Gaudi II - System Design

システム設計の詳細

2017/12/16 作成
2022/03/19 更新

Gaudi II システム設計の詳細です。

設計目標

Gaudi II の設計は、Gaudi の欠点を解消することを第一の目標にしています。オーディオ・システムの音質は、何かすごいことをする(すごい回路、すごいメカの採用など)よりも、地道に欠点を一つずつ解消していくほうが向上すると思います。
Gaudi の未解決の問題点

それに加え、次の項目を重点目標としました。

  • 利便性向上
    メンテナンスフリー化、リモコン導入、消費電力削減
  • ビジュアル系コンポーネントとの親和性向上
    ピュア・オーディオ・システムからAVシステムへ
  • 耐環境性能向上
    電源電圧変動や高周波外来ノイズに影響されない性能 [2018/10/06 訂正]
  • 心理的効果を利用した音質向上
    ストレスを感じさせない操作性、部屋のインテリアに調和する外観[2021/01/03 追加]

Gaudi もAVシステム的な使い方をしていましたが、Gaudi II では、音質を最優先しつつも、AVシステムとしての機能・性能をさらに高めたいと考えています。
余力があれば、サラウンドにも挑戦したいです。
[2018/03/08 追記] {私が取り入れたいのは現代のサラウンドではなく、1970年代に流行した4チャンネルです。現在十数枚のサンスイQS4準拠のレコードとそれに近いフェイズシフト・エフェクトを使ったアナログ盤を所有してます。その中には、サラウンド効果を積極的に音楽表現に取り入れたアレンジと演奏をしているアーティストのレコードがあります。それらをアーティストが意図した通りのサウンドで聴いてみたいのです}

Gaudi では、全てのコンポーネントを自作することにこだわりましたが、Gaudi II では、自分の独自のアイデアを活かせるコンポーネント以外は、メーカー製品を使うことにします。

いっそのこと、すべてのコンポーネントをメーカー製とする選択肢もあります。ただ、その場合、システム設計に完全に合致しないコンポーネントを使用することになります。メーカー製品はプロが設計したものですが、こちらの要求に従って設計されたものではないので、多少の問題を起こしえます。
特にスピーカーとパワーアンプはカスタム品の方が有利なことは明白です。部屋の広さや音響の良し悪しがスピーカー設計に大きな影響を与え、スピーカー設計がパワーアンプ設計に大きな影響を与えるからです。

とどのつまり、プロが設計した既製品とアマチュアが設計・製作したカスタム品とどちらを選ぶか、という選択になります。後者の場合は、自分自身の知識、技術、技能のレベルによって結果が大きく左右されます。
私は後者を選びました。自分自身が腕を磨くほど、Gaudi II の音質は向上します。まるで自分を映す鏡のようです。また、自分の頑張り次第では、メーカー製ハイエンド・システムを上回る音質を実現できる可能性があります。そう思うだけでワクワクしてきます。


仕様

システム全体の仕様は次の通りです。
[2021/01/13 変更] {変更点が多くなったので、全面的に書き換えました(Ver.2.3)}

入力ソース
アナログ・ディスク … LP、EP、できればSPも (主たるソース)
音楽ファイル … DSDIFF、DSF、WAV、FLAC、AIFF、ALAC、WMA、MP3(DSDは最大5.6M、PCMは最大192kHz/24bit)
ネットラジオ(FM、AMラジオ)
CD、DVD、Blu-rayディスク
テレビ音声(ケーブルテレビのセットトップ・ボックス(STB))
その他 … スマートフォン、携帯音楽プレーヤーなど
プリアンプ入力端子
PHONO: ADプレーヤー用 … RCAジャック
DAP: デジタル・オーディオ・プレーヤー用(音楽ファイル、CD、DVD、BDネットラジオ共用)… 不平衡、RCAジャック
AUX: 補助入力(STBおよびその他のソース用)… 不平衡、RCAジャック
プリアンプ出力端子
EQ OUT: フォノEQアンプ出力 … 不平衡(RCAジャック)
PRE OUT: プリアンプ出力 … 不平衡(RCAジャック)
周波数特性
周波数帯域:25Hz~40kHz (±6dB以内) (システム全体)、1Hz~100kHz (+0.1dB/-1dB) (アンプ単体)
位相変位:±30°以内(100Hz以上)(システム全体)
ひずみ率
THD+N: 1%以下(システム全体の値)、0.01%以下(アンプ単体)
《THD(全高調波歪)はそれ程音質を反映しないと考えています。過渡特性の方が音質を左右すると思います》
過渡特性
40usecインパルス応答のセトリングタイム:0.5msec以内(システム全体)
アンプ単体: 方形波応答でリンギングが生じないこと
最大音圧
110dB(両チャンネル同時出力時、聴取位置にて)
消費電力
100W以下(アナログ・ディスク再生時)
利便性
赤外線リモコンによるセレクターとボリューム操作
スマートフォンによる操作(音楽ファイル、ネットラジオの操作)
その他
グラウンド電位は大地アースとする 。ただし、自作アンプのFGは大地アースに接続しない
機器間でグラウンド電位に差があっても音質を落とさない工夫をする
AC電源に多少のノイズが乗っても、音質に影響がでない設計とする(数値化検討中)
部屋のインテリアに調和する外観 ⇒ 「居心地の良さ」がテーマ

どのような考えで仕様を決定したかについては、以下のページをご覧ください。
システム仕様の詳細 (Gaudi2SystemSpec_jp.pdf)

アナログ・ディスクの音質の良さに関する私なりの見解を別ページに記載しました。右のボタンをクリックしてご覧ください。


構成

[2021/01/14 変更] {変更点が多くなったので、全面的に書き換えました (Ver.2.3)。以下にバージョン履歴を示します}

Ver.2.0: Gaudi のシステム設計を基に、半導体アンプと6-chボリュームを使用したシステムを設計(2017年11月)
Ver.2.1: DAPの代わりにPCを使用(2018年5月)
Ver.2.2: 6-ch ボリュームを廃止し、DVCSを採用(2018年10月)
Ver.2.3:チャンデバをデジタル式に変更。パワー・ディストリビューターを採用 (2021年1月)

