2012-13年の Gaudi
2013/07/17 作成
2021/05/08 更新
このページの内容は、旧ホームページ「とのちのオーディオルーム」からの転載ですが、重複部分の削除など一部編集しています。
1974年以来製作を続けてきたGaudiですが、ついに当初の目標(ブロック図)にあと一歩というところまで近づいてきました。スピーカーSS-309のミッドレンジ・ユニットをコーン型(Fostex 6N-FE88ES)からホーン型(Fostex
D1405+Fostex H400)に換えたのです。2012年11月現在で、まだ達成できていない点は、ミッドレンジ・アンプに、自作アンプではなくメーカー製(Flying
Mole DAD-M100pro)を用いているという点だけになりました。
[ブロック図]
今回のアップグレードは、システム・トータルの音質を確実にワンランクあるいはツーランク上に引き上げました。今までの躍動感・生命感あふれるGaudiサウンドに、美しさと緻密さが加わったという印象です。どの楽器の音もより正確に再現できるようになりました。ちょっと気味が悪いと感じるほど、生々しく演奏を再現できるようになりました(詳細はSS-309のページの「Rev. A: ミッドレンジ・ユニットのアップグレード」の項を参照のこと)
ただでさえスピーカーは、システム中最も音質を左右するコンポーネントです。とりわけミッドレンジは音質に対する影響度が高いのです。「ミッドレンジが音質を決め、ツィーターが音色を決める」というのは私の若いころからの持論です。今回のアップグレードで、持論が正しいことを証明できました。
ハイエンド・オーディオ・システムを自分の手でつくる、というのは中学生のころからの夢でしたが、その夢も今はもうほとんど現実になってきました。Gaudiが演奏を始めると、リビング・ルームという生活の場が瞬時にミニ・コンサート・ホールに変貌し、あたかも目の前で本当に生演奏をしているような臨場感を感じます。日常のひとときが至福の時に変わります。このような魔力を持ったGaudiの音質は、もはや相当ハイエンドに近いと思います。
私は、我が家に来客があった際には、必ずGaudiの音を聴いてもらっています。以前から褒めてもらうことが多かったのですが、半分はお世辞だなと感じていました。しかし、今は本当に高い評価をもらえるようになりました。言葉ではなく、表情でわかるのです。大抵の人はまずびっくりしたような表情を見せます。そして、ある人は口をあんぐり開けたまま呆然と聴いています。ある人は目をキラキラさせ、身を乗り出しながら、聴き入ります。思わず体がスイングしてしまう人もいます。演奏が終わると拍手する人もいるし、感動で涙ぐんでいる人もいます。感想を訊くと、「本当に目の前で生演奏しているように聞こえた」と言ってくれる人がいます。
いずれにせよ、Gaudiサウンドの生々しさは、少なからず聴く人に衝撃を与えるようです。
38年前、弱冠17歳のときの考えた理想のオーディオ・システムが今実現しつつあるわけですが、そのときの考え方が正しかったことが証明されつつあるともいえます。今でも私は、自作システムでハイエンドの音質を実現するには、ホーン・スピーカーと大口径ウーファーをマルチアンプ駆動するのが最も確実な方法だと考えています。
今回のアップグレードで、ひとつ問題が浮き彫りになりました。D級アンプはホーン・スピーカーには使えないということです。ノイズを発生させてしまうのです。現在ミッドレンジ・アンプとして使用しているFlying Mole DAD-M100ProはD級アンプです。幸いノイズ・レベルはそう高くなく、しばらくは今のまま使用するつもりですが、自作ミッドレンジアンプの設計・製作は優先度を上げて取り組むつもりです(詳しくはSS-309のページの「Rev. A: ミッドレンジ・ユニットのアップグレード」の項を参照のこと)。
コンポーネント一覧
種類 | 機種 | 特徴 | 説明 |
---|---|---|---|
ADP | NOBODY PS-104 | ●ターンテーブル: SONY TTS-8000 ●トーンアーム: GRACE G-1040 ●カートリッジ: Ortofon 2M Red |
1982年に製作して以来、大きな変更なしに使い続けているプレーヤー。2012年にカートリッジを交換。今後も故障しないかぎり使い続ける予定。 |
DAP | SONY SCD-555ES | SACD/CDプレーヤー | 第一世代SACDプレーヤー。CD再生にも力を入れている。デジタル・フィルターの特性を切り替えられる等、機能面が充実している。2001年購入。 |
DAP | Lenovo ThinkPad X121e | サブノートPC | 11'液晶ディスプレイ。128GB SSD搭載。DS-DAC-10と組み合わせることにより、デジタル・プレーヤーとして機能する。PicoScopeとの組み合わせで測定機としても使用。 |
DAP | Korg DS-DAC-10 + Aurorasound BusPower-Pro |
USB DAC | ThinkPadとの組み合わせで、デジタル・プレーヤーとして機能する。192kHz/24bitのPCMや5.6M DSDファイルの再生ができる。 |
チューナー | SONY ST-S333ESJ | 高機能FM/AMチューナー | 様々な付加機能を持っているが、基本機能以外は使ったことがない。FM電波はケーブルTV局から供給されているが、受信レベルが低く、音質は今一つ。 |
テープ・デッキ | AIWA EXCELIA XK-007 | 1ウェイ・3ヘッド、スタビライザー付きカセット・テープ・デッキ | 非常に忠実度の高い音がする隠れた名機。動作も安定している。1989年4月に購入して以来、一度ベルトを交換したのみで、他には一切トラブルなし。 プリアンプPA-210にREC出力がないので、現在は再生のみに使用。 |
