メーカー製コンポーネント

2017/11/18 作成
2018/09/08 更新

アナログ・ディスク・プレーヤー

SL-1200GR in Gaudi II

テクニクス SL-1200GRを選定しました。
積極的な理由があってこの機種を選んだわけではありません。競合が少なく、この機種以上に魅力がある機種がなかったため、これに決定しました。

選定理由

  • ダイレクト・ドライブ(DD)である
    立ち上がりが早く、レコードの途中から再生するときに便利。また電磁ブレーキで一瞬で止まるので、再生途中で一時停止させたいときに便利。
    メンテナンス・フリーである。
  • コンパクトである
    重量もそこそこ(11.5kg)なので、置き場所に困らない。
    (大きくて押し出しの強いデザインのプレーヤーは、Gaudi IIのコンセプトに合わない)
  • 振動対策が徹底している
    樹脂板と金属板を組み合わせることで効果的に振動を抑えている。

競合はデノンの DP-1300MKII でした。定価は20万円ですが、実売価格は SL-1200GR とほぼ同じ約15万円です。
DDに限ると日本製のプレーヤーに限られますし、日本のメーカーでADプレーヤーを生産しているメーカーは少なくなったので、他には候補が見つかりませんでした。
実は、メーカー製プレーヤーを買うのであればベルト・ドライブにしてみたいと、以前は思っていました。しかし、ベルトは消耗品ですし、DDのようにスタート/ストップが素早くありません。再生を一時的に停止し、後から中断個所から再開したい場合に、やはりDDが便利です。長年DDのソニーTTS-8000(PS-104で使用したターンテーブル)を使い慣れているだけに、ベルト・ドライブでは満足できないと思います。

DP-1300MKII は天然木仕上げで格好いいのですが、振動対策は SL-1200GR の方が徹底していると評価しました。
DP-1300MKII の外観は天然木ですが、実はMDFボードに突板を貼ったものです。確かにMDFには振動を吸収する性質がありますが、MDFを使えば振動対策は完璧といえるほどの効果はありません。私自身MDFは何度も使っているので、その限界は分かっています。
性質の異なる複数の材料を組み合わせる方がいいと思います。

SL-1200GR の方が一回りコンパクトだということも、好ましい点です。

選定基準には含みませんでしたが、SL-1200GR は78rpmをサポートしているというのも魅力でした。私は2017年10月現在SPレコードを所有していませんが、今後機会があれば入手してみようと思います。その際には、SP用カートリッジも購入するつもりです。

買い換えの理由

新しいプレーヤーを買わなくても、Gaudi で使用していた自作プレーヤー PS-104 を Gaudi II でも引き続き使用する選択肢もありました。そうしなかったのは、PS-104 に不満を感じるようになったためです。
まず第一に、振動対策が充分でないことです。ラワン合板を積み重ねたキャビネットは、まあまあの性能をもっていると思いますが、現在の技術水準からいえば物足りません。
第二に、トーンアーム(グレース G-1040)が使いにくいという問題があります。高さ調整が簡単にできないし、インサイドフォース・キャンセラーの調節も、テスト・レコードを使わないとできません。私は滅多にカートリッジを換えませんが、それでも簡単に調整できる方がいいに決まっています。また、使い始めた頃からのトラブルですが、アームリフターが正常に動作しません。レコードに針を落とすたびに緊張を強いられます。

実は、SL-1200GR を購入する1年半ほど前に、G-1040が故障したと勘違いして、緊急にメーカー製プレーヤーを買うことにしました。予算はあまり確保できなかったのですが、レコードを聴けない状態が長く続くのが嫌で、価格対性能比の高いプレーヤーを買うことにしました。
インターネットで10万円以下のプレーヤーを探したところ、パイオニアの PLX-1000 が見つかりました。テクニクスの SL-1200 を復刻した製品だそうです。約78,000円でした。
近所の Hard Off でも何台か良さそうなプレーヤーを見つけましたが、全て80年代のもので、古すぎるのでやめました。

PLX-1000 を購入して早速使ってみました。
驚いたことに、PS-104 より音質で上回っていました。
理由はすぐにわかりました。PLX-1000 の方が振動対策がしっかりできているためです。振動が伝わりやすいと、トレース能力が落ちます。Gaudi ではオーディオ・ラックの代わりに古いスチールラックを使っていたので、プレーヤーに振動が伝わりやすくなっていました。このこともあり、PLX-1000 の方が優れていることがハッキリわかりました。
ピックアップ自体の性能以上に、キャビネットやインシュレーターの性能が重要なことを、改めて認識しました。