Gaudi と同様、3ウェイ・マルチアンプ・システムです(右図参照)。
マルチアンプ・システムにこだわる理由は、原理的に、歪を最小限に抑えるのに最適な方式だからです。
SPユニットは電圧に比例した音圧を出力するトランスジューサーです。パワーアンプとSPユニット(スピーカー・ユニット)の間にインピーダンスが存在すると、パワーアンプの出力電圧とSPユニットの入力電圧が一致しなくなり、必然的に歪みが発生します。
マルチアンプ・システムでは、SPユニットはパワーアンプに直結させるので、そのようなことにはなりません。

真のフルレンジ・ユニット(20Hz~20kHzをフラットに、かつ低歪みで再生できるSPユニット)が存在すれば、モノアンプ・システムで事足りるのですが、私が知る限り、そのようなSPユニットは存在しません。

アンプ類はすべて半導体アンプとします。不安定要素を持ち、マイクロフォニック・ノイズを拾うので、真空管は使いません。また、真空管パワーアンプに比べ、半導体パワーアンプは出力インピーダンスが低いため、マルチアンプの利点をより引き出せます。

フォノEQ(フォノ・イコライザー・アンプ)をプリアンプから独立させることを検討しましたが、Gaudi II でもアナログ・ディスク(アナログ・レコード)を主たるソースと決めたので、フォノEQはプリアンプに内蔵させることにしました。

チャンデバ(チャンネル・デバイダー)をプリアンプに内蔵させることも検討しましたが、それはやめました。プリアンプとチャンデバは設置すべき場所が離れているからです。チャンデバはパワーアンプの近くに置かないと、ケーブルの数が多いので配線量が多くなってしまいます。パワーアンプはスピーカーのすぐそばに設置します。一方、プリアンプはプレーヤーのそばに置くのが望ましいコンポーネントです。

Gaudi と大きく異なる点は、ボリューム・コントロール本体をプリアンプに内蔵せずパワーアンプに内蔵することです。ボリューム操作はプリアンプのツマミ、あるいは赤外線リモコンで行います。
この音量調節システムをDVCS(Distributed Volume Control System=分散型音量調節システム)と名付けました

使用コンポーネント

レコード・プレーヤー(ADP)はテクニクス SL-1200GR、カートリッジはオーディオ・テクニカ AT33PTG/II とします。カートリッジに関しては、針が寿命に達した時に、買い替えを検討します。検討の結果、再びAT33PTG/IIを選ぶこともあり得ます。
実際にSL-1200GRを使ってみて、Gaudi II のADPとして必要な性能を備えていると判断しました。SL-1200GRの良いところは、振動対策が良くできているところです。ADPにとって最も重要な性能と言ってもよいかもしれません。

デジタル・オーディオ・プレーヤー(DAP)として、PCを使用します。ファンレスでメインドライブがSSDの、一切騒音を出さないものを用います。近年、そのようなオーディオ用PCが市販されています。
今までソニー HAP-Z1ES を使っていましたが、騒音を出すなど音質面で不満がありました。また。PCの方が拡張性が高いので、PCに置き換えることにしました。HAP-Z1ESの詳細は、こちらをご覧ください。

アンプ類はすべて新たに設計・製作します。Gaudi のアンプは、Gaudi II の要求仕様に合わないためです。

スピーカーは SS-309B です。Gaudi II の要求に合うように、SS-309A を改良したものです。

種別 メーカー 型番 概略仕様 備考
ADプレーヤー テクニクス SL-1200GR ダイレクトドライブ・ターンテーブル
33/45/78rpm
スタティックバランス型トーンアーム
選定理由
カートリッジ オーディオ・テクニカ AT33PTG/II MC型、マイクロリニア針
出力0.3mV、15~50,000Hz
選定理由
針が寿命に達したときに買い替えを検討
PC
(DAP)
- - 無騒音(ファンレス)
CPU: Core i5 3.1GHz以上
Windows 10
USB DACと併せてDAPを構成
選定理由
プリアンプ NOBODY CC-218 Diversity
(仮)
CR型フォノEQ、ゲイン=66dB (MC型専用)
MCU内蔵、赤外線リモコン対応
フラット段、ゲイン=0dB
ライン入力2系統、EQ出力、プリ出力
詳細
チャンネル・デバイダー
(ネットワーク)
(未定) (未定) クロスオーバー周波数: 1,800Hz、6,000Hz
48dB/oct デジタル・フィルター
タイムアライメント調整機能
選定理由
中高音用パワーアンプ NOBODY MA-219
(仮)
高音:AB級 10W モノラル
中音: AB級 10W モノラル
詳細
2台使用
低音用パワーアンプ NOBODY MA-220
(仮)
D級 80W モノラル 詳細
メーカー製品で代用する可能性あり
2台使用
マスター/スレーブ・ボリューム NOBODY MV-222
(仮)
EVR使用 マスター/スレーブ・ボリューム
モノラル
MA-220とペアで使用
2台使用
スピーカー NOBODY SS-309B 3ウェイ・スピーカー・システム
ツィーター: Fostex T925A
スコーカー: Fostex D1405+H400
ウーファー: Fostex FW305
詳細
パワー・ディストリビューター TASCAM AV-P250S Switched outlet: x10
Unswitched outlet: x3
選定理由
オーディオ・ラック NOBODY AR-416 Air 御影石ベース、5段 木製ラック
防振型
詳細
オーディオ・ラック NOBODY AR-421
(仮)
3段 木製ラック 詳細
サウンド・ディフューザー NOBODY SD-423
(仮)
木製ディフューザー
(壁からの1次反射防止用)
詳細
ケーブルテレビSTB     地上波、4KBS、BS、CS、各ダブルチューナー
録画機能(外付けHD使用)
ケーブルテレビ局からのリース
(機種は選べない)
TV/ディスプレイ SHARP AQUOS 4T-C43AM1 43型液晶テレビ、地上波、BS、CS
4K、HDMI入力 x4
選定理由

