N-FE88ES 取り付け穴寸法 加工済みミッドレンジ用サブバッフル ミッドレンジ・ボックス用の部品

サブバッフルのR加工は、面取りかんなと自作工具を使って行いました。
面取りかんなは板の角を30度、45度、60度の角度で削れる特殊なかんなです。
自作工具はR=15mmの曲面を滑らかにするためのやすりです。内径30mmの水道管用の塩ビパイプを適当な長さに切り、それを縦に半分に切ります。内側に両面テープを使ってサンドペーパーを貼って出来上がりです。

Chamfer planer Edge planed with chamfer planer Handmade tool (curved sandpaper)
面取りかんな


面取りかんなでサブバッフルの角を削る


自作工具(曲面やすり)
これを使って、かんなで削った後を滑らかな
曲面に削る
Sub-baffle with round edges エッジをR加工されたサブバッフル  

木ねじ用の下穴は、板を貫通する穴のみあけました。木口の側の下穴は、組み立て時にあけることにしました。予めあけておくと、組み立て時に位置が合わず、木ねじを入れた途端、部品の位置がずれてしまう可能性があるからです。

Prepared hole

予備実験として、MDFボードの木口に木ねじをねじ込んでみたのですが、意外に裂けやすい材質であることがわかりました。最初はMDFはプラスチック用のような塊なのかと思っていたのですが、実はボール紙をたくさん貼り合わせたような構造になっていて、層をなしているのです。ですから、太い木ねじを使ったり、多くの木ねじを木口に打ち込むと裂けてしまうのです。
本機では木ねじは部品を固定するためではなく、接着剤が固まるまでのハタ金がわりに使用するものなので、細めの木ねじを必要最小限の数使うことにしました。

Split kerf

 

組み立て

設計時に決めたとおりの手順で組み立てました。ウーファー・ボックスもミッドレンジ・ボックスも基本的に同じ手順です。

Assembly of woofer box

固定側板を水平に置き、その上にバッフル裏板天板底板を立てて置き、木工用ボンドで接着します。ボンドは万一すき間が生じたときにはそれを埋めるように、たっぷり使います。使用したボンドは一般に良く使われているコニシの木工用ボンドです。速乾タイプではありません。
ボンドが固まらないうちに、前面の木口が面一になるように部品の位置を微調整します。
部品の位置が決まったら、位置がずれないように注意しながら、電動ドリルの刃を予め各部品にあけてある下穴に通して、木口に木ねじ用の下穴をあけます。
木ねじは、1本1本個別にねじ込むのではなく、まず、すべてのねじを浅くねじ込んで置きます。工具は電動ドライバーではなく、普通のドライバーを使います。部品がずれないのを確認しながら、各ねじを少しずつ締めていきます。接合部がずれないぐらい締めこんだところで、後は電動ドライバーでしっかり締めつけます。

ここまでの工程はボンドが固まらないうちに、手早く行います。最終的に木ねじを完全に締め付けると、接合部からボンドがかなりはみ出しますが、とりあえずそのままにしておきます。

ボンドの粘着力が出てきた段階で、側板がずれないように注意しながら、箱を上下ひっくり返します。そして固定側板を木ねじで固定します。これで、箱としてしっかりと形になったわけです。

Inside the baffle

引き続き、補強材の取り付けを行います。補強材は木工用ボンドと木ねじで取り付けます。

次に、非固定側板の取り付けを行います。部品の寸法が予想より正確だったため、木口はきれいに面一にそろいました。そこで、ゴムシートによるシーリングをやめ、絶縁ビニール・テープを使うことにしました。そのほうが安価で手軽です。
木口にビニール・テープを貼り、木ねじの下穴の部分をカッターでカットします。木ねじで側板を取り付けて、ようやく箱の形になりました。

最後にサブバッフルを取り付けて、エンクロージャーらしくなりました。サブバッフルは接着剤を使わず、木ねじだけで取り付けます。

Woofer box without fixed side board Woofer box without sub-baffle Midrange box without sub-baffle
非固定側板取り付け前のウーファー・ボックス

サブバッフル取り付け前のウーファー・ボックス

サブバッフル取り付け前のミッドレンジ・ボックス
     
Accuracy of assembly (woofer box) Accuracy of assembly (midrange box) Inside the midrange box
ウーファー・ボックス背面;組み立て精度は悪くない(2013年6月撮影) ミッドレンジ・ボックス背面;組み立て精度は悪くない(2013年6月撮影) ミッドレンジ・ボックス内部;SPユニットが仮付けされている

グリルには、ウーファー・ボックスのサンに使ったのと同じ18mm角のスプルース材を使いました。速乾木工用ボンドを使って、木ねじや釘を使わずフレームを組みました。
出来上がったフレームに、適当な大きさに切ったサラン・ネットをステープルでとめます。
最後にグリル・ホルダー(オス)をねじどめして出来上がりです。

Grille of woofer box Grille of midrange box Grille holder

グリル・ホルダーのメス側はサブバッフルに取り付けるので、そのための下穴をサブバッフルにあけました。さらに、ウーファー用サブバッフルには、フォステックス純正のグリルをの取り付けるために、鬼目ナットの下穴もあけました。

仕上げ

まず、はみ出していた接着剤をカッターで切り取りました。
もう取り外すことのない木ねじの頭はパテで埋めてしまいました。その上で、電動ドリルに丸型サンドペーパーのアタッチメントをつけて、全体に軽くサンダーをかけました。

次に、いよいよ塗装をしました。バルコニー上に段ボールを使って囲いをつくり、その中で塗装しました。
塗りはじめてすぐにわかったのですが、スプレー・ニスをムラなく塗るのは困難です。どうしてもムラになってしまうのですが、それがオイル・ステイン風になかなかいい雰囲気を醸し出すので、そのまま塗装を続行しました。MDFに塗るとメープルがかなり赤っぽい色になり、それも気に入りました。バッフルを4回塗り重ねたところ、MDFとは思えないような格好いい仕上がりになりました(他の面は3回塗り)。

バッフルにインレタでブランド名や型番を入れた後、透明ニス・スプレーを3回塗りして完成としました。

取り外す可能性のある(パテで埋めてない)木ねじの頭は、ダーク・グレー・メタリックで塗装し、見栄えをよくしました。

スピーカー・ユニットおよび小物部品の取り付け

塗装が充分乾燥した後、グリル・ホルダーを取り付けました。ウーファー・ボックスには、さらにフォステックス純正グリル取り付け用の鬼目ナットも取り付けました。どちらも予めあけてあった下穴に打ち込むだけです。