この経験により、PS-104 を使い続ける気がなくなりました。
後にトーンアームは壊れていないことが判明しましたが、他のプレーヤーに換えることにしました。

PLX-1000 をやめた理由は、MC型カートリッジを使用した場合、左チャンネルにハムノイズが混入するためです。
この不具合はメーカーも認めていて、同社のウェブサイトにMM型を推奨すると書かれています(つまり、MC型は使うなという意味)。
他にも、色が気に入らない(色が黒だが、私の好みはシルバー)、ダストカバーにヒンジがない、などのマイナーな不満があるため、買い換えることにしました。

使ってみての感想

概ね満足しています。特に音質に関しては、文句のつけようがありません。
2017年7月に設置して以来3ヶ月間、毎日のように手持ちのレコードをかけていますが、どれを聴いても今までより一段階上の音質と感じます。Dレンジが広大なレコードも問題なく再生します。

手持ちレコードの中で特にDレンジが広いものを、参考までにいくつか挙げます。
(1) Harbie Mann, All Blues/Forest Rain, Harbie Mann Music HMM-1 (1981)
(2) Raymond Lefevre, Stereo Laboratory Series Vol.10 - Strings, Barclay GP-4010 (1975)
(3) 河島英五, 酒と泪と男と女, Electra L-3503E (1979)
(4) Sonny Clark, Cool Struttin', Blue Note/Music Matters BST81588 (2010)
(1)は、私のレコードの中で、最も針飛びしやすいレコードです。ダイレクト・カッティング盤ということもあり、上手くトレースできれば、物凄く生々しい音がします。このレコードをトレースできれば、他のどんなレコードもトレースできると思います。(2)は少し古いレコードですが、(1)と同じカッティング・ヘッド(ノイマンSX-74)を使っています。再生システムの解像度を試すのに最適なレコードです。(3)は30cmシングル(回転数は45rpm)です。音溝が肉眼で見えるほど、ピッチが大きく、カッティング・レベルの非常に高いレコードです。びりつきやすいレコードです。(4)名盤のリイシュー盤です。聴いた感じはそれ程凄くないのですが、測定すると、ピークレベルがすごく高いことがわかります。

音質以外では、いくつか不満があります。
まず、外観や操作感が安っぽいということです。特にプラスチック部品を多用しているトーンアームが安っぽく見えます。

トーンアームについては、機能面でも不満がいくつかあります。

Level of Tonrarm

第一に、高さ調整の範囲が高い方に偏っていることです。カートリッジにオーディオテクニカのAT33PTG/II、ヘッドシェルにグレースのカーボンファイバー・ヘッドシェルを使用していますが、この組み合わせだと、アームを最も低い位置にセットしてもなお高すぎる状態となります。新生テクニクスはカートリッジの製造・販売はしておらず、他社製品だのみなのですから、もう少し調整範囲を広くするか、あるいは全体的にもう少しアーム取り付け位置を低くすべきです。因みに、PLX-1000ではこのような問題はありませんでした。
読者の方から、カートリッジのVTA(Vertical Tracking Angle;垂直トラッキング角度;大雑把にいえばカンチレバーとディスク表面間の角度)は音質を大きく左右するというアドバイスをいただいています。ヘッドシェルとカートリッジの間にスペーサーを挟むなどして正しいVTAに調整するつもりです。

第二に、アームリフターの下降速度が速すぎることです。
すとんと落ちるので、カートリッジにダメージを与えないかどうか、少し気になります。実際には問題なさそうですが。
アームを上げる時も勢いよくて、アームが跳ねてしまいます。もう少し、ゆっくり動いて欲しいです。こういうことも、安っぽいというイメージに繋がっています。

第三は、インサイドフォース・キャンセラーの目盛が正確でないことです。
AT33PTG/IIの標準針圧は2.0gですし、通常は2.0gに設定しています。。テスト・レコードを使ってインサイドフォース・キャンセラーを調整すると、目盛が2.5の時に釣り合います。2.0に設定すると、内周方向に針が引き寄せられます。