 


最大出力とゲイン

Gaudi では最大出力はどんぶり勘定で計算し、ゲインに関しては、ほとんど何も考えずに適当に決めていました。
Gaudi II では確かな根拠のもとに、適切な値を規定します。詳しくは以下のPDFをご覧ください。
最大出力とゲイン (OutputPowerAndGain_jp.pdf)

プリアンプおよびチャンネル・デバイダーの最大出力
2V(実効値)
(2.8V(+3dB)にする可能性あり)
パワーアンプの最大出力
ツィーター用: 5W ==> 10W [2020/12/27 変更] {ツィーター・アンプの仕様をスコーカー・アンプと同一にしました}
スコーカー用:10W
ウーファー用:80W
各増幅段のゲイン
以下のシステム・ブロック図およびレベル・ダイアグラムをご覧ください。(クリックで拡大)
[2018/10/12 追記] {両図内のマスター・ボリュームは、実際には各パワーアンプに内蔵されます}
[2020/12/27 変更] {図中ツィーター・アンプのゲインは+16dBとなっていますが、スコーカー・アンプと同じ+19dBとします}
Gaudi II block diagramGaudi II level diagram



















ネットワーク設定

[2021/01/22 追加] {この項を新たに追加しました}

Gaudi では、下側クロスオーバー周波数(fc1)と上側クロスオーバー周波数(fc2)を、それぞれ 800Hz、6,800Hz としていましたが、本当にこれが妥当か再検討します。
fc1=800Hzの根拠は、ウーファー FW305 のピストン運動限界周波数(fp)が450Hzであり、fc1 < 2fp にしたいがために選んだ値です。
fc2=6,800Hzは、T925(T925Aではありません)の推奨クロスオーバー周波数に合わせたものです。

一般的に、広帯域にわたってフラットな周波数特性のホーンスピーカーを実現することは困難です。スコーカーの D1405 + H400 も、1kHzをピークに高域だら下がりの特性となっています。
一方、ツィーターの T925A はなかなかよくできたユニットで、3kHz~20kHzでほぼフラットの特性となっています。推奨クロスオーバー周波数は「6.0kHz以上」となっています。
ウーファーの FW305 の推奨クロスオーバー周波数は、2kHz 以下となっています。実際、高音域の音質の良さは、FW305 の美点です。

Gaudi II - Crossover frequencies

以上のことから、スコーカーの受け持ち帯域をなるべく狭くした方がよく、そのためにウーファーとツィーターの帯域を広げるべきです。
ウーファーの帯域を広げると、分割振動による歪が増えますが、あえて4fp(=4 x 450Hz)まで使うことにします。
T925A は優秀なユニットなので、推奨値の下限まで受け持たせます。
fc1=1,800Hzfc26,000Hz

右図にネットワーク(チャンデバ)の周波数特性を示します。ウーファーの受け持ち帯域(LOW)が広く、スコーカーの受け持ち帯域(MID)が狭いことが分かります。

フィルターの減衰特性はなるべく急峻にし、ユニット間の干渉を抑えます。Gaudi II ではデジタル・チャンデバを用いますので、急峻なフィルターを簡単に実現できます。-48dB/octとします(上図ではフィルターの減衰特性が-24dB/octとなっていますが、システム設計上は-48dB/octとします)。

システム設計上は上記の値に決定しますが、システムレベル・チューニングの段階で、更なる最適値を求めます。

余談ですが、今でもフィルターの減衰特性は-6dB/octが良いとか、2-wayの方が良いという説が残っているようですが、それではマルチアンプの利点が生かせないと思います。ウーファーが発する高音やツィーターが発する中音は歪が多く、それらが重なり合うことでさらに歪が増大します。理論的に考えれば、明らかにフィルターの減衰特性は急峻な方がよく、また、各ユニットに得意な帯域のみを受け持たせる3-way、4-wayの方がマルチアンプにふさわしい構成と言えます。
理論と実際が大きく食い違うのは、未発見の問題が存在するからです。その問題を発見し、解決すれば、理論と実際が一致するようになります。未知の問題を探ろうとせず、安易に経験則に従うのは「とのち流」ではありません。


配置

[2020/02/21 変更] {この項は暫定となっていたので、書き換えました(Ver.2.3に対応)}

System layout Ver.2.3 (overview)

Gaudi II は、リビングルームに設置します。
リビングルームは木造2階建ての家屋の2階北側に位置しています。床がフローリング張りの洋室です。床面積は、3.6mx3.6m=12.96平米程で、畳の枚数でいえば8畳相当です。南側はダイニングルーム、東側は階段に接していて、どちらも間仕切りがありません。南側には3m以上、東側には約1mの空間があります。
天井は勾配天井となっていて、最高部は、床から約4mの高さがあります。天然木の板張りとなっています。
リスニングルームとして十分広い空間を確保しています。

右図にシステムの全体像を示します。図中、吸音パネルなどの音響調節用のデバイスが描かれていますが(Aで示されているもの)、それらについては、「音響」の項で説明します。
下の2枚の図に、システム全体の配置、特にスピーカーと聴取位置(Listening position)の位置関係を示します。

プレーヤー類とアンプ類は2台のオーディオ・ラック ー AR-416とAR-421 - に配置します。AR-416 にプレーヤーとプリアンプ(コントロール・センター)を、AR-421にチャンデバとパワーアンプ、STB、パワー・ディストリビューターを設置します。

