2016年の Gaudi

2016/07/25 作成
2021/05/08 更新

このページの内容は、旧ホームページ「とのちのオーディオルーム」からの転載ですが、重複部分の削除など一部編集しています。


1974年以来製作を続けてきたGaudiですが、2015年9月、ついに完成しました。ミッドレンジ・アンプ MA-215 Arabesque を完成させ、アンプ類がすべて自作品になったことと、音質的にも当初の目標に達したと判断したことから、オリジナルのシステム設計と若干異なる部分があるものの(チャンネル・デバイダー以外のアンプはすべて管球式にするつもりだった)、完成とみなすことにしました。
もうひとつの変更点は、SACD/CDプレーヤー SONY SCD-555ESを、HDDプレーヤー SONY HAP-Z1ES買い換えたことです。音質・利便性・コストなど、すべての側面で、もうCDやSACDのような光学ディスクの時代ではないと判断した結果です。
現在のGaudiは次のような構成になっています。
ブロック図

Gaudi in 2016 (completed)

パワーアンプMA-215 Arabesqueは期待通りの結果をもたらしました。Gaudiの音質は一段向上し、音楽を堪能できるレベルになりました。
ただ、測定や試聴テストの結果から、MA-215には改良の余地があることが分かっています(詳しくはMA-215のページを参照のこと)。私にとって初めての半導体パワーアンプなので、やはり未熟さが現れてしまいました。
Gaudiの音質に関しては、以前からハイエンドの一歩手前という表現をこのホームページ上に書いていますが、実はその一歩が大きな差だということ実感している今日この頃です。今回もMA-215によって音質が向上しましたが、それでもまだハイエンドとは言えず、改良の余地があると感じます。一つ音質劣化要因を取り除くと、また別の問題が見えてくる、といった感じです。
やはり、Gaudiでは本当のハイエンドの音質は望めないと思います。Gaudiの問題点をもう一度洗いなおし、その分析結果をもとにGaudi II の設計・製作を始めたいと思います。そして、今度こそハイエンドの音質を実現したいと思います。

期待を込めて購入したHAP-Z1ESですが、使ってみてがっかりしました。音質云々言う前に、HDDとファンから出る騒音がうるさいのです。騒音を出すオーディオ装置など前代未聞です。ましてやHAP-Z1ESは定価21万円もするプレーヤーです。私はほかにもHDD内蔵のAV機器を2台(デジタル・レコーダー:KORG MR-2000S、STB:Panasonic TZ-HDW611P)使っていますが、どちらも騒音は出しません。ソニーのESシリーズを購入したのはこれが5台目ですが、初めて期待を裏切られました。
内部を見てみました。HDDになんと2.5インチのドライブが使われていて、それに送風するために静音タイプでない普通のファンがついていました。実装が全体的に情報機器のような印象で、とてもオーディオ技術者が設計したとは思えません。筺体が十分大きいのになぜ3.5インチの静音型ドライブを使わなかったのか不思議です。
この問題は、オーディオ・ショップで試聴した時には気づきませんでした。店内の騒音にかき消されていたためです。我が家は閑静な住宅街にあるし、防音性能もよいので、昼間でも室内はかなり静かです。HAP-Z1ESの騒音は部屋中どこからでも聞こえてしまいます。
購入前にネットでこの製品の評判を調べてみたときには、ほとんど全員が5つ星の評価であったし、オーディオ雑誌でも賞をとっていたので、このようなことは予想していませんでした。

HAP-Z1ESの導入により、KORG MR-2000Sをプレーヤーとして使用することはやめました。今後MR-2000Sはアナログ盤のデジタル化にのみ使用する予定です。騒音問題はあるものの、それでもHAP-Z1ESのほうが音質面で優れています。またスマホをリモコンとして使えるので、操作性は断然HAP-Z1ESのほうが上です。
ソニー独自のアップスケール機能であるDSEEは、効果が認められます。CDスペックのWAVファイルを再生すると、アナログ盤に近い音になります。特にオリジナルがアナログ録音の場合、有効だと思います。
騒音さえ気にしなければ、そこそこ音楽を楽しめますが、やはり気になります。いつかHDDをSSDに換えるなどして、騒音が出ないようにしたいと思います。

