Gaudi Rev.2.02
2018/12/30 作成
2022/10/12 更新
ウーファー・アンプを、自作管球アンプ MA-201Cからフライングモール社製D級アンプ DAD-M100pro に変更しました。(2017年9月)
構成
Gaudi 用に製作した初めてのコンポーネントであり、NOBODYブランド第1号機の MA-201C をついに引退させました。
1974年から43年間活躍してくれました。途中何回か改良を施しましたが、部品の大半は製作当時のままです。真空管と高耐圧電解コンデンサーの寿命以外は、故障知らずでした。
Gaudi II のシステム設計で、真空管は使わないことにしたので、半導体アンプである、フライングモールDAD-M100proに変更しました。
DAD-M100proは、以前にスコーカー・アンプとして使用していたもので、新規購入ではありません。ここ数年間押入れの中で眠っていましたが、ウーファー用として良さそうなので、再び使ってみることにしました。
このアンプの詳細については、「メーカー製コンポーネント」のページをご覧ください。
他のコンポーネントはすべて前レビジョン(Rev.2.01)と同じです。
配置
コンポーネント配置は右図の通りです(クリックすると拡大されます)。
MA-201Cを置いてあったオーディオ・ラックの最下段が空いたので、そこには音響測定用機器を置くことにしました。こまめに音響測定をし、データを蓄積しようと考えているので、手近なところに測定機器を置くことにした訳です。
システム全体の配置は下図の通りです。
まだ音響設計ができていないので、これは暫定的な配置です。
[全体配置図(上から見た図)][全体配置図(横から見た図)]
図中A、B、Cで示されるパネルは吸音パネルです。その詳細は「音響」の項で説明します。
接続
使用ケーブルは下表のとおりです。
ウーファー・ケーブルは、以前は3.6mの長さがありました。右チャンネルのウーファーとオーディオ・ラックに収納しているMA-201Cが離れていたため、それだけの長さが必要でした。
ウーファー・アンプを小型のモノラル・アンプにしたことにより、スピーカーのそばに置くことができるようになりました。その利点を生かし、ケーブル長は半分の1.8mとしました。
接続機器 | 線材 | 長さ | 送信側コネクター | 受信側コネクター | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
ADP ⇒ MCヘッドアンプ |
低容量1芯シールド線 | 1.5m | RCAプラグ | RCAプラグ | SL-1200GRに付属のケーブル アース線を一緒に束ねて使用 ステレオ・ペア |
MCヘッドアンプ ⇒ プリアンプ |
OFC 2芯シールド線 BELDEN 8412 |
1.5m | RCAプラグ テフロン絶縁材使用 網線ーGND接続 |
RCAプラグ テフロン絶縁材使用 |
不平衡型 ステレオ・ペア |
DAP ⇒ プリアンプ | OFC 2芯シールド線 BELDEN 8412 |
1.5m | RCAプラグ カナレ F-10 網線ーGND接続 |
RCAプラグ カナレ F-10 |
不平衡型 ステレオ・ペア |
BDP ⇒ プリアンプ | OFC 2芯シールド線 BELDEN 8412 |
3m | RCAプラグ テフロン絶縁材使用 |
RCAプラグ テフロン絶縁材使用 網線ーGND接続 |
不平衡型 ステレオ・ペア |
STB ⇒ プリアンプ | OFC 2芯シールド線 NEGLEX 2549 |
3m | RCAプラグ Neutrik NYS373-0 |
RCAプラグ Neutrik NYS373-0 網線ーGND接続 |
不平衡型 ステレオ・ペア |
プリアンプ ⇒ チャンデバ |
OFC 2芯シールド線 BELDEN 8412 |
1m | RCAプラグ テフロン絶縁材使用 |
はんだ付け 網線ーGND接続 |
不平衡型 ステレオ・ペア |
チャンデバ ⇒ ツィーター・アンプ |
