2015年の Gaudi
2016/07/17 作成
2021/05/08 更新
このページの内容は、旧ホームページ「とのちのオーディオルーム」からの転載ですが、重複部分の削除など一部編集しています。
1974年以来製作を続けてきたGaudiですが、いまだに完成に至っていません。2012年11月に、当初の目標(ブロック図)まであと一歩というところまで近づきましたが、それ以来足踏みを続けています。ミッドレンジ・アンプ MA-215 Arabesque を完成させれば、めでたくGaudiの完成ということになるのですが、そのMA-215は、設計は完了し、部品・材料もすべて揃っていますが、製作はまだ開始していません。
昨年からの相違点は、FM/AMチューナー、SONY ST-S333ESJを売却したことと、AC電源の接続を変えたことです。
現在のGaudiは次のような構成になっています。
[ブロック図]
パワーアンプMA-215 Arabesqueの製作を棚上げしているのは、Gaudiのページで述べたように、Gaudiの完成はあきらめ、今後はGaudi
IIの開発に力を注ごうとしているためです。どのみちMA-215は半導体アンプなので、Gaudiのシステム設計(プリアンプとパワーアンプのすべてを管球式にする)と食い違うので、MA-215を完成させたとしても、Gaudiの完成とはいえない、ということもあります。
Gaudi IIでは、アンプ類はすべて半導体アンプとする予定です。私は過去に半導体パワーアンプを製作した経験がないので、初めて設計したMA-215は完成度の低いアンプとなることが予想されます。MA-215は試作として製作し、その経験を活かし、Gaudi
II用のアンプを設計・製作するこころづもりでいます(もしMA-215の出来栄えが予想以上に良かった場合は、Gaudi IIで使用することも考えます)。
私のオーディオ歴は、13歳のときにステレオFMラジオを入手し、それに自作スピーカーを外部スピーカーとして接続して音質を向上させたことから始まりました。それ以来、FM放送は私の生活の一部となり、新しい音楽との出会いは、常にFMによってもたらされました。しかし、音楽番組が数を減らし、ほとんどがトーク番組になってしまい、さらに野球中継など音楽とまったく関係のない番組も増えてきた昨今、かつて「音楽電波」と呼ばれたFMも魅力が失せてしまいました。
少しさびしい気もしますが、システムをシンプル化するために、GaudiからFMチューナーを外すことにしました。今後、FMはサブシステムで聴くことにします。
音楽ファイルの再生には、引き続きデジタル・レコーダーKORG MR-2000Sをプレーヤーとして使用します。後述のように、音質は若干向上したのですが、CDスペックのファイル(44.1kHz/16bit)の音質が、SACDプレーヤーSONY
SCD-555ESでCDを再生したときの音質より、わずかながら劣っているように聞こえます。それに加え、MR-2000Sは、全角文字が含まれるファイル名や半角16文字を超える長いファイル名を認識しません。さらに、MR-2000SはFLACのような圧縮ファイルは再生できません(MP3のみ再生可)。すべての音声ファイルを高音質で再生するデジタル・プレーヤーが別途必要だと考えています。
行きつけのオーディオ・ショップで試聴したところ、現時点(2015年1月現在)では、SONY HAP-Z1ESが私の要求を満たすプレーヤーのようです。
PCオーディオに関しては、USB DAC、KORG DS-DAC-10を用い、検討を重ねてきました。その結果、PCオーディオではハイエンド・オーディオの音質は実現できないという結論に達しました。PCがノイズ源あるいは騒音源であることが主な理由です。USB DACをもっと高価なものに買い替えても、満足のいく音質は実現できないと考えています。
FMチューナーの売却とともに、システム全体のAC電源への接続を見直しました。
まず、テレビ、STB、BDプレーヤーの電源をオーディオ用コンセントからとるのをやめました。これらの機器はほとんどデジタル回路で成り立っており、AC電源の質は画質にほとんど影響しません。アナログ・テレビを使っていた頃からの習慣で、ついオーディオ用コンセントにつないだままになっていました。
空いたコンセントにKORG MR-2000Sを接続しました。それまでは、電源タップ、オヤイデOCB-1に接続していたのですが、OCB-1のコンセントにはアースが接続されていません。今までMR-2000Sをアースが接続されていない状態で使っていたわけです。ところが、MR-2000Sの取扱説明書には必ずアースに接続するように指示があります。取説には説明がありませんが、MR-2000Sの電源回路はトランスレスのようで、このことによりアース接続が必要なのだと思われます。