これは不満というより要望ですが、リモコン機能をつけて欲しかったです。本機は単純に旧SL-1200を復刻したわけではなく、設計を見直したそうですが、どうせ見直すならリモコン機能はぜひ追加して欲しかったです。ターンテーブルのスタート/ストップだけでもリモコン操作できれば、再生を中断したり再開したりが席を立たずに行えます。この機能はターンテーブルの起動や停止を素早くできるダイレクト・ドライブならではの特長となるので、他社製品との差別化要素となりえます。商品企画の段階で私に一言相談してくれればよかったのに、と思います(嘘です(笑))。
他のコンポーネントはリモコンで操作ができるのに、ADプレーヤーだけがリモコン無しというのは、アナログ盤はレトロなもの、という思い込みが強すぎるのだと思います。

小さな不満は色々ありますが、音質が良いので気に入っています。
外観が安っぽいと述べましたが、自作オーディオ・ラック AR-416 Air の上に設置して少し引いて見ると、デザインがマッチしていて、なかなかいい感じです。高級ではないけれど上質、といった風情です。

蛇足ですが、このプレーヤーは、そもそもコンセプトが変だと思います。
新生テクニクスは高級オーディオのブランドのはずなのに、高級プレーヤーではないSL-1200を復刻したのは、単にベストセラーでかつロングセラーであったSL-1200の知名度を当て込んだとしか言いようがありません。メーカー側の主張によると、旧SL-1200をそのまま復刻したわけではなく、大幅な改良を施したそうですが、それならなおさら新モデルを開発するべきだったと思います。このコンセプトだと、高級プレーヤーを求めるユーザーを満足させることは難しいし、SL-1200GRの価格は旧SL-1200の倍(SL-1200Gは4倍)なので、旧SL-1200の復刻を願っていたユーザーも納得しないと思います。

 


カートリッジ

Audio Technica AT33PTG/II

Gaudi で使い始めた、オーディオテクニカ AT33PTG/II を引き続き Gaudi II でも使用します。

2017年11月時点で、既に3年半使用しています。その音質と耐久性に満足しています。

ヘッドシェルにはグレースのカーボンファイバー・ヘッドシェル(HS-6の復刻版)、シェル・リードと取り付けネジは、AT33PTG/II の付属品を使用しています。シェル・リードはPCOCC線です。

 

選定理由

レコード・プレーヤー同様、積極的理由あって AT33PTG/II を選んだわけではありません。
若い頃から一度低出力MCカートリッジを使ってみたいと思っていました。30年以上愛用したグレース F-14 のマイクロリッジ交換針の価格が13万円に達した時に、念願のMC型カートリッジを購入することを決めました。
どうしても欲しいという機種はなかったので、ネット上で情報を集め、機種選定することにしました。
なお、F-14 の針が寿命に達したとき、MC型購入までの一時しのぎに、オルトフォン 2M Red を購入し、しばらく使っていました。

始めはピックアップ・メーカーとして最も長い歴史をもつオルトフォンの製品にしようかと思っていました。MC30 が良さそうだと思い、調べてみました。オルトフォンのブランドイメージは高いのですが、内容的には日本製カートリッジのような強い訴求ポイントがありません。おまけに値段が高いので、候補から外しました。

日本製カートリッジの魅力は、超精密加工技術と最高水準の組み立て精度で作られていることです。特にスタイラス・チップとカンチレバーに関しては、日本製が一番だと思います。シバタ針、マイクロリッジ針、ルビー・カンチレバーなど優れたパーツを生み出してきました。

オルトフォンの次に検討したのが ZYX です。ZYX はハイエンドモデルのメーカーですが、ハイエンド・メーカーの一番安い機種は狙い目だと思います。高級料亭の料理よりもB級グルメのほうが美味いと感じる私には、えてして高級品の音がなじめず、普及型のほうが良いと感じることがあります。
R50 Bloom を検討しました。しかし、MC30 同様、高くて手が出ませんでした(9万円ぐらいだったと記憶しています)。

ネット上で色々調べているうちに、ビックカメラの楽天市場店で AT33PTG/II が税込み約38,000円で売られているのを見つけました。オーディオテクニカは信頼できるメーカーですし、AT33シリーズは同社のカートリッジの中では看板商品的な存在なので、すぐに買う決心をしました。

