PE-114 Petit

2018/01/29 作成
2022/05/25 更新

ステレオ・フォノ・イコライザー・アンプ

PE-114 Petit rendering
特長 MCカートリッジ用フォノ・イコライザー・アンプ、LT1115 x2、LT1010 x2 使用
概略仕様 回路方式:NF型.利得:60dB(@1kHz).入力インピーダンス:100Ω.電源:リチウム-イオン・バッテリー.
外形寸法 アンプ部 300mm(W) x 100mm(H) x 150mm(D).重量:1kg.電源部 200mm(W) x 60mm(H) x 150mm(D). 重量:1kg.
コスト (未定)
履歴 2012-13年設計、2018年製作開始予定.現在設計見直し中.

コンセプト

このアンプは、Gaudi II のシステム設計がまだ構想段階にある時、Gaudi II で使用するフォノEQ・アンプとして企画しました。
その頃は、Gaudi II のメイン・ソースはデジタル・メディアにしようと考えていたため、フォノEQはプリアンプに内蔵させず、独立したアンプにすることにしました。

その後検討を重ねた結果、Gaudi II のメイン・ソースはアナログ盤と決めました。フォノEQはプリアンプに内蔵することにしました。
このアンプを Gaudi II で使用する可能性はなくなりましたが、書斎用のサブシステムでの使用を目的として製作することにしました。プリアンプに内蔵するフォノEQと異なる回路を採用することで、両者の音質比較を行いたいとも考えています。

愛称とテーマ音楽

本機には Petit(プティ)という名前をつけました。フランス語で小さいとか、かわいらしいという意味です。英語のlittleに相当します。日本語でもよく使われる「プチ」の語源です。「プチ贅沢」などど言うときのプチです。本機の型番(PE-114)を眺めているうちに、なんとなく思いつきました。
テーマ音楽は、モーツァルトのアイネ・クライネ・ナハトムジーク(Eine Kleine Nachtmusik)としました。ドイツ語のkleinがpetitにあたる言葉であることから、これを選びました。演奏はフランスのオーケストラであるパイヤール室内管弦楽団としました(CD, Classic Library - Haydn/Mozart, BMG CPL 3002B)。
アイネ・クライネ・ナハトムジーク (EineKleineNachtmusik.mp3)


以下の内容は、旧ホームページ「とのちのオーディオルーム」からコピーしたもので、2018年1月現在の内容です。用語の変更など一部編集しています。


仕様

本機の仕様は、レコード・プレーヤー PS-104 で使用しているカートリッジであるオーディオ・テクニカAT33PTG/IIに合わせて決定しました(ゲイン:60dB、入力インピーダンス:100Ω)。
入出力は一系統のみとし、NOBODYアンプらしく、極力単純化した回路とします。

AT33PTG/IIのスペックは、MC型として標準的なので、入力インピーダンスを変えることによって、多くのMC型カートリッジに適合させることができます。
ゲインと入力インピーダンスを変えれば、MM型にも対応可能ですが、切り替えスイッチを設けるのは嫌なので、部品交換で対応するものとします。微弱な信号の切り替えは大変難しく、スイッチ一つで音質が劣化することを、HA-213 での経験から学んだからです。

入力インピーダンスとゲインを変更するための部品は、ケースの蓋をあけるだけで、基板をケースに取り付けたまま交換できるようにします。

電源用のバッテリーは、電源として±18Vが必要なため、18V品2個か、9V品4個を使用します。1次電池では不便なので、2次電池とします。メモリー効果がなく、継ぎ足し充電可能な、Li-ion電池とします。できれば本機に取り付けた状態で充電したいところですが、Li-ion電池は充電の仕方が複雑なので、メーカー製の充電器を使用することにします。

本機の仕様を、下表にまとめます。

回路方式 NF (クローズドループ) 型
入力 PHONO x1 (RCAジャック)
入力インピーダンス 100Ω
出力 EQ OUT x1 (RCAジャック)
ゲイン 60dB (@1kHz)
RIAA偏差 ±0.3dB (20-20,000Hz)
歪率 0.01% (A特性フィルター無し)
残留雑音 30uV 以下 (A特性フィルター無し)
S/N比 100dB以上 (A特性フィルター無し)
最大入力 10mV
電源 直流給電 (Li-ion電池使用)
ケース アンプ部・電源部独立式