System layout Ver.2.3 (top view) System layout Ver.2.3 (side view)
Another layout plan

AR-416 はスピーカーのすぐそばに配置していますが、これは音響的には好ましいとは言えません。聴取位置(listening position)の近くに置けば、音響的にも操作性においても有利です(右図)。しかし、この部屋は専用のリスニングルームではなくリビングルームなので、生活動線や家具の配置も考慮しなければなりません。検討した結果、上図に示した位置に決定しました。

聴取位置は、天井が最も高いところに設定しました。
聴取位置から見たスピーカーの開角が、38度というのは狭すぎると思われる方がいるかもしれません。実際、昔の教科書(文献-8)を見ると、この角度は50度以上が好ましく、60度が理想的、30度以下ではステレオ感が得られない、と書かれています。昔の低解像度のシステムでは、実際にそうだったのかもしれません。しかし、私の経験では、20度ぐらいでもステレオ感は得られます。
スピーカーを左右に開きすぎると、左右の壁に近くなり、壁からの1次反射の影響で音像定位が不安定になる恐れがあります。最悪の場合、音像が中央に定位しない、いわゆる中抜け現象が起きます。そのような不具合が起きなかったとしても、楽音があまりに横の方から聞こえるのは不自然な気がします。私としては、部屋の形状や広さにもよりますが、40度前後の開度が良いと考えています。
ちなみに、2xHD Audiophile Speaker Set-Up の解説書によると、49度が最適だそうです。これが最近の定説のようです。

なお、システムレベル・チューニングの結果、配置が変更されることがあります。

Component layout V2.3

オーディオ・ラック上のコンポーネント配置は、音質最優先で決定します(右図)。
第一に、振動に弱いレコード・プレーヤー(ADP)を振動が最も伝わりにくい場所に置き、次に接続ケーブルが極力短くなるようにその他のコンポーネントを配置します。

ADPは、オーディオ・ラック AR-416 の最上段に置きます。この位置が最も床からの振動が抑制されています。また、操作し易い場所でもあります。

ケーブル類の中でも特にスピーカー・ケーブルは、長さが音質に悪影響を与える度合いが高いので、パワーアンプをスピーカー・ユニットのすぐそばに配置します。スピーカー・ケーブルの長さは70cmを目標とします。
ウーファー・アンプ(MA-220)は、スピーカー SS-309B のウーファーボックスに直接取り付けます。ウーファー・アンプ用のボリューム・ユニット(MV-222)は、オーディオ・ラック AR-421 の最下段に置きます。
スコーカー/ツィーター・アンプ(MA-219)は AR-421 の最上段に置きます。

チャンデバと各パワーアンプを接続するケーブルは本数が多いので、チャンデバはパワーアンプの近く、すなわち AR-421 上に置きます。最上段に置くことにしてますが、中段に変更するかもしれません。

プリアンプ(CC-218)は、操作性確保のために ADP のそばに置くべきなので、AR-416 の上からの2番目の段(ADPの直下)に置きます。その下の2段には、DAPとその周辺機器を収納します。
AR-416 の最下段には、使用頻度の低い DAR(MR-2000S)および測定器を置きます。

パワー・ディストリビューター(AV-P250S)は、接続先の多くが AR-421 上にあるので、AR-421 の最下段に置きます。

チャンデバとパワー・ディストリビューターはメーカー製品であり、外観が Gaudi II のコンセプトに合わないので、半透明のアクリル板で隠すようにします。


接続

[2021/02/21 変更] {変更点が多くなったので、全面的に書き換えました(Ver. 2.3)
以前はライン入出力はなるべく平衡型にするつもりでしたが、チャンデバとパワーアンプの接続のみを平衡型とし、その他は不平衡型にすることにしました。設計・製作上の負担を軽くするためです。音質的にもその方が良いと考えています}

私は、ケーブルにはあまりこだわりません。Gaudi での経験で、かなり安価なケーブルでも充分使えるということが分かっています。
特に、マニア向けの高価なケーブルは音に癖をつけるという気がしてなりません(多くのケーブルを試したわけではないので、単に私の思い込みかもしれませんが)。シンプルな構造のケーブルが良いと思っています。
材質にもこだわりはありませんが、最近はかなり安価なケーブルでもOFCを使っているので、OFC以上の材質のケーブルを使うことにします。芯線の材質よりも被覆の材質の方が、音質に対する影響度が高いという気もしますが、今のところ強いこだわりはありません。

ラインケーブルには、バランス型(平衡型)、アンバランス型(不平衡型)を問わず、2芯シールド線を使います。少しでも外来ノイズが信号に混入しにくくするためです。
[2021/11/06 変更] {今までは図面も描かずにラインケーブルを製作していましたが、きちんと設計し、図面を描いた上で製作することにしました。また、プラグのシェルを使用しないなどの奇抜な構造は音質向上につながらないどころか、トラブルを引き起こすことが判明しました。今後はよりスタンダードなケーブルを使用することにします。使用する部品は目的に沿って選別します。2芯シールド線にはこだわりません。詳しくは、以下のPDFをご覧ください}
[ラインケーブル設計書(LineCable_Design.pdf)]
[ラインケーブル製作マニュアル(LineCable_Assy.pdf)]
これらの設計資料は、暫定的に用いるケーブル(CB12~15)を含んでいます。また、CB4は予備のケーブルです。

スピーカーケーブルは、とにかく短くします。インピーダンスを低く抑えるためです。長くても太いケーブルを使えばいいという考え方もありますが、太いケーブルは扱いにくく、コストも高くつきます。また短くすれば、他のケーブルと交差したり平行になったりすることを防ぐのが容易です。