長々と選定理由について書いておきながら、たまたま安売りされている製品を買ったという、尻つぼみの話になってしまいました。
私とオーディオ製品との出会いはいつもこんな感じです。例えば、PS-104で使用したソニーTTS-8000やグレースG-1040は、たまたま秋葉原の掘り出し物の店で半額以下で売られているのを見て、渡りに船と買った製品です。この時G-1040を買ってユーザー登録したおかげで、その後グレース(品川無線)さんとの30年以上の付き合いが始まりました。F-14を入手したのは、グレースがダイレクトメールでモニター・ユーザーを募集したときに、それに応募したからです。モニター・ユーザーにはF-14が半額で提供されました。
その他今まで購入したオーディオ製品で、事前に実物を見たり試聴した結果購入を決めたものはほとんどありません。唯一の例外が、現在 Gaudi II で使用中のソニー HAP-Z1ES(DAP)です。しかし、試聴した時に気付かなかった欠陥に買ってから気付き、あまり満足していません。一方、たまたま安売りされているのを見つけて買った製品は、満足するどころか長年にわたって愛用しているものが多いのです。皮肉な話です。

購入を決定する時に決め手となるのは、メーカーに対する信頼感です。信頼できるメーカーの主力製品というのが、一番安心して買えます。もちろん、その製品のコンセプトが自分の要求に合うということが大前提です。
前述のように、ハイエンド・メーカーの最も安価な製品というのも良いかなと思いますが、実際には買ったことはありません。

私はオーディオ雑誌を読まないので、オーディオ評論家の評価は知らないし、気になりません。
日本のオーディオ雑誌は、あまりにもメーカーとのしがらみが強すぎると思います。メーカーとのしがらみを断つために、広告を一切載せないオーディオ雑誌があれば、ぜひ購読したいと思うのですが、どなたか創刊してもらえないでしょうか。
例外的に、アメリカの Seterophile 誌は時々読みます。レビュー記事には、必ずレビュアー自身が測定したデータが載せられています。「個人の感想」よりもデータを中心に解説されているところに好感が持てます。評価対象がメーカーから提供されるサンプルではなく、市場に出回っている製品を評価している点も買えます。また、バックナンバーがネット上で無料で閲覧できるのも良いと思います。

ネット上の口コミ情報はある程度参考にします。歯に衣着せぬ意見が多いので、参考になります。

使ってみての感想

初めて実物を見た時、その精密さに目を見張りました。カンチレバーが付いていないと一瞬勘違いしたほど、カンチレバーは細く、スタイラス・チップは小さく加工されています。耐久性が心配になりましたが、このボロン製のカンチレバーはかなり頑丈で、それを支えるダンパーも丈夫なことが、後に分かります。

音質は非常に良いと思います。クリアで、癖がなく、解像度が高い音がします。それでいて、優等生的なこじんまりとした音ではなく、迫力ある、躍動感豊かな音を再現できます。音像が明確で、定位も正確です。
針が新品の時のグレース F-14+US14MR(マイクロリッジ針)に近い音質です。F-14 は私が今まで聴いたカートリッジの中で最高の音質をもっていますが、ダンパーの寿命が短く、2年ぐらいで音質が低下し始め、3年ぐらいで安物のカートリッジと同じような音質になってしまいます。
AT33PTG/II は既に3年半使用していますが、音質の低下は全く感じられません。

AT33PTG/II は、3台のプレーヤー(PS-104、PLX-1000、SL-1200GR)で使用しましたが、トレース性能に違いはありませんでした。トーンアームとの相性はあまり気にしなくても良さそうです。ただし、PLX-1000は、MC型カートリッジとの組み合わせでハムノイズが混入するので、AT33PTG/II との組み合わせはNGです。
標準針圧が2.0gとやや重めなのも、このカートリッジを使い易いものにしています。

今までに3回ほど AT33PTG/II を壊しそうになりました。
まず、新品なのに何故か音溝に汚れがこびりついていたレコード(H. V. Karajan/BPO, Richard Strauss: Also Sparach Zarathustra, Speakers Corner Records 2530-402)をかけたとき、ディスクが停止するほど音溝と針先との間に大きな摩擦が発生しました。慌ててターンテーブルを止めましたが、カートリッジにダメージを与えたのではないかと心配しました。
次に、アームをアームレストに固定しようとして手が滑り、カートリッジがターンテーブル上に勢いよく落下しました。
そして、ある時猫がターンテーブル上に飛び乗り、カートリッジにいたずらしているのを見つけました。慌てて猫を追っ払いましたが、針先に猫の毛がついていましたし、今度こそカートリッジが壊れたと思いました。
オーディオテクニカにカートリッジを送り、チェックしてもらいました。意外なことに、どこも異常がないという結果でした。こんなにラフに扱っても壊れないとは、見かけによらず頑丈です。手先が不器用な私にとって、とても有り難いことです。