ウーファー・ボックスのバスレフ・ポートとして使うTritec BR-70は単純なプラスチックの筒なので、取り付け前にデッドニングを行いました。まず、0.1tの真鍮の板を巻き、その上から布テープを巻きました。これをサブバッフルにねじどめして、ポートAssyとしました。ポートAssyはウーファー・ボックスにねじどめします。複数のポートAssyを製作しておけば、簡単にポートの交換ができます。
ミッドレンジ・ボックスに使用するフォステックスP49は設計値である60mmの長さに切断しました。箱への取り付けは両面テープを使いました。

Deadened bass-reflex ports Bass-reflex port attached to woofer box
デッドニングしたバスレフ・ポート 箱に付けたポートAssy

最後にユニットと吸音材を取り付けて、いよいよ組み立て終了です。一旦、非固定側板を外しておきます。

ユニットはいずれもSS-307から取り外したものなので、ケーブルも接続されたままの状態になっています。ケーブルを裏板のケーブル引き出し穴に通しから、ユニットをバッフルに木ねじで取り付けました。このとき、ドライバーの先でユニットを傷つけないように、慎重に作業を行いました。
ケーブル引き出し穴の寸法はケーブルの外径に合わせておいたので、パテを使う必要はありませんでした。

吸音材は、ウーファー、ミッドレンジともにバスレフ式なので、量は少なめにしました。

実は、ミッドレンジ部は塗装前に一度ユニットおよびポートを仮に取り付け、試聴および吸音材の調整を行いました。その後、ユニットとポートを外し、塗装をしたわけです。

Completed woofer module (baffle) 完成したウーファー・ボックスのバッフル面
Completed woofer module (front view) Completed woofer module (back view) Completed woofer module with self-made grille Completed woofer module with Fostex grille
完成したウーファー・ボックス(前面)(2009年撮影) 完成したウーファー・ボックス(背面)(2013年撮影) 自作グリルをつけた状態 フォステックス純正グリルをつけた状態
Completed midrange module (front view) Completed midrange module (back view) Completed midrange module with grille
完成したミッドレンジ・ボックス(前面) 完成したミッドレンジ・ボックス(背面) グリルをつけた状態

設置・調整

Midrange module before finished

ミッドレンジ部に関しては、塗装前に仮にスピーカ・ユニット、バスレフ・ポート、吸音材を取り付け、試聴および吸音材の調整を行いました。
フルレンジとして様々な種類の音楽を鳴らしながら調整したのですが、このときの音の透明感は今でも忘れられません。SS-307で使用していたときとはまるで違う音でした。同じユニットでも箱の違いでこんなにも音が変わるのか、とつくづく感じたものでした。

しかし、それでも若干の不快な響きを感じたので、おそらくそれは箱内部の定在波によるものではないかと推測しました。そこで、定在波対策をひとつ考案しました。それは、吸音材ミクロン・ウールをテニス・ボールぐらいの大きさに丸めて、糸で縛り、それを箱の中央に糸でつるすというアイデアでした。
この対策は期待以上の効果があり、さらに音の透明度が上がり、低音不足という点を除けば、それまでに聴いたことのあるフルレンジ一発のSPの中でも最高の音質となりました。

Inner diffuser/absorber

低音に関してはあまり追求しませんでした。本来ミッドレンジとして使用するのが目的ですし、使用ユニットの6N-FE88ESは本来はバックロード・ホーン向けのユニットなので、低音域の周波数応答は多少ぎくしゃくしてもよい、と割り切りました。結果としては、重低音は出ないものの、まあまあ素直な低音に仕上がりました。
測定らしい測定はしませんでしたが(機材・環境がないのでできなかった)、インピーダンス特性の測定だけはしました。一応双峰型のカーブになりました。

Impedance curve of midrage module

大満足の結果となったと思われたミッドレンジ部ですが、塗装後にもう一度同じ条件で試聴したところ、音の透明度が若干低下していました。これにはかなりがっかりしました。
塗装が音質を左右するという認識はそれまではありませんでした。特にMDFのような吸音性の高い材料の場合影響が大きいのかもしれません。塗装をすることにより、表面がプラスチック化し、鳴きが大きくなるのではないかと推察しています。

対策として、バッフルにフェルトを貼り、箱の鳴きを吸音するという方法を試してみたのですが、これはかえってますます音質を落とす結果となってしまいました。仕方がなくフェルトは剥がしたのですが、そのときに塗装も一部はげてしまい、ルックスが悪くなってしまいました。

後に情報処理学会誌の論文(文献-24)で読んだのですが、楽器の音色も塗装により大きく変わるそうです。その論文の中に次のような例が示されていました。一人の楽器職人が2台のヴァイオリンをまったく同じに作ります。仕上げのニスの種類だけを違ったものにします。すると、2台のヴァイオリンの音色は異なったものとなるそうです。しかし、人間の耳には明らかに違った音に聞こえるのに、測定器で測定すると、両者はまったく同じ特性で、区別がつかないそうです。
エンクロージャーの仕上げはどういうものにすべきか、今後さらに研究する必要があります。

ウーファー部の吸音材は、勘で量を決め、箱の内側に貼り、早速フルレンジとして鳴らしてみました。第一印象が非常によく、具体的な裏付けがないにもかかわらず、「これで完璧!」と感じました。それで、調整らしい調整もせず、そのまま実戦配備することにしました。一時的に、低音の量感を増すためにポートを少し短くしたことはありますが、結局元の長さに戻しました。2013年7月現在いまだに初期のセッティングのまま使っています。下手にいじれば、せっかく完璧に仕上がっているものをかえって台無しにしそうで、もういじる気がしません。

ウーファー部のインピーダンス特性は、きれいな双峰型になりました。fbは約26Hzで、25Hzまでフラットに出る周波数特性となりました。

Impedance curve of woofer module

ついに設置のときがやってきました。SS-307の置いてあった場所(マンションのリビング・ルームのコーナー)に、そのまま置きました。スピーカー・ベースはSS-307と同じで、古雑誌を床に置いただけのものです。しかし、スピーカーの重みでぺったんこになりますし、スピーカーがぐらぐらすることはありません。紙は吸音性も高く、案外理想的なスピーカー・ベースかもしれません。

ウーファー部の上に吸振ゴム・シートを敷き、その上にミッドレンジ部を置き、さらにその上にツィーターを置きます。ミッドレンジ部は左右非対称ですが、ユニットがセンター寄りにくるように置きます。ツィーターはミッドレンジ・ユニットの上になるように置きます。ツィーター部はSS-307のときと同じで、T925とその付属の台から構成されています。台の下には吸振ゴムが貼られています。
スピーカー全体はやや中央に向けて斜めに置きます。

Layout of LS units スピーカー・ユニットの位置関係

右チャンネル
ミッドレンジはユニットが中央寄りになるように置く
ツィーターはミッドレンジ・ユニットの真上に配置

 

SS-309 installed in living room

アンプ関係はそれまでと同じ構成で、チャンデバのCD-206もそのままの設定で使用しました。fc(クロスオーバー周波数)は下側が800Hz、上側が8000Hzです。