Gaudi II で使用する接続ケーブルを下表に示します。
[2021/11/07 変更] {ラインケーブルを設計し直したため、大幅に変更されています}

接続機器 参照番号
製品型番
線材 長さ 送信側コネクター 受信側コネクター 備考
ADP ⇒ プリアンプ   低容量1芯シールド線 1.5m RCAプラグ RCAプラグ SL-1200GRに付属のケーブル
ステレオ・ペア
アース線付き
DAC ⇒ プリアンプ CB1 4芯シールド線
カナレ L-4E6S
1.5m RCAプラグ
カナレ F-10
RCAプラグ
カナレ F-10
不平衡型
ステレオ・ペア
プリアンプ ⇒ DAR CB2 4芯シールド線
カナレ L-4E6S
2m RCAプラグ
カナレ F-10
RCAプラグ
カナレ F-10
不平衡型
ステレオ・ペア
DAR ⇒ プリアンプ CB3
カナレ RC018
1芯シールド
(GS-6)
1.8m RCAプラグ RCAプラグ 不平衡型
ステレオ・ペア
STB ⇒ PC   ワイヤレス(Wi-Fi)
プリアンプ ⇒
チャンデバ
CB5
カナレ RC03-B2
4芯シールド線
(L-4E6S)
3m RCAプラグ
XLRプラグ 不平衡型
2本束
チャンデバ ⇒
ツィーター/
スコーカー・アンプ
CB6, CB7
カナレ EC01
4芯シールド線
(L-4E6S)
1m XLRジャック XLRプラグ 平衡型
2本束 x2
チャンデバ ⇒
ボリューム・ユニット
CB8, CB9
カナレ EC015
4芯シールド線
(L-4E6S)
1.5m XLRジャック XLRプラグ 平衡型
モノラル x2
ボリューム・ユニット
⇒ ウーファー・アンプ
CB10, CB11
カナレ RC018
1芯シールド線
(GS-6)
1.8m RCAプラグ RCAプラグ 不平衡型
モノラル x2
ツィーター/スコーカー・アンプ ⇒ ツィーター   4芯スピーカーケーブル
カナレ 4S6G
0.7m Yラグ Yラグ  
ツィーター/スコーカー・アンプ ⇒ スコーカー   4芯スピーカーケーブル
カナレ 4S6G
0.7m Yラグ Yラグ  
ウーファー・アンプ
⇒ ウーファー
  4芯スピーカーケーブル
カナレ 4S6G
0.7m Yラグ Yラグ ケーブル長はアンプの端子から
ウーファーの端子までの長さ
PC ⇒ TV   ワイヤレス

 


AC電源

コンセント
Gaudi II - Mains connection Ver.2.3

Gaudi II 専用の壁コンセントから電源をとります。
電源を必要とする機器が多いので、電源タップも併せて使用します。
右のAC電源接続図をご覧ください。(クリックで拡大)

[2018/10/14 変更] {システム設計のバージョンアップに従って、接続を変更しました(Ver. 2.2)
電源タップを一つ減らしました。200V:100V降圧トランスを廃止し、プリアンプの電源を200Vコンセントから直接とることにしました。プリアンプの電源部には、入力電圧範囲の広い(85-264V)AC/DCコンバーターを使用する予定です}

[2020/12/20 変更] {パワー・ディストリビューターを導入し、そこからアンプ類に電源を供給することにしました(Ver.2.3)。以下の説明は、Ver.2.2から大きく変わっています}

壁コンセントは2個口のものが2箇所で、一つはオーディオ・ラック AR-416 の背後に、もう一つは AR-421 の背後にあります。
各コンセントは配電盤内の専用のブレーカーに直結しています。他のコンセントや照明器具と共用していません。
壁内配線にはVVF2.0を使用します。他の配管より優先させ、配電盤からコンセントまで最短で配線しています。

壁コンセント、電源タップに使用するコンセントは医療用(ホスピタル・グレード)です。
医療用コンセントは、接触抵抗が通常のコンセントの1/3です。パナソニック電工 WN1318 を使用しています。

パワー・ディストリビューター(TASCAM AV-P250S)は10個のAC出力を備えていて、それを3つのグループ、A、B、Cに分けています。電源投入時は、A、B、Cの順で電源をオンにし、電源を落とすときは、その逆順となります。グループA、Bはプリアンプ系、グループCはパワーアンプに電源を供給します。この制御により、電源オン/オフ時のノイズ防止対策は、パワーアンプにのみ施せばよくなります。

電源ケーブル

電源ケーブルに関して、特に強いこだわりはありません。どちらかというと、音質よりも信頼性に重きを置きます。
自作アンプの場合、必ず3芯のケーブル(アース線付き)を用います。プラグも3Pタイプを用います。
メーカー製品の場合、付属のケーブルをそのまま使います。

[2020/12/30 追記] {Ver.2.3}
Gaudi II に使用する NOBODYアンプは、電源ケーブルのアース線は FG(フレーム・グラウンド、シャーシ・グラウンド)に接続されています。通常は2P-3Pアダプターを介してパワー・ディストリビューターに接続します。NOBODYアンプの電源回路は、1次側ー2次側間の絶縁性能に優れているので、FGは完全に大地アースから浮いた状態となります。他の機器と接続した時、FG電位は接続相手のそれと同じになります。こうすることによって、機器間グラウンド電位差の発生を防止します。
FGを大地アースレベルにする必要が生じた場合は、2P-3Pアダプターなしで接続します。


音響

[2020/12/31 変更] {この項は暫定となっていたので、全面的に書き換えました(Ver.2.3に対応)}

Gaudi II を設置している部屋は、かなりライブな(音が響きすぎる)部屋です。
また、内壁や床の材料が薄く、鳴きやすくなっています。左右の壁の間で定在波が発生していることも分かっています。
従来は吸音パネルを設置することによって響きを減らそうとしていましたが、検討の結果、方針を変えました。