AT33PTG/II の針が寿命に達したとき、買い換えを検討する予定ですが、他によほど魅力的なカートリッジが現れない限り、次も AT33PTG/II を選ぶことになりそうです。

 


デジタル・オーディオ・プレーヤー

SONY HAP-Z1ES in Gaudi II

ソニー HAP-Z1ES を選定しました。

Gaudi II で使用するつもりで、2015年9月に購入しました。すでに、2年以上使用しています(2017年11月現在)。

[2018/05/12 変更] {このプレーヤーは将来的にはPCに置き換えることにしました。(Ver. 2.1)}

選定理由

市場に出回っているほぼすべての音楽ファイルを再生できる、大容量ストレージを内蔵するDAP(デジタル・オーディオ・プレーヤー)を探した結果、HAP-Z1ES しか見つからなかったので、購入しました。

ネットワーク・プレーヤーの方が機種が豊富で選択肢が多いのですが、プレーヤー単体では機能せず、NASを接続する必要があるので、候補から外しました。1台のコンポーネントで完結しているほうが、ずっと使い易いからです。

購入を決める数ヶ月前に、行きつけのオーディオショップでこのプレーヤーを勧められました。試聴したところ、なかなかの高音質に聞こえました。
ネット上の口コミ情報を調べたところ、とても評判がよく、ほとんどのユーザーが満点をつけていました。
私にとっては高価なプレーヤーですが(定価21万円、買値約17万円)、評判もよく、今まで度々愛用してきたソニーのESシリーズ製品ということもあり、安心して買うことにしました。

私がオーディオ製品を購入する前に実物を見たり、試聴したりするのは非常に珍しいことです。中学時代まで振り返ってみても、思い当たるのはヘッドホンのオーディオテクニカ ATH-PRO700 しかありません。

使ってみての感想

HAP-Z1ES が届き、最初に電源を入れた時に、期待が一気に失望に変わりました。
内蔵HDDと冷却ファンから出る騒音がとてもうるさく、部屋中に響き渡ってしまいます。騒音を発するオーディオ装置など前代未聞です。

最近はHDD内蔵のAV機器やIT機器は数多くあります。私も、PC、デジタル・オーディオ・レコーダー、ケーブルテレビのSTB(セットトップボックス)、外付けHD(USB HD)などを使用しています。その中でも最も騒音が大きいのがHAP-Z1ESです。

これは私がたまたま不良品をつかまされただけなのかも知れないと思い、ソニーのサービスマンを呼んでチェックしてもらいました。しかし、どこも異常はないという結論でした。

サービスマンが蓋を外したとき、私も内部を見ました。1TB HDD は何と2.5インチでした。図体のでかいケースに3.5インチ静音HDDを収めるのはわけないことだと思いますが、なぜ2.5インチを採用したのか不明です。
ファンはHDDを冷却するために取り付けられていることがわかりました。そもそも3.5インチを使っていれば、このファンは不要だと思います。
内部はコンパートメントに区切られておらず、デジタル回路もアナログ回路も電源回路も同じ空間に配置されています。取り付けネジはすべて鉄製です。サービス・マニュアルにはネジを締める順番もトルクも指定されていません。振動対策も特に取られておらず、それゆえHDDとファンの騒音がケースに共鳴して余計うるさく聞こえるようです。
実装を見る限り、プロのオーディオ技術者が設計したとは思えません。IT技術者の設計という感じがします。

今までソニーのESシリーズを4台使った経験がありますが(TA-n330ES、ST-s333ESJ、SCD-555ES、TC-k333ESX)、いずれも満足のいくものでした。しかし、今回は完全に裏切られました。もうソニーはオーディオ・メーカーではなくなったのだなあ、とつくづく感じます。

価格ドットコムや楽天市場のユーザーレビューは一通り読んだつもりですが、誰も騒音問題は指摘していませんでした。私もオーディオ・ショップで試聴した時には、店内の騒音にマスクされていたため、気付きませんでした。他のHAP-Z1ESユーザーはみんな騒音がある場所で本機を使っているのでしょうか。

