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 ホーム > NOBODY > SS-312 2011/12/26 作成
2015/09/25 更新

SS-312: シングルユニット・スピーカー・システム

SS-312 Description: シングルユニット・スピーカー・システム.使用ユニット:フォステックス 6N-FE103(10cmフルレンジ).エンクロージャー方式:バスレフ方式(リアダクト)
Dimensions: 164mm(W) x 630mm(H) x 216mm(D).重量:6.6kg.
Frequency range: 80Hz〜20kHz
Sensitivity: 90dB/W (@1m)
Cost: 約1.5万円(ユニット含まず).
History: 2006年製作.書斎用サブシステムで使用中。


コンセプト

本機のコンセプトは、書斎用のサブシステムで使用する、気楽に音楽を楽しむためのスピーカーです。メインシステムのGaudiとは異なり、小音量で、イージーリスニング系の音楽を品よく鳴らすことを目的としています。

本機を設計・製作した時期は、私が病気療養のために休職していた時期に重なります。リハビリを兼ねて製作した次第です。リハビリですから、あまり難しいものには挑戦せず、気楽に造れるものにしようと思いました。
フルレンジ・ユニット1本と、小型エンクロージャーの組み合わせにしました。

丁度手持ちにフォステックス 6N-FE103を2本持っていたので、それを使うことにしました。このユニットは、以前にSS-307のミッドレンジ・ドライバーとして購入したものの、その音質に満足できずに、すぐに使うのをやめて放置してあったものです。
ミッドレンジとしては不満足でも、本来のフルレンジとして使えば、満足のいくスピーカーが造れるものと期待しました。

本機とは別にスタンドを製作するのは面倒なので、箱とスタンドを一体化したデザインとします。


設計

主要部品の選定

前述のように、スピーカー・ユニットはSS-307で使用していたフォステックス 6N-FE103(10cm コーン型フルレンジ)を流用しました。
このユニットは、限定生産品です。仕様を下表に示します。

口径  10cm
インピーダンス
最低共振周波数(f 90Hz
再生周波数帯域 f0〜20kHz
出力音圧レベル 90dB/W(1m)
入力 15W(mus.)
m0 2.2g
Q0 0.28
実効振動半径(a) 4cm
マグネット重量 193g
総重量 0.64kg
標準エンクロージャー方式 バスレフ型
標準エンクロージャー内容積 6l
バッフル穴径 φ93mm


ケーブルには、SS-309で使用し、余っていたモガミ電線の同軸型ケーブルNEGLEX 2497を使用することにしました。
エンクロージャーの材料には、15mm厚のシナラワン合板を選びました。加工の容易さと、ニスを塗るだけで綺麗に仕上がるということが理由です。

エンクロージャーの設計

小型エンクロージャーで低音の量感を充分に得るために、方式はバスレフ式としました。
低音の特性は、少なくとも90Hzまでフラットに出すことを目標にしました。90Hzまで確保すれば、BGM的な聴き方では、不満は感じないはずです。

箱の寸法・容積は、メーカー指定箱とほとんど同じです。相違点は、バスレフ・ポートの寸法とその取り付け位置です。SS-309と同様に、リア・ポート方式としました。

板の接合は単純にイモつぎとします。主に接着剤で接合します。補助的には木ねじも使用しますが、接着剤が固まるまでのハタ金がわりです。
片側の側板だけは接着せず、木ねじのみで固定します。多くのスピーカーは裏板が取り外しできるようになっていますが、本機の場合、メンテナンス時は側板を外します。
この構造はSS-309と類似しています。同じような作業工程で組み立てることにより、紆余曲折なく作業を進めることができます。

バスレフ・ポートには、水道管用の塩ビチューブを使用します。必要な長さに切って取り付けます。

フロント・バッフルは2枚重ねとし、ユニットの振動をしっかり受け止められるようにします。

バスレフ・ポートの設計は、ポート共振周波数(fb)がメーカー指定箱と同じになるようにしました。
まず指定箱のfbを計算し、87Hzという結果を得ました。ちなみに、指定箱のポート寸法は50mm(D)×88mm(L)です。入手した塩ビ管の内径Dは56mmでした。同じfbとなる長さLは、計算の結果、115mmという値を得ました。