スピーカーは置く位置によって、音が変わります。特に低音の特性は大きく変わります。しかし、設置できる場所が狭かったため、あまり位置の調整はできませんでした。部屋のコーナーに置いたため、低音はブーストされ、かなり豊かになりました。しかし、いやらしい誇張感ではなく、これはこれでよいと、感じさせる気持ちのいい低音でした。

ツィーターの前後の位置調整はかなり手間がかかりました。fcは8000Hzだったので、その周波数での1波長は約43mmとなり、21mmツィーターを前後に動かせば、半波長分ずらしたことになり、ミッドレンジとの位相差が180度変わります。実際に音楽を再生しながら、少しずつツィーターの位置をずらし、最も自然な音になる位置を探しました。

右の写真は設置直後の本機です。(2001年6月)


自己評価

ルックス

Looks of SS-309 without grilles

本機の開発の最大の目的は、ルックスのよいスピーカーを造ることでしたが、その目的は達成できたと自負しています。カミさんからも、「これだったらリビングにおいてもOK」とお墨付きをもらいました。
カミさんはスピーカー・ユニットをむき出しにすることを嫌いますが、私はグリルを外した状態のほうが好きです。また、当然のことながら、グリルなしのほうが音質が優れています。

Woofer Midrange Tweeter

 

音質

ウーファー FW305 がやっと本来の実力を発揮するようになりました。いい意味で軽い低音です。歯切れがよく、ジャズのベースがとても心地よく聞こえます。あまり押しつけがましくなく、量的には結構出ていても、特別低音楽器が出しゃばって聞こえることがありません。
一方で風圧に近いような重低音や地響きのような重低音もしっかり出ます。例えば、鬼太鼓座の大太鼓の音(基本波は28Hz)(CD、鬼太鼓座、鬼太鼓座(I)、Victor VICG-5373)を聴くと本当に快感を感じます。大太鼓が発する風圧を肌で感じ、まるで生演奏を聴いているような臨場感を感じます。また、DVDの映画ソフト「アポロ13」を再生すると(DVD, APOLLO 13, SUD-29954)、ロケット打ち上げのシーンでは、本当に地響きを感じます。映画館の音響と大差ない音質だと思います。
FW305は特別斬新な構造や材質を採用しているわけではありませんが、私はこのような基本に忠実にシンプルに造られたオーディオ・パーツを好みます。末永く使い込んでいきたいと思います。

ミッドレンジ部は塗装によりやや音の透明度が下がったものの、それでもかなり質の高い中高音域を聴かせてくれます。多くのフルレンジ・ユニットは高域の伸びが足りなかったり、あるいは高域が歪っぽく、どうしてもツィーターを追加したくなってしまうのですが、6N-FE88ESは高域に不満を感じません。ツィーターとしても使えるのでは、と感じるぐらいです。
フルレンジ・ユニットはフルレンジで鳴らすとそれなりにきれいな音に聞こえますが、ミッドレンジとして使用するとウーファーやツィーターの性能に全然及ばす、システム・トータルの音質を下げてしまうことが多いのですが、6N-FE88ESはミッドレンジとしても通用します。ツィーターとしても使えそうなぐらいの性能だからこそ、ミッドレンジとして通用するのだと思います。

Bass-reflex port plugged up

ミッドレンジ部をミッドレンジとして使用するときには、バスレフ・ポートをふさぐ必要があります。ユニット背面からは前面と同じ音圧の音が逆位相で出ています。それがポートから漏れてきてしまい、前面から出る音と干渉してしまうのです。このことで、特に中音域が歪っぽくなります。フルレンジとして使用するとそれなりにきれいな音でも、ミッドレンジとしてウーファーやツィーターの性能とつりあわず、マルチウェイとしてふさわしい音質になりません。それで、ポートをふさぐ必要があるわけです。
本機ではリア・ポート式にしたので、もしかしたらふさがなくても大丈夫では、と期待していたのですが、やはり駄目でした。少し面倒ですが、ミッドレンジとして使用するときは、ウレタン・マットを丸めたものをポートにつめてふさぐことにしました。Gaudiではスイッチの切り替えにより、ミッドレンジ部をフルレンジとしても使用できますが、その場合はポートを開放します。

ツィーターの T925 は1982年以来愛用していますが、経年劣化もほとんどなく、相変わらず頼りになる存在です。T925はツィーターというよりもスーパー・ツィーターですし、fcも8000Hzで使用していますから、超高音しか出していないのですが、T925 がGaudi の音全体に及ぼしている影響力は相当なものです。T925 は高音のみならず、中低音域のニュアンスにも大きな影響を与えています。歯切れのよい低音も、ウーファーの性能がよいというだけでなく、T925 の性能がよいために実現しているのです。

このツィーターの最大の魅力は、発音体(楽器、人の声など)の質感を伝えることができるということです。例えば、ジャズのシンバル系の音が、単なるシャカシャカ、チャカチャカという音でなく、重い金属の板を叩いて出ている音だと感じられるのです。発音体の実体が見えるような音なのです。T925は寿命が尽きるまで使い続けていきたいと思っています。

指向性の狭さはホーン・ツィーターの欠点として知られていますが、私はまったく逆に長所と考えています。指向性が狭いゆえに、音響エネルギーをロスなくリスナーの耳に届けることができます。これは、上記のような音源の実体が見えるかのような音質と深く関係していると思います。
ドーム・ツィーターのように指向性が広いと、直接リスナーに届く音響エネルギーは乏しく、床、壁、天井、家具などに反射した間接音が多く届きます。コンサート・ホールのような広い空間では、間接音はかなりの時間差で到着し、美しい響きとして聞こえます。しかし、一般住宅のような狭い空間では、直接音と間接音の時間差は僅かで、音が歪っぽく聞こえたり、音像があいまいになったりします。
私は、よほど部屋が広く、また壁、天井などが吸音性の素材でできていない限り、ホーン・ツィーターのほうが断然有利だと思います。

各ユニット毎にコメントしてきましたが、SS-309全体としてはどうかというと、これはなかなか難しい問いです。SS-309は各ユニットバラバラですし、チャンデバとパワーアンプをひっくるめて、初めてスピーカー・システムとなるのです。
SS-307との比較という見方では、大幅なアップグレードを実現できたと思います。かなり生々しい音になりました。ツィーターにホーン型を使っているせいか、特に金管楽器の音が非常に生々しくなりました。また、微弱な音を正確に再現できるようになったと思います。私が目指す躍動感と生命感にあふれるサウンドにかなり近づいたという印象を受けました。