騒音がうるさいので、音質を評価する気にもなれませんが、出力される信号の質は良いようです。ハイレゾがハイレゾらしく聞こえます。
ソニー独自のリアルタイム・アップスケール機能のDSEEの効果も認められます。ただ、MP3のようにビットレートが低すぎるソースにDSEEを用いても、音質は上がらないようです。

HDDをSSDに交換してファンを外せば騒音は出なくなります。ソニーのサービスマンは、厳重にプロテクトがかかっているので、ユーザーが自分でドライブを交換することはできないと言っていましたが、ネット上の口コミ情報によると、できるそうです。1TB以上のSSDが手に入り次第やってみようと思います。

他に不満な点は、Wi-Fi経由でデータを転送する時に、時々エラーが発生し、電源を入れなおさないと復旧しないことと、外観が安っぽいことです。
外観については、高級感は要求しませんが、上質な感じは求めます。HAP-Z1ESの外観は、アマチュアの自作品のようです。

 


パワーアンプ

ウーファー用パワーアンプとして、フライングモール DAD-M100pro を選定しました。

Flying Mole DAD-M100pro

このアンプは、元々はスコーカー用として、2005年に購入したものです。それまではソニーTA-n330ESを使用していました。TA-n330ES は手ごろな価格(定価49,800円)ながら音質の良いパワーアンプでしたが、大きさが標準的で(幅44cm)、私にとっては大き過ぎると感じられるサイズでした。
たまたまフライングモールの広告を目にしたとき、底面積がA6サイズという超小型にもかかわらず、最大出力がTA-n330ESと同じ100W(8Ω負荷)の DAD-M1 というパワーアンプに魅力を感じました。
秋葉原の旧ラジオ会館4階にあったキムラ無線で、ほぼ同じ内容の業務用アンプ DAD-M100pro を取り扱っているという情報をつかみ、早速通販で購入しました。

2012年にスピーカー SS-309 のスコーカーをホーン型に変えるまで、DAD-M100pro をスコーカー・アンプとして使用しました。当時フルレンジ・ユニットをスコーカー用として使用していて、フルレンジとしても使えるようにしていました。TA-n330ESとの音質差は、今ではよく覚えていませんが、大きな違いはなかったと思います。

選定理由

前述のように、その小ささに興味をひかれたことと、価格が手頃だったことが購入の動機です。価格はよく覚えていませんが、2台で8万円ぐらいだった思います(モノラル・アンプなので2台必要)。

D級アンプの原理はかなり昔に考案されたようですが、この時初めてこのようなアンプがあることを知りました。A級やAB級よりずっと電源効率が高いのが特長です。
DAD-M100pro は電源にスイッチング・レギュレーターを使用していることもあり、効率が85%と非常に高くなっています(現在ではもっと効率の高いアンプが存在します)。ぜひD級アンプを使ってみたいと思いました。

D級アンプは、出力段をスイッチング動作させるので、DC電源電圧の変動がそのまま出力の変動となります。DAD-M100pro は、この問題を解決するために、フィードバック・ループにスイッチング・レギュレーターまで含めてサーボ制御しています。この技術はフライングモール社固有のもので、同社の特許になっていました。

SS-309 のスコーカーをホーン型(フォステックスH400+D1405)に替えたとき、スコーカーからノイズが出ることに気づきました。D級アンプは、高周波ノイズが出力に出るからです。DAD-M100pro に限らず、D級アンプはホーン型ユニットには向かないと結論づけました。
2015年に自作アンプ MA-215 Arabesque が完成したときに、それをスコーカー・アンプとし、DAD-M100pro は使用をやめました。

今年(2017年)Gaudi II のシステム設計が出来上がって、Gaudi II では管球アンプは使わないことにしました。そこで、DAD-M100pro を管球アンプであり、ウーファー用に使用していた MA-201C に置き換えることを思いつきました。ウーファーはコーン型なのでD級アンプでも使えますし、コーン型はホーン型より能率が低いため(10dB以上低い)、最大出力の大きいアンプが必要です。どのみち DAD-M100pro は遊んでいる状態だったので、ウーファー・アンプとして使ってみることにしました。