設計

回路設計

アンプ部の回路は、Linear Technology製OPアンプ(オペアンプ)IC、LT1115を使用したNF型イコライザー回路としました。
LT1115の性能と音質は、MCヘッドアンプHA-213で確認済みです。その色付けをまったく感じさせない、透明感のある音質を大いに気に入っています。
NF型を選んだ理由は、MM型への対応が簡単だからです。

下図にアンプ部の回路図を示します。
LT1115のデータシートに示されている設計例を、自分なりに少しカスタマイズした回路です。主な違いは、スーパーサーボ回路を加えた点です。大容量コンデンサーを使いたくないので、このようにしました。
低域の時定数が、標準の3180usではなく、3000usになっていますが、シミュレーションの結果から決定した値です。
[アンプ部回路図 (PE-114_MainBoard.BMP)]

周波数応答のシミュレーション結果(LTspice IVを使用)を以下に示します。
上の図がRIAA偏差、下の図がゲインを示します(ともに破線の曲線は位相を表わします)。
RIAA偏差は、目標の±0.3dBにぎりぎりおさまっています。
[シミュレーション結果 (PE-114_Sim_Gain.png)]

電源部の回路を以下に示します。
電源がバッテリーなので、バッテリーからの配線をそのままOPアンプに接続すれば良さそうなものですが、Li-ion電池は大電流を取り出すと内部保護回路が働いて出力を抑えたりしますので、ピーク電流を抑えるために、平滑回路を設けることにしました。バッテリーの内部インピーダンスの影響を減らすことにもなります。大容量コンデンサーをそのまま使うと、電源オン時にバッテリーから大電流が流れ込むので、あまり大きくないのコンデンサー(100uF)とトランジスターによるブースターを設けました。
[電源部回路図 (PE-114_PsuBoard.BMP)]

主要部品の選定

OPアンプは、前述のように、Linear Technology(LT)社のLT1115を増幅用に使用します。超低雑音であることが最大の長所です。入力がバイポーラなので、信号源インピーダンスが低い場合に、特に有利です。MC型カートリッジは内部抵抗が低いので、この場合にあたります。
LT1115は、電源電圧を高めの36V(±18V)で使用できるので、ダイナミックレンジの点でも、若干有利です。この点でも、フォノイコ向きのOPアンプと言えます。
LT1115に加え、出力バッファーとして駆動力の強いLT1010を、スーパーサーボ用にHA-213でも使用したLT1097を使用します。いずれもLT社製です。

OPアンプをLT社製に統一したのは、本機の回路がLT1115のデータシートに掲載されている設計例をもとにしているということと、シミュレーターにLTspiceを使用していることが、その理由です。
LT社以外の電子部品メーカーは、Pspiceモデルを提供しています。PspiceモデルはLTspiceモデルと互換性が高いので、LTspice用に転用可能だと言われています。私も何度かPspiceをLTspiceに変換することを試みたのですが、ことICに関してはうまくいったためしがありません。ICメーカーが提供するモデルには、OrCAD(電子業界で最も普及している回路図CAD、Pspiceと連動する)以外では使えないように、モデルを暗号化しているものが多いためと思われます。
このため、ICに関してはなるべくLT製を使うようにしています。どうしても他社製のOPアンプを使いたいときには、シミュレーションの時だけ、LT社製品の中から、そのOPアンプに近い特性のものを選び、代用させています。

バッテリーに関しては、なるべく少ない数で18Vが得られ、かつ容量が大きいものが必要です。
まず思いついたのは、006P型乾電池と互換性のある2次電池です。ネットで検索してみたところ、秋月電子で、006P型のニッケル水素電池を扱っているのを見つけました。残念ながら、ニッケル水素ではオーディオ用には使えません。ニッカドほどではないにしろ、メモリー効果があるため、継ぎ足し充電ができないからです。
楽天市場で検索したところ、006P型Li-ion電池を見つけました。容量は400mAhです。これなら使えそうです。メーカー・型番は__です。400mAhでは少し頼りないので、左右チャンネルそれぞれに専用の電池を使うことにしました。
2個直列で18V電源をつくり、それを2組組み合わせて、±18V電源とし、さらにそれを2セット用意します。都合、8個の__を使うことになります。

実装設計

(TBD)

基板設計

(TBD)

機構設計

(TBD)


製作

(TBD)


調整・改良

(TBD)


自己評価

(TBD)