まず、吸音パネルで吸音しようとすると、莫大なコストがかかるという事実があります。一説によると、壁の総面積の1/3に吸音パネルを取り付けないと効果が出ないそうです。
それに対して、音波を乱反射させる方法は、それ程コストがかからず、実現性の高い方法です。こちらの対策を実施することにしました。
また、部屋がライブと言っても、エコーを感じるほどではないので、1次反射と定在波さえ防げば、良好な音響となる見込みです。

音波を乱反射させるために、ディフューザーというデバイスを使います。

ディフューザー

オーディオ・メーカーが生産している市販品もありますが、部屋のインテリアに調和するものでなければならないので、市販品は使えません。特に床に置いて使う衝立のような形のものは、部屋を狭くしてしまうし、見た目にも圧迫感があるので使えません。Gaudi II のコンセプト「居心地の良い空間をプロデュースする」に反します。居心地の良くない部屋では、音楽を観賞しようという気持ちがわきません。

ディフューザーは、主に1次反射が聴取位置に来ないようにするために設置します。
(1次反射の定義については、「用語集」を参照のこと… こちら

最も音質に悪影響を及ぼすのがからの1次反射ですが、対策は一番簡単です。スピーカーと聴取位置の中間地点に座布団を起きます。クッションがスポンジのものではなく、綿のものを使います。座布団は設置するのが簡単で、ただ床の上に置けばいいだけです。普段は座布団本来の使い方をすれば良いので、収納場所がいりません。

Rejection of 1st reflection - Floor Rejection of 1st reflection - Floor (top view)
床からの1次反射防止:座布団を使用
ディフューザーというより吸音材に近い
床からの1次反射防止:座布団の位置

次に影響度が高いのは左右の壁です。左右の壁からの1次反射は、音像定位を不安定にします。左の壁には窓があります。窓ガラスは反射率が高いので厄介ですが、吸音性の高いカーテンを吊ることで対処します。
右側の壁は腰壁で、音波はその上を通り、隣接する階段脇の壁から反射して戻ってきます。その腰壁の上にディフューザー(SD-423)を取り付けます。このディフューザーは左右の壁の間で発生する定在波を抑制する効果もあります。壁に沿ってレコード・キャビネットが置かれていますが、表面は平らではないので。音を乱反射します。
階段脇の壁には、表面が凸凹のオブジェをディフィーザーとして設置します。

Rejection of 1st reflection - Left wall Rejection of 1st reflection - Right wall Rejection of 1st reflection - Right wall (top view)
左側壁からの1次反射防止:厚手のカーテンを2枚を使用
ディフューザーというより吸音材に近い
右側壁からの1次反射防止:専用設計のディフィーザーを使用
右側壁からの1次反射防止:奥の階段脇の壁には音を乱反射するオブジェを取り付ける

天井に関しては、対策は特に必要ありません。勾配天井になっているためです。天井を勾配天井にした時点で、すでに音響対策ができています。しかも勾配天井は板張りで、凹凸があります。
1次反射を起こす場所は、スピーカーから見てかなり高い位置にあります(仰角=約80度)。ホーンスピーカーの指向性は狭く、上方に放射する音圧はわずかです。また、音波が伝播する経路が長いので、天井からの1次反射は問題になりません。

Rejection of 1st reflection - Ceiling Rejection of 1st reflection - Ceiling (side view)
勾配天井 天井からの1次反射

後方からの反射も問題にならないと考えています。
後ろの壁は南側にあるので、大きな窓があります。ガラスは音をよく反射するので問題になりそうですが、聴取位置から3.3m離れているので、事実上問題になりません。直接音に比べて、1次反射音は6.6m伝播経路が長く、19msecほど遅れて聴取位置に到着します。裏付け資料が見つかってないのですが、このぐらいの遅延があると、音が歪むというより響いていると感じるようです。いわゆるリバーブ(reverberation)です。部屋の音響によってリバーブが加わることは、Hi-Fi に反する事ではありますが、音質を悪化させる度合いは低いです。
南側の窓に厚手のカーテンを二重に掛けることで、少しでも反射音を減らすようにします。

1次反射防止以外にも、音が集まりやすい場所にディフューザーを設置します。
スピーカーに近い部屋のコーナー(北西の隅)は最も音が集まりやすい場所です。ここに設置するオーディオ・ラック(AR-416 Air)がディフューザーを兼ねます。AR-416は通気孔が棚板にも側板にも開けられていて、上下左右・奥行方向いずれにも空気が通るように設計されています。その上、Gaudi II で使用するコンポーネントは小型のものばかりなので、オーディオ・ラック内に多くの隙間ができます。そのため、AR-416 が設置されているだけでディフィーザーとして機能します。

スピーカー背後の壁の高めのところにもディフューザーを設置します。このディフューザーは額縁を改造して作るつもりです。部屋の装飾も兼ねます。リトグラフをこの額縁に入れることも考えましたが、絵画ですと存在感があり過ぎなので、日本が世界に誇る工芸品である和紙を飾ろうと考えています。料紙(仮名の書のための半紙)にインクジェット・プリンターで綺麗に印刷することが可能であれば、大好きな紀貫之(きの・つらゆき)の書を印刷して飾りたいと思います。仮名の書は絵画的な美しさを備えている一方で、線が細く、奥ゆかしいので、リスニングルームの装飾にふさわしいと思います。自分で臨書(書き写すこと)できればそれに越したことはないのですが、あいにく私は字が下手なので、自分では書けません。
壁に取り付けたテレビは、わずかに下向きにチルトさせています。音を乱反射させるというほどではないですが、定在波の防止にはなると思います。ちなみに、テレビを壁に取り付けることにしたのは、テレビを少しでもスピーカーのフロントバッフルから遠ざけるためです。そうすることで音響的歪の発生を抑制します。