使い勝手

ツィーターを除けば、ケーブルが直付け・直出しなので、ケーブルの交換には非常に手間がかかります。利便性という点では、これは大きな欠点です。しかし、オーディオの世界では利便性を上げると音質が落ちるということが、往々にしてあります。この場合もその例にあたります。自分自身の経験上、パワーアンプ出力からスピーカー・ユニットまでの間に接点があると、音がなまるというか、ぼやけるように感じられます。やはり、利便性を犠牲にしてでも、直付け・直出しがよいと思います。
また、過去の経験でわかったことですが、音質の悪いケーブルと良いケーブルを直列につないだ場合、悪いケーブルだけの場合と同じぐらい音質が悪くなります。もし将来非常に優れたケーブルが開発された場合、外部ケーブルだけをそのケーブルに交換しただけでは、効果はほとんどないはずです。内部ケーブルも換えなければ音質向上は見込めません。その点、本機の場合は外部ケーブル、内部ケーブルの区別がなく、ケーブル全体を変えることになります。新しい優れたケーブルの性能を確実に発揮できます。

本機を設計した時点で、近い将来戸建て住宅に引っ越すことをすでに計画していました。そのため、ウーファーにフォステックス純正グリルを取り付けられるようにしたわけです。純正グリルは金属製で、かなり頑丈です。実際、引っ越しのとき大いに役立ちました。
6N-FE88ES用にも純正グリルを買ったのですが、こちらは単に粘着テープで箱に貼り付けるだけで、箱自体には特別の細工はしませんでした。

総評

ルックス、音質ともに目標を達成できたと思います。これでまた、Gaudi がハイエンド・システムに一歩近づいたな、と感じました。
とはいえ、まだ Gaudi のシステム設計に合致していません。ミッドレンジ部にフルレンジ・ユニットを使っているからです。フルレンジ・スピーカーは本来の使い方をした場合に良い音に聞こえても、ミッドレンジとして使うと、ミッドレンジ専用ユニットには敵いません。本機でも、6N-FE88ES は明らかに FW305 や T925 と比べると実力的に見劣りします。なるべく早い機会にミッドレンジ部をアップグレードする必要があります。(後述のように、2012年になってようやくミッドレンジ部をホーン型に変更しました)


改良

新居への引っ越し(2003年5月)

新居は木造2階建ての高断熱・高気密住宅で、特別な防音工事はしなかったものの防音性能はかなり高い家屋です。Gaudiの設置場所であるリビング・ルームは2階の北側にあるという変則的な間取りです。小屋裏はなくし、天井を勾配天井にしました。音は上に上がる傾向があるので、天井は高いほうが間接音による歪みを減らすことができますし、勾配をつけることで床と並行にならず、定在波の発生を防げます。
部屋はGaudiを北側の壁沿いに設置するようにデザインされているので、本機も北側の壁沿いに設置しました。部屋のコーナーではなく、やや中央に寄せた位置に設置しました(下図参照)。左右のスピーカーの間隔があまり大きくありませんが(1560mm)、リビング・ルームである以上テレビも置かなければいけませんので、ここは妥協せざるをえません。

リスニング・ポイントは、各スピーカーから2.1mぐらいの位置とします。割合スピーカーに近い位置です。あまりスピーカーから離れると、リスナーに届く音のうち、床や壁からの反射音の割合が増えるので、このぐらいの距離がちょうどよいのです。リスニング・ポイント後方にかなりの空間がとれましたが、これも音質面に好ましいファクターです。

Layout of the loudspeakers

スピーカーと壁との距離は、低音の量感を決める重要なファクターですので、時間をかけて調整しました。しかし、実際には位置を変えてもあまり低音の量感は変化せず、常に不足気味でした。内壁が通常の石膏ボードでできているため、低音はあまり反射せず通過してしまうせいかもしれません。また、リア・ポート方式のバスレフ・スピーカーは後ろの壁に近づけてもあまり低音がブーストされない、という話も聞いたことがあります。
ポート長を短くすることで(130mm->113mm)、低音の量感を増強することにしました。しかし、これもあまり効果はありませんでした。後に別の対策をとります。

Tuning of bass reflex of woofer moduleSpece behind SS-309

せっかく新築の住宅に引っ越したのだから、古雑誌の上にスピーカーを置くのはやめようと、カーペット+レンガをスピーカー・ベースにすることにしました。しかし、結果として、明らかに古雑誌以下の音質となってしまいました。レンガはかなり鳴きやすい材質だとわかりました。
対策として、スピーカーの下にスパイクをつけることにしました。オーディオ・ショップで物色したところ、Daliのスパイクが値段も安く、高さ調整機能付きということで、購入しました。
このスパイクを取り付けることによって、レンガの上に直接スピーカーを置くのに比べてそこそこ音質が上がりましたが、まだ不満が残りました。スパイクはメーカーの宣伝ほど振動を遮断する作用はないようです。[2015/01/27 訂正] {スパイクの使用の仕方が間違っていました。詳細は、後述の「スパイクの誤使用とその修正(2013年11月)」を参照してください}

Speaker base

スピーカー・ベースの改良(2004年11月)

レンガの代わりにもっと重量のある物体を使うことを考えました。楽天市場で探したところ、御影石を指定のサイズに切断してくれて、なおかつ値段もリーズナブルな業者を発見しました(株式会社エム・ジー関ヶ原 (http://www.rakuten.co.jp/mgs/))。20x401x390mmの御影石を2枚注文し、値段は約8500円でした。
御影石はそれなりに重量があるので、メカニカル・アースとなります。音質はかなり向上しました。より繊細な音が表現できるようになったと思います。

Improved speaker base 改良したスピーカー・ベース

下から順に、ナイロン製カーペット、20t御影石、DALI製スパイク、という構成になっています。
エンクロージャーと御影石の間には、吸音材(ミクロン・ウール)を挟んでいます。

ウーファー・ボックスとミッドレンジ・ボックスの間に挟んでいた衝撃吸収ゴムも、スパイクに変えてみようと思いました。しかし、通常のスパイクではサイズが大きすぎて、ウーファー・ボックスとミッドレンジ・ボックスの間にかなりのすき間があいてしまいます。そこで、代用品を使うことにしました。
ネット上の口コミ情報で、10円玉がよいという意見を見かけたので、試してみました。確かになかなか良い感じでした。100円玉も試してみると、10円玉ほどよくありませんでした。オーディオ・アクセサリーは「高価なものほど効果がない」という経験はたびたびしますが、今回もその一例となりました。
10円玉インシュレーターはしばらくの間使っていたのですが、やはり面接触より点接触のほうがよいだろうと考え、小さなとがった石を使うことにしました。家の裏庭にまいてある砂利の中から、大きさがそろった石を20個ほど拾ってきて、ミッドレンジ・ボックスがガタつかないような4個の組み合わせを2組選び出し、ミッドレンジ・ボックスの4隅の下に置きました。結果は上々で、ようやく満足できる音質となりました。