OFC 2芯シールド線 BELDEN 8412 |
3m | はんだ付け 網線ーGND接続 |
RCAプラグ テフロン絶縁材使用 |
不平衡型 ステレオ・ペア |
チャンデバ ⇒ スコーカー・アンプ |
OFC 2芯シールド線 NEGLEX 2549 |
3m | はんだ付け | RCAプラグ Neutrik NYS373-0 網線ーGND接続 |
不平衡型 ステレオ・ペア |
チャンデバ ⇒ ウーファー・アンプ |
OFC 2芯シールド線 NEGLEX 2549 |
3m | はんだ付け 網線ーGND接続 |
RCAプラグ Neutrik NYS373-0 |
不平衡型 モノラル x2 |
ツィーター・アンプ ⇒ ツィーター |
OFC 平行線 オーディオテクニカ AT365S |
2.8m | はんだ付け | プラグ無し チタンオイル塗布 |
|
スコーカー・アンプ ⇒ スコーカー |
OFC 平行線 オーディオテクニカ AT365S |
2.8m | はんだ付け | プラグ無し チタンオイル塗布 |
|
ウーファー・アンプ ⇒ ウーファー |
0.65mm タフピッチ銅 単線 47研究所 Stratos |
1.8m | プラグ無し チタンオイル塗布 |
はんだ付け | ケーブル長はアンプの端子から ウーファーの端子までの長さ 30cmピッチでツイスト |
2芯シールド線の網線をグラウンドに接続するのに、送信側と受信側のどちらで行うかが統一されていません。
以前は送信側ですべきと考えていて、最近になって受信側が良いと考えが変わったためです。ケーブルをつなぎ変えればよいだけなのですが、億劫でそのままになっています。新しいプリアンプが完成したときに、ケーブルをつなぎ変えようと思っています。
AC電源
右図にAC電源接続を示します(クリックすると拡大されます)。
現在200Vコンセントは使用していません。
200V電源は降圧トランスで100Vに落として使用しますが、このトランスが少し使いにくいのです。負荷が重いと唸り音を出します。負荷が軽いと、2次側の電圧が高めとなります。
負荷として重いパワーアンプ用に使いたいところですが、トランスの電流容量に余裕がないと、かえってレギュレーションが悪くなります。一方、大きなトランスほど唸り音も大きくなります。
Gaudi II のシステム設計では、プリアンプに使うことにしています。降圧トランスのノイズ除去性能を期待してのことです。
プリアンプはこれから設計する予定です。AC電源電圧が110Vでも問題なく使えるように設計するつもりです。
[2018/10/14 変更] {プリアンプの電源部には、入力電圧範囲の広い(85~264V)AC/DCコンバーターを使用することにしました。降圧トランスを介さず、直接200Vコンセントに接続する予定です}
音響
Gaudi 時代に実施した対策をそのまま流用しています。
詳しくは、「Gaudi の問題点」のページをご覧ください。
「配置」の項で紹介した全体配置図中、記号A~Cで示されているのが吸音パネルおよび音調パネルです。この3つが効果を上げています。他の対策の効果は、はっきりしません。
記号 | 素材 | サイズ | 設置場所 | 効果 |
---|---|---|---|---|
A | 18mm厚 MDFボード 天井用吸音パネル (ソーラトン Solaton Cube 12 SC12-26T) |
910 x 1230mm | スピーカーの背後の壁に立て掛け | 低音がしっかりする |
B | 東京防音 SoundGurard W 50 | 910 x 600mm | 左右の壁の高い位置(2箇所) | 余計な響きを抑えるのに 若干効果がある |
C | 東京防音 SoundGurard W 50 | 1820 x 910mm | スピーカーの向かい側の立ち上がり壁 | 音像がまとまる 定位が安定する |
まだ余計な響きを感じます。さらに吸音パネルを増やす必要があります。
[2018/12/30 追記] {タイルカーペットを使ってみたところ、床の鳴きを抑えることができたため、この件を載せることにしました。床の鳴きはこれで解決したといっても良いかもしれません}