アナログ・ディスク・プレーヤーの交換も検討しています。今年(2016年)の始めにパイオニアPLX-1000を購入し、現在(2016年7月)まで、試聴を続けています。何度聴いても自作プレーヤーPS-104よりも音質面で優れているし、使い勝手もよいと感じるのですが、学生の時に製作し、34年間使い続けたPS-104に強い愛着があり、なかなか手離せません。

昨年からの変更点がもう一つあります。PCオーディオの音質を上げるため、PCと再生ソフトを換えました。
PCは、従来のLenovo ThinkPadからPanasonic Let's Noteに換えました。Let's Noteはサブノートでありながら、CPUにCore i5を使用していて、かなりパワフルです。
再生ソフトはAudio Gate 3 から Audio Gate 4 にバージョンを上げました。Ver. 4 はThinkPadには重たすぎるソフトで、音飛びが発生することもありましたが、Let's Noteでは問題なく動作します。
音質はかなり良くなりました。HAP-Z1ESと大差ないぐらいです。改めてKORG DS-DAC-10の優秀さを感じます。
ただし、Let's NoteはファンとHDDの騒音が大きく、今のままでは音楽鑑賞に支障があります。HDDをSSDに換えることにより改善できると思います。

コンポーネント一覧

種類 機種 特徴 説明
ADP PS-104 NOBODY PS-104 ●ターンテーブル:
SONY TTS-8000
●トーンアーム:
GRACE G-1040
●カートリッジ:
audio-technica AT33PTG/II
1982年に製作して以来、大きな変更なしに使い続けているプレーヤー。2014年にカートリッジをMC型に変更。本機を手離し、パイオニアPLX-1000に置き換えることを検討中。
MCヘッドアンプ HA-213NOBODY HA-213 MC型カートリッジ用ヘッドアンプ
ゲイン=30dB
当初ヘッドフォン・アンプとして設計を開始し、途中で方針を変えヘッドアンプに再設計したアンプ。完成度は今一つだが、まあまあの音質は確保している。
DAP SONY HAP-Z1ES HDDプレーヤー PCM: ~192kHz/24bit
DSD: ~5.6MHz
1TB HDD 内蔵。2015年購入。
DAP Panasonic Let's Note
CF-N9
サブノートPC 11'液晶ディスプレイ。250GB HDD搭載。DS-DAC-10と組み合わせることにより、デジタル・プレーヤーとして機能する。PicoScope、PAA3との組み合わせで測定機としても使用。
DAP Korg DS-DAC-10 USB DAC Let's NoteおよびAudio Gate 4と組み合わせて、デジタル・オーディオ・プレーヤーとして機能する。ほとんどあらゆるフォーマットの音楽ファイルの再生ができる。
DAR Korg MR-2000S-BK 1ビット・デジタル・オーディオ・レコーダー 本来はスタジオ用のレコーダーだが、一般に小売もされている。DSD 5.6Mに対応。
アナログ盤の録音と、インターネットでダウンロードしたハイレゾ音楽ファイルの再生に使用。
プリアンプ PA-210 SimplicityNOBODY PA-210 Simplicity 管球式プリアンプ
全段SRPP回路採用。CR型EQ段+無帰還フラット段。
電源部別ケース。
2001~2003年にかけて製作。徹底的なシンプルさとローノイズを追求した管球プリ。
チャンデバ CD-211B A-NETNOBODY CD-211B A-NET ソリッド・ステート
3ウェイ・チャンネル・ディバイダー
NOBODYで初めてOPアンプを採用したモデル。2004年製作。2012年 Rev. A、2015年 Rev. B。
クロスオーバー: 800Hz(18dB/oct), 6800Hz(18dB/oct)
ツィーター・アンプ MA-208NOBODY MA-208 管球式パワーアンプ
6BQ5 UL PP
ホーン・ツィーター用アンプとして設計。1999年製作。
位相反転段はP-K分割式。電源に整流管を使用。
定格出力:13W+13W
ミッドレンジ・アンプ MA-215 ArabesqueNOBODY MA-215 Arabesque ステレオ・ICパワーアンプ LM3886使用.