Insulators for midrange module Insulators for midrange module Insulators for midrange module

 

チャンネル・デバイダーのアップグレード(2005年2月)

チャンデバを CD-206 から CD-211 A-NET にアップグレードしました。
CD-206では、下側のクロスオーバーが、800Hz、18dB/oct、上側が8000Hz、12dB/octでしたが、CD-211では、それぞれ、720Hz、18dB/oct、7200Hz、18dB/octとしました。ツィーターに流れるfc以下の電流が減ったことにより、高音域の透明度がさらに上がりました。T925の実力をいかんなく発揮できるようになりました。

しばらくはその設定で使用していましたが、ウーファーとミッドレンジのfc付近でピークができていることがわかり、フィルター特性を変更することにしました。ウーファー用フィルターのカットオフ周波数を530Hzに下げました。ミッドレンジ側は720Hzのままです。fcでの減衰量は-6dBとなりました。ウーファーとミッドレンジのつながりがさらによくなり、フルレンジ一発に近い一体感のある音になりました。
セオリーでは、fcでの減衰量は-3dBにすることで、合成された周波数特性がフラットになることになっていますが、ウーファーとミッドレンジの距離をよほど離さないと、ピークができてしまうようです。

スピーカー・ケーブルのアップグレード(2009年9月)

スピーカー・ケーブルに関しては、SS-307製作時から色々なメーカーの色々なタイプのものを試してきましたが、どれをとっても決定的に優れているという感じがしませんでした。各メーカーのカタログ等を見ると色々凄いことが書いてあるのですが、どこか誇大広告的な雰囲気を感じました。アンプと同様ケーブルも、よりシンプルな構造のもののほうがよいのではないかと考えはじめました。
ある日、オヤイデ電気のWebサイト(http://oyaide.com/catalog/)を物色していると、47研究所(http://www.47labs.co.jp/)の0.4mm単線が目につきました。実はこのワイヤーはかなり以前から存在を知っていて、オヤイデに質問のメールを送ったりしていたのですが、あまりにも安っぽいワイヤーなので、採用を見送っていました。しかし、ユーザー・レビューを読んでみると、ほとんどのユーザーが絶賛しているので、私も心を動かされ、このこれ以上シンプルなワイヤーはありえないぐらいシンプルなワイヤーを使ってみる気になりました。ちなみに、導体はメッキしていない0.4mm径のタフピッチ銅、被覆は1mm厚のポリエチレンです。これ以外の材料は使われていません。いたってシンプルです。
ウーファー、ミッドレンジ、ツィーターともにケーブルを交換することにしました。ただし、ウーファー用には0.65mm単線を使うことにしました。0.4mmですと直流抵抗が気になるレベルです。ケーブルの直流抵抗が大きいと、アンプのダンピング・ファクターが下がったのと同じになり、低音がブーミーになる恐れがあります。それで、ウーファーのみ0.65mmとしました。
オヤイデのWebサイトから購入しました。価格は0.4mm単線が@273/m、0.65mmが@315/mでした(シンプルなワイヤーにしてはあまり安くありませんでした)。

47 Lab banana plug

ケーブルは2本のワイヤーを30cmピッチでゆるくツイストさせて作りました。末端は基本的にはんだ付けするので、切りっぱなしです。ただし、ミッドレンジ・アンプのFlying Mole DAD-M100Proは出力端子がはんだ付けできない端子なので、こちらにつながる末端にはバナナ・プラグをつけることにしました。47研究所ではこのワイヤー専用のプラグを用意しているので、それを購入し、使用しました。
47研究所製バナナ・プラグこのプラグの仕組みは大胆というか、常識外れというか、ワイヤーを直接相手のターミナルに接触させるという発想でできています。プラグはデルリン製で、中が中空になっていて、ワイヤーを通すようになっています。先端に小さい穴があいていて、ここから被覆をむいた芯線を出し、180度折り曲げてプラグ外側に沿わせるようにします。これを相手側ターミナルに挿入すると、芯線が直接ターミナルの金属部分に接触して、導通するという仕組みです。

このプラグにはいくつか問題がありました。まず、ワイヤーを180度曲げることにより、余計なインダクタンスが発生してしまうという点です。また折り曲げた点で、電流の一部が反射してしまうので、歪みの原因となります。次に、芯線はメッキされていない銅でできているので、常温でもかなり速く腐食してしまうとい点です。相手方はニッケルメッキなので、異種金属接触ということになり、さらに腐食が加速されます。第三に、このプラグは寸法精度が低く、ものによってはきつくて相手方ターミナルになかなか入らなかったり、ものによっては逆にゆるゆるで簡単に抜けてしまったりしました。
それでも数ヶ月間使ってみましたが、芯線の腐食によって導通不良になった時点で、使用をやめました。かなり高価なプラグだっただけに、がっかりしました。代わりに計測器用のバナナ・プラグを使用しました。こちらのほうが安価であるにもかかわらず、音質的にも良好でした。「オーディオ・アクセサリーは高価なものほど効果がない」を再び経験してしまいました。[2015/02/14 追記] {現在はバナナ・プラグの使用はやめ、芯線を直接ターミナルにかしめています。腐食防止のため、芯線には和光テクニカル製チタン・オーディオ・オイルを塗布しています}

47研究所のWebサイトには、ケーブルがいかに振動に弱いかについて書かれていました。当時私は、SPケーブルに関しては、微弱な信号を扱うわけではないので、振動の影響はあまり受けないのではないかと考えていましたが、47研究所の推奨に従って、振動を防ぐためにSPケーブルを空中配線してみることにしました。今回製作したケーブルはメーター当たり十数グラムの重量しかないので、宙づりにすることは容易です。壁の高いところにフックをつけ、そこからナイロンの糸を垂らし、その糸にSPケーブルをかけることによって、宙に浮かしました。どうしても床やSPエンクロージャーに接する部分には衝撃吸収ゴムを使って、直接振動が伝わらないようにしました。
この空中配線は予想以上に効果がありました。品位が一段上がったという感じで、また一歩ハイエンドの音質に近づいたなと実感しました。

Implementation of speaker cable Insulator for speaker cables

無事アップグレードに成功しました。ケーブルに関しても、「シンプル・イズ・ベスト」が実証できました。また、芯線の太さに関しても、太いほどよいというわけではないということがわかりました。
これは私の推測ですが、芯線が太すぎるとかえって音質が落ちるのは、表皮効果によって表面を流れる高音域の電流が、芯線の表面積が大きすぎるために渦電流を生じてしまい、高音域に歪が発生するためだと思います。

