CD-206

2010/12/26 作成
2021/12/03 更新

ソリッド・ステート式ステレオ・チャンネル・デバイダー

自作PCBを使用したローコストのチャンネル・デバイダー

CD-206
特長 自作PCBを用いたディスクリート回路
ローコスト設計
概略仕様 クロスオーバー周波数:fc1=800Hz (18dB/oct)、fc2=8000Hz (12dB/oct)
外形寸法 ?(W) x ?(H) x ?(D) mm (突起物含まず)、重量:?kg
コスト 約1万円
履歴 1982年製作. 1996年改良 (Rev.A). 1997年改良 (Rev.B). 2004年廃棄.

以下の内容は、旧ホームページ「とのちのオーディオルーム」からコピーしたものです。用語の変更など一部編集しています。


コンセプト

ローコストのチャンネル・デバイダー。
本機の製作の同時期に、アナログ・ディスク・プレーヤー PS-104、ツィーター用パワーアンプ MA-205、スピーカー SS-307を集中して製作することになったため、予算や時間が十分確保できず、とにかく手っ取り早く造ることを第一にしました。


仕様

クロスオーバー周波数(fc1、fc2)は、fc1=800Hz、fc2=8000Hzとしました。減衰スロープは、fc1に対して18dB/oct、fc2に対して12dB/octとしました。fc1、fc2における減衰量は、-3dBとしました。

この仕様はどのように決めたか、今はよく覚えていません。使用予定のスピーカー・ユニットの特性に合わせたことは間違いありません。
使用ユニット:

  • ウーファー: パイオニア PW-A31 (30cm)
  • ミッドレンジ: フォステックス FE-103 (10cmフルレンジ)
  • ツィーター: フォステックス T925 (ホーン型)

ところで、このアンプの製作時にはまだT925は手に入れておらず、代わりにテクニクスのドーム・ツィーター(型番は失念)を使用しました。T925は絶対に使いたいユニットだったので、チャンデバはT925に合わせて設計しました。


設計

回路設計

トランジスター1石によるエミッター・フォロワー(エミフォロ)を使用した、単電源のごくシンプルな回路を採用しました。
電源回路は安物部品で構成しました。
オーディオ用のパーツは使用していません。抵抗は秋月電子の1円抵抗を使いました。コンデンサーもほとんどが安物ですが、フィルター回路のコンデンサーだけは、オーディオ用銅箔スチロール・コンデンサーを使用しました。

回路図は、記憶と参考資料(文献-8, pp.256-265)をもとに復元したものです(片チャンネルのみ、電源部省略)。
[回路図(CD-206_Schematic.pdf)]

上記回路図では電源回路を省略しましたが、Rev. Aの回路図に示されるものと同じです。

実装設計

初めてプリント基板を使用しました。サンハヤトのキットを使い、自分でエッチングを行いました。

ケースはリードの穴なしケースを使用しました。型番は失念してしまいました。


製作

基板以外には手がかかる加工はなく、短期間で製作できました。


自己評価

エミフォロでは入力インピーダンスが充分高くないので、スロープが18dB/octにならず、15dB/octぐらいになっていました。

金をかけず、手っ取り早く作ったわりには、音質はまあまあ良かったと記憶しています。


改良

Rev. A(1996年)

6dB/octのパッシブ・フィルターを採用した基板に交換しました。
回路がシンプルで、位相変位が少ないため、音質が良いと主張するオーディオファイルが多いため、自分でも試してみることにしました。
PCBではなく、万能基板を使用使用しました。

他のNOBODYアンプと同様に、電源1次側にノイズフィルターを追加しました。
[回路図(SchemCD-206A.jpg)]

Circuit board of CD-206A

Rev. B(1997年)

1年間6dB/octのパッシブ・フィルターを使い続けましたが、何度聴いても、どのソースを聴いても音質が良いとは思えず、元の基板に戻しました。

スロープの緩やかなフィルターを用いると、各ユニットから出る音が、相当ダブります。ウーファー/ミッドレンジ間だけでなく、ウーファー/ツィーター間でもダブってしまいます。各ユニットの受け持ち帯域外の音は歪が大きいので、このダブリが音響的な歪を増大させます。アンプで発生する電気的な歪よりも、音響的歪のほうがはるかに大きいので、音質が芳しくないのだと思います。

Inside CD-206B