アース接続により、MR-2000Sの音質は若干向上したように感じます。
ついでに、SONY SCD-555ESの接続を確認したところ、何と極性が逆になっていました。いつからそうなっていたのか定かではありませんが、おそらくチャンネルデバイダーCD-211
A-NETが完成した頃だと思います。正しい極性に差し替えたところ、わずかながら音質が向上しました。音像がよりくっきりした感じです。
ちなみに、SCD-555ESの取説には電源の極性ついての指示がありません。SCD-555ESよりも設計が古く、グレードも低いST-S333ESJの取説には、電源の極性を正しく接続することで音質が向上すると書かれているのに、不思議なことです。SCD-555ESの設計者は、電源の極性は音質に影響しないと考えていたのでしょうか。
[現在のGaudiの電源接続図]
専門家は消費電力の大きい機器ほど電源供給元に近いコンセントにつなぐべき、と考えているようですが、私の考えは少し違います。重要なのはトータルの消費電力ではなく、電源電流の変化の度合いだと思います。Guadiの中で最も消費電力が大きいのは、ウーファー用アンプのMA-201Cですが、MA-201Cは管球式プッシュプル・アンプです。電源回路から出力段に供給する電流は、出力が変化してもあまり変化しません。つまり、電源回路から見れば、出力段は直流負荷に近いのです。これは出力トランスを使用していることに寄ります(詳細な説明は省略します)。出力段以外の増幅段も電源電流変化は大きくありません。加えて、MA-201Cでは電源回路にも2本の整流管を使っていて、真空管のヒーター消費電力が消費電力全体の3割以上を占めています。これは出力レベルに寄らず一定です。
同様のことがツィーター用アンプMA-208にも当てはまります。
一方で、SACDプレーヤーのSCD-555ESは、トータルの消費電力は大きくありませんが(21W)、サーボ制御のモーターやアクチュエーターが内蔵されており、電源電流がパルス状に変化します。これは音声信号と関係のない変化なので、共通インピーダンスを介して他の機器に伝わると大きく音質を損ねると思います。
以上の理由で、SACDプレーヤーは壁コンセントに直接つなぎ、アンプ類は電源タップを使っています。
コンポーネント一覧
種類 | 機種 | 特徴 | 説明 |
---|---|---|---|
ADP | NOBODY PS-104 | ●ターンテーブル: SONY TTS-8000 ●トーンアーム: GRACE G-1040 ●カートリッジ: audio-technica AT33PTG/II |
1982年に製作して以来、大きな変更なしに使い続けているプレーヤー。2014年にカートリッジをMC型に変更。今後も故障しないかぎり使い続ける予定。 |
MCヘッドアンプ | NOBODY HA-213 | MC型カートリッジ用ヘッドアンプ ゲイン=30dB |
当初ヘッドフォン・アンプとして設計を開始し、途中で方針を変えヘッドアンプに再設計したアンプ。完成度は今一つだが、まあまあの音質は確保している。 |
DAP | SONY SCD-555ES | SACD/CDプレーヤー | 第一世代SACDプレーヤー。CD再生にも力を入れている。デジタル・フィルターの特性を切り替えられる等、機能面が充実している。2001年購入。 |
DAP | Lenovo ThinkPad X121e | サブノートPC | 11'液晶ディスプレイ。128GB SSD搭載。DS-DAC-10と組み合わせることにより、デジタル・プレーヤーとして機能する。PicoScopeとの組み合わせで測定機としても使用。 |
DAP | Korg DS-DAC-10 | USB DAC | ThinkPadとの組み合わせで、デジタル・プレーヤーとして機能する。ほとんどあらゆるフォーマットの音楽ファイルの再生ができる。 |
DAR | KORG MR-2000S-BK | 1ビット・デジタル・オーディオ・レコーダー | 本来はスタジオ用のレコーダーだが、一般に小売もされている。DSD 5.6Mに対応。 アナログ盤の録音と、インターネットでダウンロードしたハイレゾ音楽ファイルの再生に使用。 |
プリアンプ | NOBODY PA-210 Simplicity | 管球式プリアンプ 全段SRPP回路採用。CR型EQ段+無帰還フラット段。 電源部別ケース。 |
2001~2003年にかけて製作。徹底的なシンプルさとローノイズを追求した管球プリ。 |
チャンデバ | NOBODY CD-211A A-NET | ソリッド・ステート 3ウェイ・チャンネル・ディバイダー |
NOBODYで初めてOPアンプを採用したモデル。2004年製作。2012年Rev. A。 クロスオーバー: 800Hz(18dB/oct), 7200Hz(18dB/oct) |