壁と床の材料が薄すぎて、鳴きやすくなっています。
カーペットを「タイルカーペット」と呼ばれるものに替えました。すると、床の鳴きが止まりました。
それまでは、床に手を触れれば振動を感じるほど振動していましたし、テーブルの上面でも振動を感じるぐらいでした。カーペット交換後は感じなくなりました。この安価なカーペットによって、深刻な問題が一つ解決したようです。
タイルカーペットの一片は 40cm x 40cm のサイズで、重さは0.9kgです(かなり重い)。近所のディスカウントショップで、300円で買いました。基材はゴム状の材料でできています。いかにも振動を吸収しそうな感じがします。
最初に12枚を床に敷き、あとから4枚追加して、スピーカーの前の床を覆うようにしました(計16枚)。
壁には補強が必要だと思います。
自己評価
ウーファー・アンプを変更したことで、低音の音質が向上しました。
今までは、DF(ダンピングファクター)の低い管球アンプ(MA-201C)を使用していたため、重低音はしっかり出るものの、それより上の通常の低音がやや薄っぺらく聞こえる傾向がありました。
ウーファー(Fostex FW305)のf0(エフゼロ:最低共振周波数)は25Hz、SS-309Aのバスレフポート共振周波数は26Hzです。この前後の周波数領域では、共振現象により大きな振幅が得られるので、アンプからそれほどの大電流を供給しなくても、充分な音圧が出ます。その上の帯域(50~70Hz)はウーファーのボイスコイル・インピーダンスが上昇するため、やはりあまり大きな電流を供給しなくて済みます。
一方、その上の70~150Hzの帯域では、アンプの駆動力が必要です。つまり、高DFアンプが必要です。MA-201Cでは駆動力が不足していました。
半導体アンプであるDAD-M100proに換えたことと、ウーファー・ケーブルを半分の長さの1.8mにしたことより、中低音、高低音が増強されました。増強されたといっても、低音楽器の音が不自然に強調されるのではなく、よりナチュラルに聞こえるようになりました。
ビッグバンド・ジャズの演奏でも、ベーシストの個性が聞き分けられるようになりました。
モダンジャズの代名詞ともなっているソニー・クラークの「クール・ストラッティン」(LP, Sonny Clark, Cool Struttin', Blue Note/Music Matters, BST81588)は、元々はそれほど好きな演奏ではありませんでしたが、印象が変わりました。曲終盤のベース・ソロが実に生々しく聞こえるようになり、聴いていて快感を禁じえません。すっかり愛聴盤となってしまいました。
友人数名に聴いてもらったところ、「ベースの音が本当にリアル」という感想をもらいました。
Gaudi が最も得意としていたのは金管楽器で、次いで打楽器でしたが、得意が一つ増えました。将来的には、すべてを得意にしたいものです。
私にとって最も手強い批評家は、私の妻です。一般的に、女性はオーディオ装置の値段やブランド価値などにまったく頓着がありません。メカや回路にも全然関心がありません。また、こちらがいかに苦労していても、努力過程は評価してくれません。おまけに男性より聴覚能力が高いので、少しでも歪みがあると、満足してくれません。今までに何度も辛辣なコメントをもらいました。「何でこんなガラクタ(Gaudi
のこと)リビングに置くのよ~」と文句を言われたこともあります。
その妻が、ついに褒めてくれました。「自然な音」と言ってくれました。
妻はオーディオには興味ありませんが、私が時々コンサートに連れて行くので、楽器の生音は知っています。「自然な音」という表現は、楽器の生音に近いという意味です。やっと
Gaudi サウンドを気に入ってくれたようです。
Gaudi Rev.2.01とRev.2.02の特性の違いを、実測データで示したかったのですが、私の測定技術が未熟なため、裏付けとなるようなデータを取れませんでした。これは、今後の課題です。