使ってみての感想

MA-201Cと比べると、低音の出方が明らかに変わりました。
25Hz~35Hzの超低音の量感はほとんど変わりませんが、それ以上の低音の量感が増しました。ウッドベース、エレキベース共に現実感のある音になりました。やはり駆動力が違う、という感じがします。
超低音はウーファーやバスレフ・ダクトの共振を利用して増強するので、それ程電力を供給しなくても充分な音圧が出ます。それより上70Hzぐらいまでは、ボイスコイル・インピーダンスが大幅に上昇します。70Hz~110Hzの帯域はボイスコイル・インピーダンスが低く、出力インピーダンスが高い MA-201C では充分に駆動できていなかったのではないかと推察します。その帯域で充分な音圧が出ないと、低音楽器の音量が不足して聞こえるのだと思います。

低音の量だけでなく、質も向上したと感じます。例えば、ビッグバンド・ジャズを再生したときに、今まではベースの音が少し曖昧に聞こえていましたが、ベーシストの個性まで聞き取れるようになりました。

低音の音質の向上はアンプ自体の功績だけではないと思われます。スピーカー・ケーブルを短くしたことも貢献したと思います。
DAD-M100pro は小さく軽いので置き場所に困りません。モノラル・アンプということもあって、スピーカーのすぐそばに設置できます。今回、今まで3.6mあったウーファー・ケーブルを1.8mに縮めました。このことも効果があったと思います。
アンプをウーファー・ボックスに取り付けることによって、さらにケーブルを短くすることを計画しています。

スピーカー・ケーブルは太くなければ低音が出ない、という説をよく耳にします。しかし、実際には充分インピーダンスが低ければ細くても構わないのです。太くするよりも、短くする方が効果が高いと思います。太くすると直流抵抗は下がりますが、インダクタンスはあまり下がりません。短くすれば両方とも下がります。ちなみに、2017年11月現在使用しているケーブルは、0.65㎜単線(タフピッチ銅線)です。

Gaudi II のシステム設計では、ウーファー・アンプに自作品を使うことになっていますが、DAD-M100pro 以上のアンプを設計できるかどうか、今のところ自信がありません。アンプとしての性能だけでなく、サイズに関しても、DAD-M100pro と同等かさらに小型化する必要があります。
DAD-M100pro に満足しているので、このまま使い続ける可能性が高いと思います。

 


デジタル・オーディオ・レコーダー

KORG MR-2000S-BK

デジタル・オーディオ・レコーダーはシステムにとって必須コンポーネントではありませんが、アナログ盤をデジタル化することを主な目的に、システムの中に含めています。
デジタル化しておけば、何らかの理由でアナログ盤の再生ができなくなった場合でも、愛聴盤を聴くことができます(私の愛聴盤のほとんどはアナログ盤です)。また、MP3 に変換すれば、携帯音楽プレーヤーやスマートフォンなどで聴くこともできます。

2014年3月に、KORG MR-2000S-BK を購入しました。
音質、使い勝手ともに気に入っているので、引き続き Gaudi II でも使用することにしました。

選定理由

例によって例のごとくですが、厳密な選定理由はありません。DSD5.6Mフォーマットの録音ができるもので、信頼できるメーカーのものであれば何でも良いという条件で探しました。
最初は民生品を探したのですが、今の時代アナログ・ソースを録音する人はほとんどいないみたいで、候補になりそうなものは見つかりませんでした。業務用レコーダーを探すことにしました。

楽天市場で KORG MR-2000S-BK が108,000円で売られているのを見て、即決で購入しました。
MR-2000S はDSD5.6Mをサポートしてしていますし、PCMも192kHz/24bitまでOKです。160GBのHDDを内蔵していて、かなり長時間の録音が可能です。
業務用ですが、不平衡入出力(RCAジャック)も備えているので、民生機器と簡単に接続できます。

使ってみての感想

録音の音質は非常に良いと思います。
このレコーダーで録音したデータを他のプレーヤーで再生すると、とても高音質なのがわかります。
特に感心したのは、アナログ盤をDSD録音すると、アナログ盤の直接再生よりも音質が良いということです。アナログのニュアンスを残しつつ、アコースティック・フィードバックの影響を除けるからです。(その後、オーディオ・ラック AR-416 Air の導入により、直接再生でもアコースティック・フィードバックの影響をほとんどゼロにすることに成功しました。今では直接再生の方が高音質になっています)