AR-416 AR-416 on the corner of the room Diffusers on back wall Installation of TV
AR-416 Air:穴だらけのオーディオ・ラック AR-416 をディフィーザー代わりに部屋のコーナーに設置する スピーカー背後の壁にもディフィーザーを取り付ける

TVの取り付け方:やや下向きにチルトさせる
吸音パネル

少しでも余計な残響を減らすため、部屋の所々に吸音パネルを設置します。
Gaudi 時代に設置した吸音パネルも、引き続き使用します。

最も効果が高いのが、勾配天井上部付近の壁に取り付けた吸音パネルです。Gaudi 時代に設置したもので、イノアック社製 SoundGuard W という製品です(販売元は八幡ねじ)。これがないと音像定位が不安定になります。
スピーカーと向かい合う立ち上がり壁に取り付けた SoundGuard W の寸法は 1800 x 900mm で、その左右の壁に取り付けた SoundGuard W は900 x 600mm です。

Layout of sound absorbers Sound absorbers - Center and left Sound absorbers - Center and right
SoundGuard W の取り付け位置 中央と左側の SoundGuard W
中央と右側の SoundGuard W

左側スピーカーそばのコーナーは音が集まりやすいところなので、吸音パネルを設置します。
2021年2月現在、どのような吸音パネルを使用するか決まっていません。オーディオ・ラック AR-416 のそばに設置するものなので、見栄えが良いものでなければなりません。

Sound absorbers in the corner of the room Sound absorbers and audio rack
部屋のコーナーに取り付ける吸音パネル オーディオ・ラックがそばにある

上記のほかにも、Gaudi 時代に設置した小さな吸音材が部屋のそこここにあります。一つひとつはほとんど効果がありませんが、全体として多少の効果があると思います。引き続き使用します。

Sound absorbers - Opposite wall Sound absorbers - Above loudspeakers Sound absorbers - Near the loudspeakers
南側の壁の吸音パネル
吉野石膏 Solaton Cube 12
スピーカー上方の吸音材
ミクロンウール等をよしずのすだれに巻いたもの
スピーカーの傍の吸音材
紙筒に入れたミクロンウール
その他の音響対策

調音パネルをスピーカー背後に設置します。Gaudi 時代に自作したものを引き続き使用します。
この音調パネルは、部屋の音響調整するためのものというより、スピーカー SS-309B の付属品のようなものです。
詳しくは、SS-309 のページをご覧ください。(こちら

Acoustic panel Installation of Acoustic panels Installation of Acoustic panels (overview)
音調パネル:18x910x1220mmのMDF板に、吉野石膏 Solaton Cube 12 を釘で打ち付けたもの スピーカー背後の壁にもたれかかるように設置
左右のスピーカーそれぞれの背後に設置


制振

制振(振動の抑制)対策には2種類あります。
第一に、スピーカーから発生する振動が他のコンポーネントに伝わらないようにすること(アコースティック・フィードバックの抑制)、第二に、床、壁、家具等が共振しないようにすること(デッドニング)です。

アコースティック・フィードバックの抑制

徹底的に制振対策を施したオーディオ・ラックを製作し、スピーカーからの振動がオーディオ・ラック上のコンポーネントに伝わらないようにします。
特に、振動に弱いレコード・プレーヤーに関しては、ピックアップが拾うノイズを測定し、実測データをもって対策の有効性を確認します。
[2018/03/08 追記] {このオーディオ・ラック(AR-416 Air)は2017年6月に完成し、すでに Gaudi II で使用しています}
AR-416 は可聴帯域全域にわたって優れた遮音性をもっています。アコースティック・フィードバックの問題は解決しました。

デッドニング

[2021/01/25 変更] {この項は書き直しました(Ver.2.3)}

Gaudi II を設置する部屋は、床や壁が薄いので、補強が必要です。
特に床がなりやすいことが問題です。重低音を含むソースを再生し、スピーカー付近の床を手で触ってみると、床の振動が感じられます。

にニトリ製の50x50cmのタイルカーペットを16枚敷いたところ、床の鳴りがかなり減ることが分かりました。
このタイルカーペットは2mmぐらいの厚さのゴム状の基材を使っており、それが振動を吸収する効果があるようです。
もう4枚加え、計20枚にします。タイルカーペットは安価であるし、手入れも簡単なので、とても良い解決法だと思います。

その他に、オーディオ・ラック AR-416 と AR-421(仮)も床の振動を抑える役割を果たします。両者とも、市販のオーディオ・ラックとは異なり、底面全体が床に接します。このことで床の振動を抑制します。

Tile carpet AR-416 on the floor AR-421 on the floor
50x50cmのタイルカーペットを20枚敷く AR-416:底面全体が床に密着 AR-421(仮):底面全体が床に密着

に取り付けたテレビや吸音パネルは、壁の振動を抑える作用があります。
テレビは専用の金具を使って壁に取り付けますが、石膏ボードの内壁は強度が不足しているので、補強板を使います。12mm厚のベニヤ板を補強板として壁に打ち付け、その補強板に金具を取り付けます。この補強板は制振効果を発揮します。
スピーカーの上方に取り付けるディフィーザーの取り付けも、同様に補強板を用います。
部屋の壁のそこここに取り付ける吸音パネルも、壁に密着させるため、壁の振動を抑える制振材としても機能します。

Reinforcement board for TV Reinforcement board for diffusers Sound absorber working as deadener
テレビ取り付けのための補強板 ディフィーザー取り付けのための補強板 壁に打ち付けた吸音パネル

今後とも、壁に取り付けるディフィーザーや吸音パネルなどをさらに増やします。


配置のバリエーション

[2021/02/26 追加] {この項を新たに追加しました (Ver.2.3)}
[2021/11/08 変更] {この項を全面的に変更しました}

Gaudi II を設置する部屋はリビングルームなので、生活の場として便利に使え、かつ居心地の良いように家具を配置する必要があります。
普段は下図のような配置とします。この配置を日常レイアウト(Daily layout)と呼びます。