補強材は、箱が小さいので、省略しました。

定尺の15x1820x910mmのシナラワン合板1枚からすべての部品を切り出します。

エンクロージャー寸法図および板取り図

吸音材ミクロンウール
吸音材として、SS-309の製作時に余った、日本無機のミクロン・ウールを流用しました。量は少なめとします。

木組みと組み立て手順は、SS-309と同じです。手慣れた方法で、精度よく、かつ正確に組み立てようという魂胆です。
組み立て時には一方の側板(以後、固定側板と呼ぶ)を水平に置いて、その上に他方の側板以外の部品を木工用ボンド使って取り付けていきます。ほぞ・みぞがないイモつぎなので、ボンドが乾くまでは若干接合部をずらすことができますので、前面を優先に面一になるように部品位置を調整します。次に天面を優先します。微調整がすんだら、部品同士木ねじで固定します。
接着しない側板(以後、非固定側板と呼ぶ)を取り付ける側の木口は、サンダーによって出っ張りを削り、さらにビニールテープを木口に貼ることによって機密を保ちます。

組み立て方

仕上げ・塗装に関しては、あまり手間と時間がからない方法を選びました。
シナラワンは木目が綺麗なので、軽くサンダーをかけた後、直接クリアのスプレーニスで塗装をすることにしました。

グリルには、フォステックス純正品を使用しました(型番は失念しました)。
スピーカー・ユニットと、友締めで取り付けます。

ケーブルはユニットに直接半田付けし、そのまま外部に引き出します。もし後でケーブル交換をするとすれば、多くの工数がかかりますが、本機の場合は、その可能性はあまりありません。また、端子を省略すれば、その分コストダウンができるので、直付け・直出し方式を採用しました。

ケーブルの引き出し

製作

木工

SS-309の製作時と同様に、家の近くのホームセンターで、板材を購入し、カットもお願いしました。
保証精度は1mmですが、実際には誤差はほとんどありませんでした。
部品・材料

ユニットおよびポート取り付け穴は、自分で加工しました。

バスレフ・ポート用の塩ビ管も、自分で加工しました。加工といっても、長さ115mmに切り出しただけです。


組み立て

設計時に決めたとおりの手順で組み立てました。

Rear baffle箱を組み立てる前に、バスレフ・ポートをリア・バッフルに、接着剤で、取り付けました。少し後ろに飛び出した状態になっています。後で、ポートを削ったり、延長したりして、バスレフの調整ができるようにするためです。

固定側板を水平に置き、その上にバッフル裏板天板底板を立てて置き、木工用ボンドで接着します。ボンドは万一すき間が生じたときにはそれを埋めるように、たっぷり使います。使用したボンドは一般に良く使われているコニシの木工用ボンドです。速乾タイプではありません。
箱の組み立てボンドが固まらないうちに、前面の木口が面一になるように部品の位置を微調整します。
部品の位置が決まったら、位置がずれないように注意しながら、電動ドリルの刃を予め各部品にあけてある下穴に通して、木口に木ねじ用の下穴をあけます。
木ねじは、1本1本個別にねじ込むのではなく、まず、すべてのねじを浅くねじ込んで置きます。工具は電動ドライバーではなく、普通のドライバーを使います。部品がずれないのを確認しながら、各ねじを少しずつ締めていきます。接合部がずれないぐらい締めこんだところで、後は電動ドライバーでしっかり締めつけます。

吸音材ここまでの工程はボンドが固まらないうちに、手早く行います。最終的に木ねじを完全に締め付けると、接合部からボンドがかなりはみ出しますが、とりあえずそのままにしておきます。

組み立て終わったエンクロージャーボンドの粘着力が出てきた段階で、側板がずれないように注意しながら、箱を上下ひっくり返します。そして固定側板を木ねじで固定します。これで、箱としてしっかりと形になります。