ホーン・ミッドレンジ用に設計。高DFが特徴。
定格出力:1W+1W(8ohm)
ウーファー・アンプ MA-201CNOBODY MA-201C 管球式パワーアンプ
6CA7 UL PP
1974年製作のNOBODYブランド第1号機。現在はRev. C。ウーファー用アンプとして使用。
定格出力: 30W+30W
スピーカー SS-309A NOBODY SS-309A Trad 3ウェイ・スピーカー・システム
●ツィーター:
フォステックス T925A
●ミッドレンジ:
フォステックス D1405+H400
●ウーファー:
フォステックス FW305
30cmウーファーを基本にした3ウェイ・スピーカー。マルチアンプを前提としているので、ネットワーク、アッテネーターは内蔵していない。2001年製作。
2012年にミッドレンジをコーン型からホーン型に変更(Rev. A)。
ウーファー・ボックスはリア・ダクト・バスレフ方式。
フォノ・ケーブル PS-104 -> PA-210 GRACE純正ケーブル
(PTFE RCAプラグに交換済み)
LC-OFCを使用した低容量ケーブル。2011年12月にRCAプラグのはんだ付けが腐食し、導通しなくなったため、RCAプラグを付け替えた。音質は若干向上した。
ライン・ケーブル HAP-Z1ES -> PA-210 自作ケーブル
●線材: BELDEN 8412
●プラグ: Teflon RCAプラグ
マイクケーブル用2芯シールド線をラインケーブルに応用した自作ケーブル。 RCAプラグには、ノーブランドながら絶縁物にテフロンを使用したプラグを使用。
プラグの金属カバーは使用せず、代わりに熱収縮チューブをかぶせている。
ライン・ケーブル PA-210 -> CD-211B 自作ケーブル
●線材: BELDEN 8412
●プラグ: Teflon RCAプラグ
2芯シールド線を用いた自作ケーブル。片側はCD-211B内部で半田付けされている。
ライン・ケーブル CD-211B -> MA-208 自作ケーブル
●線材: BELDEN 8412
●プラグ: モガミ電線 7551(一部)
マイクケーブル用2芯シールド線をラインケーブルに応用した自作ケーブル。片側はCD-211B内部で半田付けされている。
CD-211製作時(2004年)は線材にオーディオテクニカAT6A48を使用していたが、2008年にBELDENに変更。明らかにBELDENの方が高音質。
プラグの金属カバーを使わず、熱収縮チューブで代用。
ライン・ケーブル CD-211B -> MA-215 自作ケーブル
●線材:NEGLEX 2549
●プラグ: Teflon RCAプラグ
(同上)
ただし、線材はBELDENからNEGLEXに変更。
ライン・ケーブル CD-211B -> MA-201C 自作ケーブル
●線材:BELDEN 8412
●プラグ: Teflon RCAプラグ
(同上)
線材はBELDENを使用。
SPケーブル MA-208 -> SS-309A ツィーター 自作ケーブル
●線材: 47研究所 STRATOS
●プラグ: なし
0.4mm銅単線を30cmピッチで寄り合わせた自作ケーブル。 アンプ側は端子に半田付け。スピーカー側はチタン・オーディオ・オイルを塗布。
SPケーブル MA-215 -> SS-309A ミッドレンジ 自作ケーブル
●線材: audio-technica AT365S
●プラグ: なし
オーディオテクニカの普及タイプのOFCケーブルを使用。 両端ともプラグは使用せず。芯線にはチタン・オーディオ・オイルを塗布。
SPケーブル MA-201C -> SS-309A ウーファー 自作ケーブル
●線材: 47研究所 STRATOS
●プラグ: なし
0.65mm銅単線を30cmピッチで寄り合わせた自作ケーブル。 アンプ側は端子に半田付け。スピーカー側は直接ユニットの端子に半田付け。
部屋   洋室、15畳相当。リビング兼リスニング・ルーム。 防音性能はまずまず。深夜でも音楽鑑賞可能。
中高音域に関してはややライブで、低音に関してはややデッド。勾配天井のため、定在波はほとんどなし。音調パネル、吸音パネル、吸音カーテンでチューニングしている。
オーディオ用電源あり。100Vおよび200V。コンセントはホスピタル・グレード。