Daily layout - top view Daily layout - overview
普段の配置(日常レイアウト) 普段の配置(日常レイアウト)

動画を見ながら食事をしたり、BGMを聴きながら読書をしたりするのに適した配置です。
音質面では最適とは言えません。スピーカーから出る音波がテーブルのそばを通過するので、反射や回折により歪んでしまいます。モノラルでスピーカーが1台しかない場合は問題になりませんが、ステレオ再生の場合、音場再現性が下がります。


高音質で音楽を鑑賞したい時には、下図のように配置を変えます。高音質を実現するための配置で、HDレイアウト(HD layout)と呼びます。HDは High Definition の略です。「配置」の項で説明した配置に基づいています。

HD layout - top view HD layout - overview
高音質のための配置(HDレイアウト) 高音質のための配置(HDレイアウト)

以下のステップで、日常レイアウトからHDレイアウトに切り替えます。

1. テーブルとソファーを聴取位置より後ろに移動する
2. 左側の窓のカーテンを閉じる
3. スピーカーと聴取位置の間にディフィーザー代わりの座布団を置く
4. スピーカー(SS-309Bのウーファー・ボックス)のグリルを外す
5. 椅子を聴取位置に置き、その前にキーボード/マウスを載せたテーブルを置く
6. シーリングライト(天井の照明)を消すか、4灯から2灯に切り替えて暗くする
7. ブラケットライトを点灯し、調光器で明るさを調整する

テーブルを移動させたり、スピーカーのグリルを外したりして音質を上げるだけでなく、照明を切り替えて音楽を聴く雰囲気を高めます。

ブラケットライトは我が家で唯一白熱電球を使った照明器具です。調光器で光量を調節できるようになっています。今の時代、本来白熱電球は使うべきではないのですが、調光器対応LED電球を試してみたところ、調光器で光量を下げようとしてもあまり暗くならないので、白熱電球に戻しました。将来的にLED電球の性能が改善され、かつ価格が手頃になった時に、再検討するつもりです。
ブラケットライトは4箇所にありますが、このうちオーディオ・ラック AR-416に近いブラケットライトは、レコード・プレーヤーの照明も兼ねています。部屋を薄暗くしても、プレーヤーの操作に支障はありません。

テーブルには、移動させやすいようにキャスターを取り付けます。

Bracket light illuminating ADP Table with casters
プレーヤーの照明を兼ねるブラケットライト キャスター付きのテーブル

HDレイアウトのバリエーションとして、来客時の配置も考案しました。Gaudi II の使い道として、自分一人で音楽を楽しむだけでなく、友人・知人に音楽のもてなしをするのに用いることもあるからです。最近はむしろこちらの方が楽しみになってきました。少しでも高音質で聴いてもらいたいので、HDレイアウトを基にした配置を考えました。
来客レイアウト(Guest layout)と名付けました。

来客レイアウトには、音質は最高ですが一人だけを対象とした配置(来客レイアウト1)と、音質的には少し妥協する代わりに2~3人同時に聴ける配置(来客レイアウト2)を考えました。両者の違いは、聴取位置に椅子を置くかソファーを置くかです。
両者に共通しているのは、聴取位置の左側にキーボード/マウスと小さな椅子を置くことです。その位置で、私が Gaudi II の操作を行います。

ソファーを使う場合でも、真ん中に座り、背もたれに寄りかからないようにすれば、椅子と同等の音質で聴けます。

Guest layout 1 - top view Guest layout 1 - overview
来客レイアウト1: 聴取位置に椅子を置く 来客レイアウト1: 聴取位置に椅子を置く
   
Guest layout 2 - top view Guest layout 2 - overview
来客レイアウト2: 聴取位置にソファーを置く 来客レイアウト2: 聴取位置にソファーを置く

コーディネート・デザイン

[2021/02/26 追加] {この項を新たに追加しました (Ver.2.3)}

オーディオ・システムを構成するコンポーネント(Gaudi II の場合、部屋も一つのコンポーネントとみなす)は、互いに調和するデザインにすることが必要です。そうすることによって、システムに統一感が生まれます。

コンポーネント同士の調和やシステムとしての統一感を実現する手法として、コーディネート・デザインという手法を考え付きました(この用語はとのちの造語です。定義については用語集をご覧ください)。
コーディネート・デザインの対象は、外観だけでなく、電気的・機械的な親和性や、操作性の統一なども含みます。DVCS のようにシステムトータルの音質を向上させる技術もコーディネート・デザインに含まれます。

具体的には、今後製作するコンポーネントは、設計の初期段階 ― 概念設計・外観設計・仕様設計 ― を同時並行で行います。同時に行なうことで、自然にデザインに統一性が生まれます。また、材料や部品の共通化が無理なくできます。

コーディネート・デザインは、製作に関しても、効率を上げる効果があります。部品を・材料の共通化が、全体として手間を減らすからです。

従来は、一つの作品を設計・製作中は、他の作品の設計は行いませんでした。構想開始から製作完了まで2年ぐらいかけていました。このペースでは私が生きているうちに Gaudi II を完成させることは不可能といっていいでしょう。コーディネート・デザインは開発効率を上げる手段でもあります。

既に概念設計を終えているコンポーネントがいくつかあります。それらの概念図を以下に挙げます。

Concept of CC-218 Concept of MA-219 Concept of MV-222
CC-218:DVCS対応のコントロール・センター(プリアンプ)、他のアンプと共通の部品を使用

MA-219:DVCS対応の中高音用パワーアンプ、他のアンプと共通の部品を使用
MV-222:DVCS対応のマスター/スレーブ・ボリューム、他のアンプと共通の部品を使用
Concept of AR-421
AR-421:パワーアンプ用オーディオ・ラック、AR-416と共通の材料を使用