SPケーブルが細いと重低音が出ない、という意見をよく聞きます。47研究所のWebサイトにもそのように書かれています。しかし、本機の場合、ケーブル交換後重低音が出なくなったという印象はありません。「重低音には太いケーブルが必要」というのは、迷信ではないでしょうか。おそらく、弦楽器が低音を出すために太い弦を使うので、そのイメージで太いケーブルは重低音が出ると思い込んでしまっているのだと思います。
実際には細いケーブルのほうが低音が強調されます。それは直流抵抗が比較的高いため、ウーファーの制動を弱めてしまうからです。ダンピング・ファクターの低いパワーアンプを使うのと同じです。

ウーファーの交換(2009年10月)

Mounting new woofer

ウーファーのエッジが老朽化で破れてしまったので、修理することにしました。
コイズミ無線のWebサイト(http://www.koizumi-musen.com/)をチェックしたところ、幸いなことに、FW305はまだ製造されていて、入手可能なことがわかりました。エッジを修理しても元の性能に戻るかどうか不安ですし、ユニットが手に入るのであれば、ユニット毎交換することにしました。FW305のように型は古いけれども優秀な製品を長期にわたって生産し続けるのはフォステックスの賞賛すべき点だと思います。
値段は少し高くなっていました。以前買った時もコイズミ無線で買ったのですが、確か18,000円ぐらいだったと思います。今回は22,000円ぐらいになっていました。しかし、ものを見て納得しました。フレーム、エッジ、端子など目につくところだけでも随所に改良の跡が見受けられました。
交換後、低音の質・量ともに向上したように感じました。音質面でも改良の跡が感じられました。単なる修理ではなく、アップグレードとなりました。

新しいFW305のエージングが充分できたところで、ポートをオリジナルのもの(68phi x 130mm)に戻しました。

調音パネルの設置(2012年9月)

大音量で鳴らしたときの低音の量感に不足を感じていませんでしたが、音量を低めにした時には少し不満を感じていました。スピーカー背後の壁は、石膏ボードに壁紙を貼った平凡な作りです。石膏ボードは中高音は反射しますが、低音は通過させてしまいます。そこで、中高音は吸収し、低音を反射する調音パネルを製作し、それをスピーカーの背後に置くことにしました。

ベースは18x1220x910mmのMDFボードにしました。 それに天井用のロックウール製化粧吸音板(吉野石膏(http://yoshino-gypsum.com/)、ソーラトン キューブ クロス 6T)を釘付けしました。
この調音パネルをスピーカーの背後の壁に立てかけるように設置しました。

Installation of sound tuning panel Installation of sound tuning panels Installation of sound tuning panel

この調音パネルは、低音の量感の改善だけでなく、音の定位の改善にも役立ちました。それまでは、音が左寄りに定位する傾向があったのですが、より中央に近いところに定位するようになりました。

Rev. A: ミッドレンジ・ユニットのアップグレード(2012年11月)

いよいよミッドレンジをホーン型に換えるときがやってきました。1974年、17歳のときに描いた理想像を実現するときがついにやってきたのです。

使用ユニットはフォステックスのウッド・ホーン H400 とドライバー D1405 です。これらは、本機を設計した時点ですでに将来の導入を予定していたユニットです。

Fostex H400 (front view) Fostex H400 (top view) Fostex D1405 (back view) Fostex D1405 (front view)

H400とD1405は2セットで約18万円しました。オーディオに金をかけるのが嫌いな私にしては、異例の決断でした。しかし、「ミッドレンジで音質が決まり、ツィーターで音色が決まる」というのが私の持論ですし、システム全体を見ても、スピーカーが最もシステム・トータルの音質を左右します。パワーアンプのようにシステム・トータルの音質にあまり影響しないコンポーネントには金をかけるのはもったいないですが、ミッドレンジ・ユニットこそ、システム中で最も奮発すべきパーツです。

D1405の推奨クロスオーバー周波数は850Hzなのですが、それまでチャンデバのCD-211でミッドレンジ下側のカットオフ周波数は720Hzになっていました。これを880Hzに変更しました。ウーファー側のカットオフはそれまでの530Hzから720Hzに変更しました。
もう2点CD-211を改造する必要がありました。ひとつは、ミッドレンジ出力にアッテネーターを追加することです。ミッドレンジ・アンプのDAD-M100Proはゲインが高すぎて、入力アッテネーターでかなり減衰させなければなりません。それまでも-20dBぐらいに絞っていました。6N-FE88ESの能率は90dB/W(@1m)でしたが、D1405は104dB/Wです。さらに14dB絞らなくてならないのですが、DAD-M100Proのアッテネーターは最大で-30dBまでしか絞れません。それで、CD-211側にもアッテネーターを追加することにしたのです。減衰量は-20dB固定としました。
もうひとつの変更点は、機能的な変更です。それまではCD-211のミッドレンジ出力はスイッチでミッドレンジとフルレンジを切り替えられるようになっていましたが、D1405にフルレンジの信号を入れてしまうのはまずいので、3ウェイのミッドレンジと2ウェイのツィーターの切り替えに変更しました。すなわち、スイッチを「3-way」に設定すると、ミッドレンジ出力からは880Hz~7200Hzの帯域が出力され、「2-way」に設定すると880Hz以上が出力されるように変更したのです。

CD-211の改造にはかなりの手間と時間がかかりました。D1405とH400を購入したのは2011年10月頃だったのですが、CD-211の改造が終了し、型番もCD-211Aになったのは2012年11月でした。

CD-211A

ウッド・ホーンを設置する前に、もうひとつやっておくことがありました。強力なマグネットから出る漏れ磁束がアナログ・プレーヤーPS-104のピックアップに悪影響を及ぼす心配があったのです。対策として、スピーカーとアナログ・プレーヤーの間にパーマロイ製の磁気遮蔽板を設置しました。

Magnetic screen 磁気遮蔽板の取り付け

ラックの右側にパーマロイ製磁気遮蔽板を取り付けました。
黒い薄い板がそれです。アナログ・プレーヤーをカバーしています。

ホーンの設置自体は簡単でした。まず、ドライバーをホーンに取り付けました。次に、ウーファー・ボックスの上に衝撃吸収ゴムシートを敷き、その上にミッドレンジ・ホーンを置きました。さらにその上に、ツィーターT925を置きました。最後に47研究所の0.4mm単線で接続ケーブルを作り、ミッドレンジ・アンプのフライング・モールDAD-M100Proに接続しました。

Installation of wood horn midrange (H400 + D1405) SS-309A (2012年11月)

調整には思ったより手間がかかりませんでした。
まず、各ユニットのレベル調整を行いました。様々な周波数の正弦波を記録したCD-Rを再生しつつ、マイク(オーディオテクニカ AT822)とICレコーダー(TASCAM DR-1)で音圧を確認し、フラットな特性になるように調整しました。次に様々な音楽を再生しながら、耳でf特がフラットに聞こえるように微調整しました。1週間ほどで満足のいく結果が得られました。
6N-FE88ESを使っていた頃は、レベル調整はたいへんな作業でした。マイクとVU計を使う方法はほとんど当てになりませんでした。耳だけを頼りに、1~2ヶ月かけて調整したものです(「Gaudiの調整」のページ参照)。
最後にユニットの前後方向の位置の調整を行いました。これも意外にあっさりできてしまいました。ただし、私の追求が甘かっただけで、今もまだ最適の位置になっていない可能性はあります。