ところが、同じデータをこのレコーダーで再生すると、全然音質がよくありません。
ダミー負荷をつないで波形を観測すると、きれいな波形なので、相性の問題のようです。
MR-2000S の電源はトランスレスです。グラウンド電位は大地アースです。一方、Gaudi および Gaudi II のグラウンド電位は大地から浮いています。このグラウンド電位差が音質劣化要因のようです。
Gaudi II のシステム設計には、グラウンド電位差によって起きる問題を回避する対策が盛り込まれています。近い将来、この問題は解決できる見通しです。

いずれにしても、すでにADPとしてソニー HAP-Z1ES を導入済みですし、MR-2000S はリモコン機能がないなど、プレーヤーとしては利便性が低いので、今後とも再生用には使わない予定です。

 


光学ディスク・プレーヤー

Pioneer BDP-330

Gaudi II ではヴィジュアル系ソースもサポートします。DVDおよびBlu-rayディスクを再生できるプレーヤー(つまりBDプレーヤー)もシステムに含めます。
Gaudi II ではCDの直接再生は考慮していませんが、やはりCDを再生できるプレーヤーもあった方が何かと便利です。CD専用プレーヤーを用意するほどではないので、BDプレーヤーをCD再生用にも使用することにします。

2010年に18,000円で購入したBDプレーヤー、パイオニア BDP-330 を引き続き Gaudi II で使うことにします。画質・音質とも満足していますし、わざわざ買い換える必要もないと思います。

使ってみての感想

CDプレーヤーとして使っても、なかなか音質が良いと思います。

パイオニアのマルチプレイヤーと言えば、以前に使っていたLDプレイヤー CLD-970 を思い出します。89年か90年に買って、2001年にDVDプレイヤーを購入するまで使っていました。値段は確か20万円近くしたと記憶しています。
CLD-970 はCDを再生できるプレーヤーとして、私が初めて手に入れたプレイヤーでした。しかし、音質はあまり良くありませんでした。
今 BDP-330 と聴き比べることができたなら、間違いなく BDP-330 の方がいいと感じることでしょう。価格は10分の1でも、20年間の技術の進歩のおかげです。

興味半分で、DAPと同じように出力波形をチェックしてみました。16kHz正弦波をCD-Rに焼いて再生したときの波形です。
高周波ノイズが若干乗っています。ピュア・オーディオではないので、このぐらいは仕方がないか、という感じです。

Waveform of BDP-330 (16kHz)

 
























セットトップ・ボックス

Panasonic TZ-HDW611P

ケーブルテレビのSTB(セットトップ・ボックス)もGaudi II に接続します。テレビの音声を高音質に再生するときに Gaudi II を用います。

STBはケーブルテレビ局からのリースなので、自分で選定したわけではありません。
現在使用しているのは、パナソニック TZ-HDW611P です。500GBのHDDを内蔵していて、録画機能があります。

音質はパナソニックの製品らしく、なかなか良いと思います。


テレビ

JVC LT-37LH905

現在使用中のテレビは、当然のことながら、Gaudi II のために購入したものではありません。しかし、Gaudi II では、DVDやBlu-rayディスクもソースに含めることにしましたし、将来的には、音楽再生時にライナーノーツや歌詞を大画面に表示させることも検討中なので、テレビも Gaudi II のコンポーネントに含めることにしました。

2017年11月現在使用中のテレビは日本ビクター(現JVCケンウッド)のLT-37LH905です。2008年に購入しました。当時最高画質・最高音質を誇るテレビでした。同サイズの他社製液晶テレビの1.5倍ぐらいの価格でしたが、どうしても欲しくなって買ってしまいました。

すでに9年間使い続けていますが、いまだに満足度の高いテレビです。特に音質の良さは特筆ものです。ビクター得意のオブリコーンを用いたフルレンジ・スピーカー・ユニットが高音質に寄与しています。私はイコライザーをフラットに設定していますが、それで自然な音に聞こえます。低音もかなり出るし、大音量時にも歪みっぽくなりません。
映画や音楽番組を見る時も、ほとんどの場合、テレビの音声で鑑賞します。Gaudi II を使うのは、特に高音質で聴きたいソースに限られます。

満足度の高いテレビですが、最近画面に薄っすらノイズが現れるようになり、買い替えを検討しています。