ツィーター・アンプ | NOBODY MA-208 | 管球式パワーアンプ 6BQ5 UL PP |
ホーン・ツィーター用アンプとして設計。1999年製作。 位相反転段はP-K分割式。電源に整流管を使用。 定格出力:10W+10W |
ミッドレンジ・アンプ | Flying Mole DAD-M100pro HT |
モノラルD級パワーアンプ | ミッドレンジ用に使用。管球アンプ的な温かみのあるサウンドが特徴。 定格出力:100W(8ohm) |
ウーファー・アンプ | NOBODY MA-201C | 管球式パワーアンプ 6CA7 UL PP |
1974年製作のNOBODYブランド第1号機。現在はRev. C。ウーファー用アンプとして使用。 定格出力: 30W+30W |
スピーカー | NOBODY SS-309A Trad | 3ウェイ・スピーカー・システム ●ツィーター: フォステックス T925A ●ミッドレンジ: フォステックス D1405+H400 ●ウーファー: フォステックス FW305 |
30cmウーファーを基本にした3ウェイ・スピーカー。マルチアンプを前提としているので、ネットワーク、アッテネーターは内蔵していない。2001年製作。 2012年にミッドレンジをコーン型からホーン型に変更(Rev. A)。 ウーファー・ボックスはリア・ダクト・バスレフ方式。 |
フォノ・ケーブル | PS-104 -> PA-210 | GRACE純正ケーブル (PTFE RCAプラグに交換済み) |
LC-OFCを使用した低容量ケーブル。2011年12月にRCAプラグのはんだ付けが腐食し、導通しなくなったため、RCAプラグを付け替えた。音質は若干向上した。 |
ライン・ケーブル | SCD-555ES -> PA-210 | 自作ケーブル ●線材: BELDEN 8412 ●プラグ: Teflon RCAプラグ |
マイクケーブル用2芯シールド線をラインケーブルに応用した自作ケーブル。 RCAプラグには、ノーブランドながら絶縁物にテフロンを使用したプラグを使用。 プラグの金属カバーは使用せず、代わりに熱収縮チューブをかぶせている。 |
ライン・ケーブル | PA-210 -> CD-211A | 自作ケーブル ●線材: BELDEN 8412 ●プラグ: Teflon RCAプラグ |
上記とほぼ同様の2芯シールド線を用いた自作ケーブル。片側はCD-211A内部で半田付けされている。 |
ライン・ケーブル | CD-211A -> MA-208 | 自作ケーブル ●線材: BELDEN 8412 ●プラグ: モガミ電線 7551(一部) |
マイクケーブル用2芯シールド線をラインケーブルに応用した自作ケーブル。片側はCD-211A内部で半田付けされている。 CD-211製作時(2004年)は線材にオーディオテクニカAT6A48を使用していたが、2008年にBELDENに変更。明らかにBELDENの方が高音質。 プラグの金属カバーを使わず、熱収縮チューブで代用。 |
ライン・ケーブル | CD-211A -> DAD-M100pro | 自作ケーブル ●線材:BELDEN 8412 ●プラグ: Teflon RCAプラグ |
(同上) |
ライン・ケーブル | CD-211A -> MA-201C | 自作ケーブル ●線材:BELDEN 8412 ●プラグ: Teflon RCAプラグ |
(同上) |
SPケーブル | MA-208 -> SS-309A ツィーター | 自作ケーブル ●線材: 47研究所 STRATOS ●プラグ: なし |
0.4mm銅単線を30cmピッチで寄り合わせた自作SPケーブル。 アンプ側は端子に半田付け。スピーカー側はチタン・オーディオ・オイルを塗布。 |
SPケーブル | DAD-M100pro -> SS-309A ミッドレンジ | 自作ケーブル ●線材: 47研究所 STRATOS ●プラグ: 計測器用バナナ・プラグ |
0.4mm銅単線を30cmピッチで寄り合わせた自作SPケーブル。 両端ともプラグは使用せず。芯線にはチタン・オーディオ・オイルを塗布。 |
SPケーブル | MA-201C -> SS-309A ウーファー | 自作ケーブル ●線材: 47研究所 STRATOS ●プラグ: なし |
0.65mm銅単線を30cmピッチで寄り合わせた自作ケーブル。 MA-201C側は端子に半田付け。スピーカー側は直接ユニットの端子に半田付け。 |
部屋 | 洋室、15畳相当。リビング兼リスニング・ルーム。 | 防音性能はまずまず。深夜でも音楽鑑賞可能。 中高音域に関してはややライブで、低音に関してはややデッド。勾配天井のため、定在波はほとんどなし。音調パネル、吸音パネル、吸音カーテンでチューニングしている。 オーディオ用電源あり。100Vおよび200V。コンセントはホスピタル・グレード。 |