さて肝心の音質ですが、期待通りの結果が得られました。
第一印象は、「美しい!」でした。それまでもGaudiの躍動的で生命感あふれる音は魅力的でしたが、さらに美しさが加わりました。特にストリングスやコーラスのハーモニーが絶品といっていいぐらい美しく、つい聴き惚れてしまいます。例えば、、マントヴァーニ・オーケストラのカスケード・ストリングス奏法(CD、マントヴァーニ・オーケストラ、マントヴァーニ・アンコール!!、Victor VICP-5618)を聴くと、天にも昇るような幸福感を感じます。もちろん、木管楽器、金管楽器、打楽器など他のあらゆる楽器の音がよくなりました。より緻密で生々しい音になったという印象です。

少しホーン臭い音になるのではないかと心配していたのですが、それはまったくの杞憂でした。また、充分エージングしなければ、音質がよくならないのではないかと心配していたのですが、それも杞憂でした。FW305を交換したときも、最初から充分高音質だと感じましたが、今回もそう感じました。フォステックスは、工場で充分エージングをしてから出荷しているのかもしれません。

もうひとつ気づいたことは、低音の質が上がったということです。ウーファー周りは何も変更していないのに、低音の迫力が増し、低音楽器の音がはっきりと聞こえるようになりました。メーカー製スピーカーによくある強調された、ブーミーな低音ではなく、歯切れのよいしまった低音です。迫力があるといっても、出しゃばった感じはなく、正確に原音を再現している感じです。ジャズのウッド・ベースが本当に目に見えるような感じで聞こえてきます。
ボーカルやナレーションの聞きとりやすさも特筆に値します。発音がすごく明瞭に聞こえます。英語の歌を聴くと、発音が明瞭なので、歌詞が自然と意識の中に入ってきます。気がつくと、英語の歌詞であるということをすっかり忘れて、いつのまにかその歌の世界に没入していることがよくあります。私は今のGaudiほど歌詞が聞き取りやすいオーディオ・システムを他に知りません。

ホーン・スピーカーを選んで良かったと思います。超軽量の振動系を強力な磁気回路で駆動するため、微弱な音も正確に再現できますし、ホーンで音響的に増幅するため、耳をつんざくような強烈な音も難なく再現します。また、能率が高いため、アンプやケーブルの負担が軽く、それらを簡素化できます。
今ではホーン・スピーカーはすっかりマイナーな存在になっていますが、もっと認められるべきスピーカーだと思います。

今回のアップグレードは大成功でしたが、一つ問題が浮き彫りになりました。ミッドレンジから残留ノイズが聞こえてくるのです。ザ―というピンク・ノイズに近いノイズと、ジ、ジ、ジ、というハム・ノイズの高調波成分ではないかと思われるノイズが聞こえてきます。
ミッドレンジ・アンプのフライング・モールDAD-M100proは、スペック的には非常にローノイズ(S/N比:120dB、残留ノイズ:25uV)なので、このトラブルは意外でした。このノイズの影響のためか、よく聞くとピアノの余韻が若干濁って聞こえます。[2015/01/26 訂正] {この原因はD1405のエージング不足であることが後にわかりました。音を濁すのはノイズ(信号に無関係な成分)ではなく歪(信号波形の変形)です}

もしハムノイズが発生しているとしたら、ドライバーにダメージを与える可能性があるので、早速、測定器(PicoScope 6)をアンプ出力につないで、ノイズの波形とスペクトルを調べました。アンプの入力はショートし、出力にはD1405を接続したままの状態で測定しました。
主な周波数成分は393kHzで、実効電圧は171mVでした。DAD-M100のクロックと思われます。心配していた低周波のノイズはかなり低いレベルでした。ハム・ノイズではありませんでした。この程度のレベルであれば、ドライバーにダメージを与える可能性はありませんが、問題であることは確かです。

Residual noise of DAD-M100pro (waveform) 残留ノイズの波形
Residual noise of DAD-M100pro (spectrum) 残留ノイズのスペクトル波形

いくつか文献を当たって調べてみましたが、これはDAD-M100に限らず、D級アンプに共通した問題であることがわかりました。結論を先に言えば、D級アンプはホーン型スピーカーには使えないのです。
D級アンプは、出力端子の手前に、高周波成分を除去するためのLCで構成されるパッシブ・フィルターを備えています。しかし、これだけでは完全に高周波成分を除去するのは不可能です。上図のように多少は出力されてしまいます。スピーカー・ユニットがダイレクト・ラジエターであれば、高周波には追従できないので音として出力されることはありません。しかし、ホーン型のようにきわめて高い応答性を持ったユニットですと、振動系が応答してしまい、さらに高周波が低周波に変調されて、可聴ノイズとして出てきてしまうのです。
参考までに、ラステーム社のRDA-560というマルチアンプ・システム用6ch D級アンプの取扱説明書にも、ホーン型スーパー・ツィーターを直接接続すると、ホワイト・ノイズが発生したり、ツィーターを破損する恐れがあると注意書きがありました(蛇足ですが、ラステーム社は倒産してしまったようです)。

ミッドレンジ・アンプはリニア・アンプにする必要があります。どのみちミッドレンジ・アンプは自作品に換えるつもりだったのですが、その時点で製作中のヘッドホン・アンプHA-213、設計中のフォノ・イコライザーPE-114より優先して、ミッドレンジ・アンプMA-215を設計・製作することにしました。もちろん、リニア・アンプです。

スパイクの誤使用とその修正(2013年11月)

Improved spike

[2015/01/26 追記]
ツィーターの交換時にふと気付いたのですが、ウーファー・ボックスに取り付けているスパイクの下に、付属の台座ををおいていました。この台座は、スピーカーを直接床の上に置く場合に、床を傷つけないために用意されているものです。SS-309は御影石の上に設置しているので、この台座は必要ありません。しかし、2004年11月以来、このように設置してあったのです(上記「スピーカー・ベースの改良(2004年11月)」を参照のこと)。
この台座を使用すると、スパイクとしての機能(振動を反射する)がなくなってしまいます。大音量で再生中にスピーカーの前の床を触ると、振動を手で感じるぐらい、振動が床に伝わっていました。
ようやくことのことに気づいて、台座を取り外しました。右の写真でスパイクの後に見えるのがその台座です。結果として、床に伝わる振動は明らかに減りました。
どうしてこのような初歩的なミスに今まで気がつかなかったのだろうと、我ながら嫌になりました。どんなにアンプやスピーカーの設計・製作を頑張っても、このようなちょっとしたミス一つで、音質は低下します。今後は十分気をつけたいと思います。

