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 ホーム > NOBODY > MA-205 2011/07/02 作成
2012/09/09 更新

MA-205: 管球式ステレオ・パワーアンプ

MA-205A   Description: 管球式ステレオ・パワーアンプ.使用真空管:6GW8 x4.回路方式:アルテック型.出力段:3極管接続PP.最大出力:3.6W+3.6W (8オーム).周波数特性:100Hz-50kHz.電圧増幅度:18dB.NFB:15dB.入力インピーダンス:250k ohm.
Dimensions: 260mm(W) x 170mm(H) x 450mm(D).重量:8.0kg.
Cost: 約5万円.
History: 1982年製作.1997年にマイナーな改良を実施. 2006年に全面改良(Rev.A).現在は書斎用のサブシステムで使用中.


コンセプト

ホーン型ツィーター専用パワーアンプとして、1kHz以上の特性だけを考慮して設計することにしました。
同時期にアナログ・ディスク・プレーヤーPS-104、チャンネル・デバイダーCD-206、スピーカー・システムSS-307を製作したので、時間的・経済的に余裕がなく、音質は確保しつつも、とにかく徹底的にコストと工数を抑えることを目標にしました。

回路設計

概要

本機の回路は生まれて初めて自分で設計したものです。迷わず管球式を選びました。半導体では低コストでかつ高音質のアンプを造る自信はなかったからです。
基本はアルテック型です。つまり、出力段はプッシュプルで、位相反転段はP-K分割型です。初段と位相反転段は直結となっています。
目的からして出力は小さめでもよいので、出力段はシングルでもよさそうですが、あえてプッシュプルを選びました。プッシュプルには次のような利点があるからです。

上記の利点はOT付きの場合ですが、OT付きで全然問題ないと思います。トランスは歪みの発生源だとして、排除するほうが良い――つまりOTLにしたほうが良い――という向きもありますが、上記の利点を考慮すれば、OT付きが有利だと思いますし、ローコストアンプの場合はOT付きしかないと思います。

部品の選定

コストを最低限に抑えるため、真空管に6GW8を選びました。3極電圧増幅管と5極電力増幅管を一本のチューブに収めた複合管です。これを使うとわずか4本の球でプッシュプルのステレオ・アンプが実現できます。

出力トランスはとにかく安いものということで、タンゴのU-13を選びました。UL接続用のSGタップがついていないので、出力段は三結とすることにしました。最大出力はだいぶ小さくなってしまいますが、歪率を重視して三結としました。

詳細

位相反転段と出力段の間のカップリング・コンデンサーの容量を0.001uFと小さめにし、段間の時定数は小さくしました。出力段の時定数よりかなり小さくなるのでスタガー比が大きくなります。1kHz以下は増幅しなくてもよいという仕様なので、このようなことが可能になります。
ところで、このスタガリングというテクニックの必要性を、私はいまだに理解していません。NFBループ内の位相遅れの合計が180度以内になっていれば発振は決して起こらないので、スタガー比は関係なく、合計位相遅れを180度以内に収まるようにしておけばよいと思うのですが。しかし、アンプ造りの教科書には必ずスタガリングが必要だと書いてあるので、一応考慮しました。
(2012/09/09加筆){スタガリングに関しては、長真弓著「真空管アンプ設計自由自在」を読んで、その必要性を認識しました。私なりの理解では、同じ共振点を持つ共振回路を複数直列に接続し、全体にフィードバックをかけると、共振のピークが重なり発振しやすくなるということです。発振しないまでも不安定になります。それで安定度を上げるためにスタガリングが必要だということです。

出力段のバイアスは固定バイアスとしました。

B電源回路は倍電圧整流方式にしました。特に音質的なメリットがあるわけではないのですが、以前から一度使ってみたいと思っていました。ダイオードとコンデンサーの組み合わせで、電圧を倍にできるというそのトリックが面白かったからです。しかし後に、倍電圧整流には大きな欠点があることがわかりました(後述)。


1997年に、ACライン・ノイズ・フィルターを追加し、高周波ノイズの侵入を防ぐとともに、FG電位をACラインのホット―コールドの中間電位にするように改造しました。電源スイッチも両切りタイプにしました。これらの改造は大きな設計変更ではないので、Rev. Aとはしませんでした。
回路図:1997年に作成したもの)

実装設計

最もシンプルなアルミ製シャーシー(いわゆる弁当箱シャーシー)を使用しました。裏ぶたは無しです。低予算のため仕方ありません。
小物部品は立てラグに取り付けましたが、C電源に関しては万能基板を用いました。

製作

特に難しい工作はないので、短期間で完成させた覚えがあります。

自己評価

60点。
完成当初は自信作でしたが、使い込むにつれて不満が出てきました。
6GW8自体がHi-Fiアンプ向けではないのだと思います。電圧増幅管と電力増幅管を同一チューブに封入することに無理があります。初段と出力段が必然的に近接するので、余計なフィードバックがかかってしまうのだと思います。

B電源を倍電圧整流にしたのも失敗でした。この回路には直流の電流パスがなく、負荷に流れる電流は平滑コンデンサーを通過します。高耐圧の電解コンデンサーは、静電容量もそう大きくないので、低い周波数では相当のインピーダンスをもちます。結果的に出力にリップルが残ります。出力トランスを使ったプッシュプル回路を採用したので、リップルは出力にはほとんど出ませんが、もしシングルだったら、かなりのハムノイズが出たのではないかと思います。

蛇足ですが、6GW8は入手が難しい球です。秋葉原の真空管屋さんに訊いても、そんな品番の球は知らないと言われることがあるぐらいです。

倍電圧整流回路

改良

Rev. A (2006年)

後継機種のMA-208の完成に伴って、本機はサブシステムで使用することにしました。製作後24年経過していたので、メンテナンスを兼ねて改良することにしました。

カップリング・コンデンサーを0.01uFにしても、裸の特性では低域が不足しますが、帰還をかければ実用的な特性になります。
新回路図
周波数特性
周波数スペクトル

真空管はTUNGSRAMのECL86にしました。秋葉原の真空管屋さんを何軒か回って、ようやく見つけました。

音質はサブシステム用として充分なレベルに仕上がったと思います。

Internal view of MA-205MA-205の内部 




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