プリアンプ | NOBODY PA-210 Simplicity | 管球式プリアンプ 全段SRPP回路採用。CR型EQ段+無帰還フラット段。 電源部別ケース。 |
2001~2003年にかけて製作。徹底的なシンプルさとローノイズを追求した管球プリ。 |
チャンデバ | NOBODY CD-211A A-NET | ソリッド・ステート 3ウェイ・チャンネル・ディバイダー |
NOBODYで初めてOPアンプを採用したモデル。2004年製作。2012年Rev. A。 クロスオーバー: 800Hz(18dB/oct), 7200Hz(18dB/oct) |
ツィーター・アンプ | NOBODY MA-208 | 管球式パワーアンプ 6BQ5 UL PP |
ホーン・ツィーター用アンプとして設計。1999年製作。 位相反転段はP-K分割式。電源に整流管を使用。 定格出力:13W+13W |
ミッドレンジ・アンプ | Flying Mole DAD-M100pro HT |
モノラルD級パワーアンプ | ミッドレンジ用に使用。管球アンプ的な温かみのあるサウンドが特徴。 定格出力:100W(8ohm) |
ウーファー・アンプ | NOBODY MA-201C | 管球式パワーアンプ 6CA7 UL PP |
1974年製作のNOBODYブランド第1号機。現在はRev. C。ウーファー用アンプとして使用。 定格出力: 30W+30W |
スピーカー | NOBODY SS-309A | 3ウェイ・スピーカー・システム ●ツィーター: フォステックス T925 ●ミッドレンジ: フォステックス D1405+H400 ●ウーファー: フォステックス FW305 |
30cmウーファーを基本にした3ウェイ・スピーカー。マルチアンプを前提としているので、ネットワーク、アッテネーターは内蔵していない。2001年製作。 2012年にミッドレンジをコーン型からホーン型に変更(Rev. A)。 ウーファー・ボックスはリア・ダクト・バスレフ方式。 |
テレビ | Victor LT-37H905 | 37型液晶テレビ | ThinkPadのディスプレーとして使用。HDMIで接続。 |
フォノ・ケーブル | PS-104 -> PA-210 | GRACE純正ケーブル | 6N銅線を使用した低容量ケーブル。アーム付属ケーブルと外観がほぼ同じ。音質が改善されている。 |
ライン・ケーブル | SCD-555ES -> PA-210 | 自作ケーブル ●線材: BELDEN 8412 ●プラグ: Teflon RCAプラグ |
マイクケーブル用2芯シールド線をラインケーブルに応用した自作ケーブル。 RCAプラグには、ノーブランドながら絶縁物にテフロンを使用したプラグを使用。 プラグの金属カバーは使用せず、代わりに熱収縮チューブをかぶせている。 |
ライン・ケーブル | PA-210 -> CD-211A | 自作ケーブル ●線材: BELDEN 8412 ●プラグ: Teflon RCAプラグ |
2芯シールド線を用いた自作ケーブル。片側はCD-211A内部で半田付けされている。 |
ライン・ケーブル | CD-211A -> MA-208 | 自作ケーブル ●線材: BELDEN 8412 ●プラグ: モガミ電線 7551(一部) |
マイクケーブル用2芯シールド線をラインケーブルに応用した自作ケーブル。片側はCD-211A内部で半田付けされている。 CD-211製作時(2004年)は線材にオーディオテクニカAT6A48を使用していたが、2008年にBELDENに変更。明らかにBELDENの方が高音質。 プラグの金属カバーを使わず、熱収縮チューブで代用。 |
ライン・ケーブル | CD-211A -> DAD-M100pro | 自作ケーブル ●線材:BELDEN 8412 ●プラグ: Teflon RCAプラグ |
(同上) |
ライン・ケーブル | CD-211A -> MA-201C | 自作ケーブル ●線材:BELDEN 8412 ●プラグ: Teflon RCAプラグ |
(同上) |
SPケーブル | MA-208 -> SS-309A ツィーター | 自作ケーブル ●線材: 47研究所 STRATOS ●プラグ: なし |
0.4mm銅単線を30cmピッチで寄り合わせた自作ケーブル。 MA-208側は端子に半田付け。スピーカー側は銀半田でメッキ。 |
SPケーブル | DAD-M100pro -> SS-309A ミッドレンジ | 自作ケーブル ●線材: 47研究所 STRATOS ●プラグ: 計測器用バナナ・プラグ |
0.4mm銅単線を30cmピッチで寄り合わせた自作SPケーブル。 アンプ側は計測器用バナナ・プラグを使用。スピーカー側は何も処理せず。 |
SPケーブル | MA-201C -> SS-309A ウーファー | 自作ケーブル ●線材: 47研究所 STRATOS ●プラグ: なし |
0.65mm銅単線を30cmピッチで寄り合わせた自作ケーブル。 MA-201C側は端子に半田付け。スピーカー側は直接ユニットの端子に半田付け。 |
部屋 | 洋室、15畳相当。リビング兼リスニング・ルーム。 | 防音性能はまずまず。深夜でも音楽鑑賞可能。 中高音域に関してはややライブで、低音に関してはややデッド。勾配天井のため、定在波はほとんどなし。音調パネル、吸音パネル、吸音カーテンでチューニングしている。 オーディオ用電源あり。100Vおよび200V。コンセントはホスピタル・グレード。 |