ツィーターの交換(2013年12月)

[2015/01/25 追記]
ツィータのT925の音が段々冴えなくなってきたので、ICレコーダー(TASCAM DR-1)とマイクロフォン(オーディオ・テクニカAT822)およびテストCDを使って、高域のレスポンスを測定してみました。案の定、12.5kHz以上が急激に落ち込んでいました。至急ツィーターを交換することにしました。

すでにT925は生産終了していましたので、他のユニットを選定する必要がありました。候補にあげたのはフォステックス社のTシリーズのホーン・ツィーターのうちの3機種、T900AT925AT90Aでした。ホーン型以外のツィーターを採用する気はありませんでしたし、ホーン・ツィーターを製造しているメーカーは世界的にも少なく、また、30年以上にわたりT925が私を満足させ続けてきたという実績もあり、フォステックス以外は考慮しませんでした。なお、T500Aは最初から候補から外しました。価格が高すぎるのと、ダイアフラムが純マグネシウム製ということが気になりました。以前フォステックスG2000の発表会に参加したことがありますが、そのときの印象が悪く、純マグネシウム振動板では私が求める躍動感・生命感に満ちた音は出せないのではないかという疑問を持っていました。

最も順当な選択はT925Aです。30年以上お気に入りだったT925の改良型なので、同じ音色で、よりリファインされた音質を期待できます。
T900Aにも心が動かされました。単なる部品交換だけでなく、同時にアップグレードを狙えるからです。T925Aの上位モデルというだけでなく、設計がずっと新しいので、より高音質が期待できると思いました。しかし、スペック的には僅かながらT925Aより劣っている点と、ペアで10万円近い価格が気になりました。
一番心をひかれたのは最も安価なT90Aです。大きさがT925よりふた回りぐらい小さく、少し頼りなさそうですが、スペックは他のTシリーズ製品と遜色がありません。「同じような機能・性能であれば、より小型のものを選ぶ」というのが、とのち流部品選択基準です。価格が安いから音質が劣るとは限りません。その逆の例も多々あります。
結局T925Aを選ぶか、それともT90Aにするかで大いに悩みました。なかなか結論が出なかったので、私としては珍しく他人の評価を参考にすることにしました。ネットでユーザー・レビューを検索したところ、アメリカのオーディオファイルで、Tシリーズのすべてを所有し、使用しているシステムがマルチアンプ・システムという人物を発見しました。その人の評価と、その人が主催するフォーラムでのTシリーズに関する書き込みを読んだところ、T90Aが最も評価が高いようでした。

T90Aを選びかけましたが、最後の最後に気が変わり、やはりT925Aにすることにしました。決め手はルックスです。ルックスの良さはSS-309の重要なコンセプトです。T90Aでは、寸法が小さすぎて、ウッド・ホーンH400と見た目の釣り合いが取れないと判断しました。いかにT90Aの評価が高いとはいえ、T925Aとそれほど音質差があるとも思えず、ルックスで選んでもかまわないと考えました。

参考までに、各候補の比較表を以下に示します。T925Aの仕様は基本的にT925と同じで、マグネットがアルニコになった点のみ異なります。また、仕様には現れていませんが、ホーンの形状がより肉厚になっています。価格は2015年1月現在の税抜き定価です。

型番 T90A T925A T900A
インピーダンス 8 ohm 8 ohm 8 ohm
再生周波数帯域 5kHz-35kHz 5kHz-40kHz 5kHz-38kHz
出力音圧レベル 106dB/W (1m) 108dB/W (1m) 106dB/W (1m)
入力 (music power) 50W 50W 60W
マグネット質量 100g (alnico) 240g (alnico) 240g (alnico)
総質量 800g 2kg 3.5kg
推奨クロスオーバー周波数 7kHz < (12dB/oct) 6kHz < (12dB/oct) 7kHz <
カットオフ周波数 3.6kHz 3.5kHz 3.6kHz
価格(税抜き) 19,000円 34,000円 47,000円
Fostex T925A

今までスピーカー・ユニットはすべて秋葉原のコイズミ無線で購入してきましたが(中古品を除く)、今回もコイズミ無線で購入しました。購入価格は27,800円(1本)でした。

設置はほとんど手間がかかりませんでした。もともとツィーターはミッドレンジ・ホーンの上に置いてあるだけなので、ただ置き換えればよいだけです。スタンドは付属の木製のもの使用し、T925で使用していたスタンドはT925とともに売却することにしました。唯一特別に用意したのは、防振用のハネナイト・ゴム・シートで、スタンドの下に敷きました。ケーブルも従来のものを引き続き使用しました。ケーブルの末端は、従来銀はんだでメッキしていましたが、銀はんだと言っても主成分はすずなので、腐食してしまいます。ケーブルを少し切り、末端は和光テクニカルのチタン・オーディオ・オイルを塗布することで、腐食を防ぐことにしました。

調整は、ツィーターの前後方向の位置を調整しただけです。チャンデバには何も変更を加えず、レベル調整も変えていません。フィルターのカットオフ周波数は従来通り7.2kHz、スロープは18dB/octで使用しています。

SS-309A with new tweeter (T925A)

音質に関する第一印象は、T925に比べて随分おとなしい音になったと感じたことです。しかし,エージングが進むにつれて、徐々にT925の音に近づいてきていると感じます。まだエージング不足と考えられますので、結論は保留とします。[2015/02/26 追記] {おとなしい音に聞こえた原因がわかりました。極性を逆に接続したため、位相が反転していました。ツィーターを換えるのは久々だったので、ツィーター用アンプのMA-208が反転アンプであり、スピーカーを+/-逆につながなければいけないことを、すっかり忘れていました。接続し直したところ、T925と同様の力強く、楽器の質感を感じさせる音になりました。オーディオ・システムは、システム内に1箇所でも欠陥があると、大幅に音質が劣化することを再認識しました}

ルックスに関しては、妻からクレームがつきました。スタンドが無塗装の白木ため、ウッド・ホーンの色と調和していないとのことです。塗装すると鳴きやすくなるので、あまり塗装したくないのですが、確かにスタンドがやけに浮いて見えるので、なるべくウッド・ホーンに近い色に塗装したいと思います。

T925は家の近くのHARD OFFで、ペアで15,000円で買い取ってもらいました。31年間使い込んだツィーターにそんな値がつくとは思いもよらず、びっくりしました。もしかしたら、T925のほうがT925Aよりもマニアの間では評価が高いのかもしれません。



ここまで、旧ホームページの内容を転載しました。

ここからは、2021年3月以降の改良とその結果を掲載します。

(しばらくお待ちください)