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 ホーム > NOBODY > PA-203 2010/12/26 作成
2016/12/02 更新

PA-203: 管球式ステレオ・プリアンプ

PA-203 Description: 管球式ステレオ・プリアンプ.使用真空管:12AX7 x2、12AU7 x2.回路方式:CR型イコライザー、無帰還型フラット段.入力:フォノx1、ラインx3、テープ・モニターx2.出力:REC出力x2、プリ出力x2.RIAA偏差:±0.3dB(20〜20000Hz).歪率:不明.最大入力:1000mV(フォノ).入力インピーダンス:47kΩ(フォノ).
Dimensions: アンプ部 300mm(W) x 120mm(H) x 150mm(D).重量:?kg.電源部 300mm(W) x ?mm(H) x 200mm(D). 重量:?kg.
Cost: 約5万円.
History: 1980年製作.1995年に改良(Rev. A).2003年廃棄.

コンセプト

PA-202の後継モデルです。トラブルだらけだったPA-202に代わるプリアンプが早急に必要だったので、予定を繰り上げて製作しました。
コンセプトはよく似ていますが、トーンコントロールを排して、よりシンプルな設計としました。

回路設計

動作が不安定だったPA-202の轍を踏まないように、増幅回路を全段無帰還としました。真空管による電圧増幅回路は、無帰還でも十分低ひずみにできます。ノイズに関しても、増幅段を減らせるので、かえって帰還アンプよりも有利です。

窪田登司氏の製作記事(MJ誌掲載)をほぼそのまま採用しました。初段にSRPP回路を採用している全段無帰還のプリアンプです。ちょうど私の要望に合っていました。
変更点は、テープ・モニター・スイッチです。テープ・デッキを2台接続できるようにしました。デッキ間でのダビングも可能にしました。これは、当時私は2台のデッキ(オープン・リールとカセット)を持っていたからです。
PA-202にあった、バランス・コントロールとモード・スイッチはつけませんでした。

ボリュームには、アルプスのディテントVR(2連)を採用しました。本機で唯一高価な部品です。

電源部は、パワーアンプ用の電源トランスと2個のチョークコイルを用いたπ型フィルターを採用。強力な電気的イナーシャをかけています。さらに、10W型ホーロー抵抗を5個並列接続したブリーダーを備え、レギュレーションを向上させています。これらはすべて窪田氏のアイデアです。
回路図(L chのみ、電源部省略)】

実装設計

窪田氏の製作記事には実装に関する情報があまりなかったため、PA-202のコンストラクションを継承しました。
PA-203 Rear ViewPA-203 Power SupplyPA-203 Internal ViewPA-203 Internal View R-ch

製作

PA-202と同じコンストラクションなので、製作はスムーズでした。製作期間はかなり短かったと記憶しています。

自己評価

回路設計に欠陥がありました。レコードを再生したときに、高音が冴えないので気がつきました。
測定してみると、RIAA偏差が、高音域でかなり大きくなっていました。原因を探ったのですが、なかなかわかりませんでした。何度チェックしても、オリジナルの窪田氏の設計と同じです。いったんアンプをチェックするのはやめ、電子工学の教科書を読んで基礎から勉強することにしました。

ようやく原因がわかりました。ミラー効果の影響を考慮しない設計になっていたためでした。
ミラー効果とは、P-G間(プレート・グリッド間)容量が増幅度倍されてグリッド側に現れる現象です。例えばP-G間容量を2pF、増幅度を40倍とすると、グリッド-グラウンド間に80pF(=2pF×40)のコンデンサーを接続したのと同じ効果が現れます。
本機の高域ロールオフ回路はグリッド側にあり、そのコンデンサーはグリッド-グラウンド間に接続されます。このコンデンサーの容量を計算するときは、ミラー容量を差し引く必要があります。

窪田氏の設計では、ミラー容量が計算に入っていませんでした。「弘法も筆の誤り」ですね。
このとき、雑誌に掲載されている設計であっても、ミスが含まれている可能性があるということを認識しました。製作記事の執筆者は往々にして自己宣伝が派手で、自分の技術が世界一であるかのように宣伝しますが、以後あまりあてにしないようにしました。今でも他者の設計を参考にはしますが、あくまで自分自身で設計することを基本にしています。

ところで、ミラー効果を解説する文章で、「鏡に写したように同電流が流れるため、『ミラー効果』と呼ばれる」という意味不明な説明を時々見かけますが、ミラー効果の「ミラー」は鏡(mirror)ではなく、この現象の発見者の名前(John Milton Miller)です。

高域ロールオフ回路の時定数を調整したのちは、まともな音質になりました。ややノイズが感じられましたが、ハムは皆無で、ホワイト・ノイズがほとんどでした。ようやくHi-fiプリアンプを手に入れた、という気持ちになったことを今でも覚えています。
なお、ノイズは経年変化で減っていきました。2〜3年後にはほとんど気にならないレベルになっていました。

このアンプのグラウンド配線にはループがあります。ノイズを聞こえないレベルまで落とすためには、このループをなくす必要があるのですが、かなり大掛かりな作業になるので、そのまま使い続けることにしました。この教訓はPA-210 Simplicityで活かされます。

改良

Rev. A (1995年)

他のNOBODYアンプ同様に、電源1次側にライン・ノイズ・フィルター追加しました。FG電位をAC100Vホット/コールドの中間電位にしました。

初段B電源に高耐圧トランジスターを用いたシリーズパス安定化回路を追加しました。
安定化回路の基板はプリント基板ではなく、3tベーク板に部品をシリコン接着剤で付けたものとしました。部品のリード同士をはんだ付けすることで回路を構成します。基板はねじ止めではなく、ブチルゴム両面テープでケースに貼り付けました。基板とケースの両方の制振を狙いました。
この構造は以後のNOBODYアンプに継承されることになります。




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