Gaudi システム設計

2014/10/10 作成
2021/04/25 更新

このページの内容は、旧ホームページ「とのちのオーディオルーム」からの転載ですが、重複部分の削除など一部編集しています。


Goal of Gaudi

検討の結果、Gaudi は3ウェイ・マルチアンプ・システムとすることに決定しました。アンプとスピーカーは自作とし、マルチアンプに特化させた仕様にすることにしました。
まずはスピーカーの基本仕様を決めました。大口径ウーファーとホーン型ミッドレンジ、ツィーターを採用した3ウェイ・マルチエンクロージャー・システムとしました。
アンプ類の仕様はスピーカーに合わせて決めました。プリアンプ、チャンネル・デバイダー、ウーファー用パワーアンプ、ミッドレンジ用パワーアンプ、ツィーター用パワーアンプの計5台のアンプを製作することにしました。
なお、アナログ・プレーヤーも自作することにしました。

スピーカー・ユニットの選定

ウーファー
30Hzまでフラットに再生するためには、f0が25Hz以下のウーファーが必要になります。f0=25Hz以下の市販ウーファーを探してみたところ、口径は30cm以上でした。38cmともなれば、エンクロージャーもかなり大型となり、私の小さな部屋(当時私の部屋は6畳間でした)には置く場所がありません。ウーファーは30cm口径と決めました。
ミッドレンジ
色々と異論もあろうかと思いますが、超軽量の振動板を強力な磁気回路で駆動する、高能率のホーン型を私は理想的なユニットだと思っていましたし、今も基本的にはそう考えています。ただし、ホーンの加工精度が低いと大きな歪みを発生するので、安物は使えません。ここがコストのかけどころになります。
ツィーター
ミッドレンジと同様の理由で、ツィーターもホーン型と決めました。ミッドレンジと違って、製品の種類も多く、低コスト品から高級品まで品ぞろえがありましたが、いかにもホーンというようなグレードの低い音にならないようするためには、グレードの高いツィーターを選ぶ必要がありました。

エンクロージャー方式

基本的に、マルチエンクロージャー方式にしました。そうすれば、各ユニットを個別にグレードアップできます。マルチアンプの利点を活かしたやり方です。

ウーファー用エンクロージャーはバスレフ型としました。良好な低音特性を実現しつつ、最も小型化できるのがバスレフ型だからです。
ミッドレンジとツィーターに関しては、ホーン型を使用した場合、エンクロージャーは必要ないのですが、ウーファー用エンクロージャーにマッチするようなバッフルを製作することにしました。

パワーアンプの仕様

パワーアンプの最大出力は、スピーカー・ユニットの想定の能率と部屋の広さ(狭さ)を考慮に入れて決めました。例えば、能率を95dB/Wとすると、10Wの出力でユニット軸上1mの距離で、105dBの音圧を得られます。床・壁・天井の反射が加わるとさらに大きな音になります。アンプの最大出力としては40~50Wあれば、充分ゆとりがあると考えました。

ウーファー用パワーアンプ(ウーファー・アンプ)
ウーファーの想定能率:95dB/w前後、最大出力:40~50W、周波数特性:15~50,000Hz、入力感度:1V
ミッドレンジ用パワーアンプ(ミッドレンジ・アンプ)
ミッドレンジの想定能率:98dB/W前後、最大出力:20~30W、周波数特性:15~50,000Hz、入力感度:1V
ツィーター用パワーアンプ(ツィーター・アンプ)
ツィーターの想定能率:100dB/W以上、最大出力:10~20W、周波数特性:1000~50,000Hz、入力感度:1V

パワーアンプはすべて管球式にすることにしました。これは、中学時代に自作した管球アンプ(6BM8シングル)が期待以上に良い出来で、それまで使っていたサンスイ AU-666 に勝るとも引けを取らない音質だったためです。管球アンプだったらメーカー製高級アンプに匹敵するアンプが自作できる、という自信を持っていました。

チャンネル・デバイダーの仕様

fc(クロスオーバー周波数)などのフィルター特性は、スピーカー・ユニットに合わせて決定します。なお、回路を単純化するため、切り替えスイッチは一切設けないものとしました。フィルター特性を変更したいときには、部品の交換や回路の変更で対応することにしました。メーカー製ではありえない仕様ですが、自作の場合は、このようにするのが当然です。回路を単純化すると、音質的に有利なだけでなく、コストダウンや製作期間の短縮にもつながります。
チャンデバを管球式にすると、球数が多くなりケースが大型になるので、トランジスタ式にしました。また、回路変更が容易なように、万能基板、あるいはプリント基板を用いることにしました。

プリアンプの仕様

入力はPHONO2系統、LINE3系統とし、出力はREC2系統、PRE OUT2系統としました。トーン・コントロールとテープモニター回路を設けることにし、コントロール・センターとして機能するようにしました。
EQ段はダイナミック・レンジ重視型にすることにしました。そのためにはトランジスタより、電源電圧が高く最大出力が大きい真空管の方が有利であると判断し、管球式としました。
この決定により、後々さんざん苦労することになります。自作した管球プリからは大きなノイズが出てきました。管球プリはローノイズ化が非常に難しいのです。ダイナミック・レンジよりもローノイズを優先すべきでした。しかし、このときは楽観的に考えていました。

その他のコンポーネント

当時最も高音質のソースはアナログ盤であったので(今でもそうだと思っていますが)、Gaudi のメインのソースはアナログ盤としました。プレーヤーは重要なコンポーネントなので、自作にすることにしました。

FMチューナーやテープ・デッキは自作が困難であるし、メーカー製を買った方がかえって安いと思い、そうすることにしました。テープ・デッキは、カセットではなく、オープンリールにすることにしました。当時すでにカセットが主流でしたが、ワウ・フラッターの多いカセットの音質は、どうしても受け入れ難かったためです。
ただし、FMチューナーやテープ・デッキはオプション的な存在であり、Gaudiのシステム設計には含まないこととします。