この時点で、ケーブルを通し、吸音材を箱の中に入れておきます。吸音材の量は、勘で決めました。

最後に、非固定側板の取り付けを行います。木口にビニール・テープを貼り、木ねじの下穴の部分をカッターでカットします。木ねじで側板を取り付けて、ようやく箱の形になりました。




仕上げ

塗装まず、電動ドリルに丸型サンドペーパーのアタッチメントをつけて、全体に軽くサンダーをかけました。

塗装は、透明ニス・スプレーで行いました。特に工夫した点はなく、天気がよく、風がないときを選んで、庭でスプレーしました。

リア・バッフルにインスタント・レタリングでブランド名や型番を入れました。

スピーカー・ユニットの取り付け

塗装が充分乾燥した後、スピーカー・ユニットを取り付けました。

ユニットをネジ止めする前に、ケーブルをはんだ付けしました。ケーブルが太すぎて、ユニットに直接はんだ付けすると、ユニットをバッフルに取り付けられなくなるので、細めの電線を継ぎ足しました。

取り付けに使用したネジは、ユニット付属のものです。フォステックス純正グリルを同じネジで友締めしました。

ケーブル接続 ネジ止め前の6N-FE103 ユニットのネジ止め ユニットの取り付け完了
ケーブルの接続 箱におさまった6N-FE103 グリルとともにネジ止め 取り付け完了



設置・調整

予定通り、書斎のサブシステムに設置しました。写真では、チェックのために預かっていた友人のアンプが写っていますが、これは一時的に使用しただけで、本来はMA-205を使用します。また、ソースとしてノートPC(NEC LaVie)を使用していますが、これ以外にもポータブルCDプレーヤー(Kenwood DPC-X517)かICレコーダー(TASCAM DR-1)を使用します(DPC-X517は、故障のため、2011年10月に廃棄しました)。
使用開始したSS-312
本機は造りっぱなしで、測定も調整もしていません。
設置後しばらくの間、エージングのために毎日長時間音楽を鳴らしっぱなしにしました。日々音質が上がっていき、満足のいくレベルに達しました。低音の量感も期待以上で、バランスの良い音に聞こえました。調整の必要はないと判断し、完成ということにしました。というより、ここで気力が尽きてしまい、それ以上いじる気がしなくなった、という方が正確かも知れません。

造りっぱなしというのは、NOBODYの設計ポリシーに反するので、本機にはNOBODYブランドを与えるべきでないという気もしましたが、病気療養中に製作したという特別な事情があり、あえてNOBODYブランドを与えることにしました。


自己評価

ルックス

下地の仕上げをせず、スプレーニスを吹きつけましたが、シナラワンらしい木目が出ず、ちょっとがっかりです。
過去に塗装技術をちゃんと学んだことがないので、次の機会には、製作前によく勉強しようと思います。

加工・組み立て精度

SS-309と基本的に同じ構造と組み立て方法を採用した本機ですが、SS-309以上の精度で仕上げることができました。学習効果があったため、より容易に組み立てることができました。また、木材を切り出したのは、SS-309のときと同じホームセンターの同じ作業員の方でした。
左下の写真のように、髪の毛一本入るすき間なく、ぴったりと各部品を貼り合わせることができました。
右下の写真のように、床の上に置いたときの水平度も完璧でした。
加工・組み立て精度水平度

音質

前述のように、重低音こそ出てきませんが、バランスのとれた、好ましい音がします。書斎のBGM用にぴったりだと思います。
MA-205が、角が取れたまろやかな音調なので、本機との組み合わせで、長時間聴いても疲れない、癒し系の音となります。

使い勝手

本機はコンパクトで、なおかつ床に直におけるので、設置が簡単です。ブックシェルフ型は、意外に置き場所に困ります。
スタンド部分にDVDとCDを収納できるようにしましたが、これが予想以上に便利です。
使い勝手はなかなか良いと思います。

総評

コンセプト通りのスピーカーができたと思います。気楽にBGMを楽しむのにぴったりです。
本機は構造も簡単で、製作にも特別な技術が要らず、誰でも造れるスピーカーです。気楽に自作オーディオを楽しみたい方にお勧めです。




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