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ホーム > 雑記帳 > PCオーディオについて  2015/05/09 作成
2015/06/23 更新

PCオーディオについて

2004年から2014年にかけて、PCオーディオを試し、自分なりの評価をしました。あくまで片手間でやったことであり、本格的な評価をしたわけではありませんが、ある程度の知見を得られたと思います。以下に自分の経験と評価結果を紹介します。

オンキョー WAVIOによるPCオーディオ初体験

ONKYO WAVIO SE-U55GX(B)初めてPCオーディオを試したのは、2004年12月にオンキョーWAVIO SE-U55GX(B)を購入したときです。秋葉原のPCショップでPCパーツを買い漁っているときに、WAVIOがふと目に入りました。それまでもパソコンが録音機として使えることは知っていましたが、あまり音質には期待していませんでした。WAVIOはオーディオ・メーカーであるオンキョーの製品ということで、通常のサウンド・カードよりも高音質の録音ができると期待し、アナログ盤のデジタル化に使用するつもりで購入しました。

組み合わせたPCはサブノートブック・タイプのNEC Lavie(OSはWindows XP)でした。

このWAVIOの第一印象は、使い物にならないと言ってよいぐらいの低音質でした。そのため、2〜3年間ほとんど使用せず、ちゃんと評価しない状態が続きました。しかし、原因はWAVIOそのものではなく、ライン・ケーブルだということがわかりました。
当時は、オーディオ・テクニカの1芯シールド線Fine Goldとモガミ電線のRCAプラグ7551をラインケーブル用の部品として、まとめ買いをして使っていました。どちらも入念な評価をもとに採用を決めたわけではなく、どちらも信頼できるメーカーの製品で、価格も高くないという理由で、安易に採用してしまったものでした。どちらも音質は悪かったのですが、特にFine Goldは高域が減衰しているように聞こえ、冴えない音になってしまいます。測定すると、特に高域は減衰していないのですが、聴感上は全然ツィーターが鳴っていないように聞こえます。7551は、メーカーのウェブサイトに堂々と音質を追求したプラグではないと書かれているだけあって、本当に低音質でした。この組み合わせは最悪でした。SACDプレーヤー(SONY SCD-555ES)とプリアンプ(PA-210)との接続に使用して、初めてこのことに気づきました。

その後、Belden 8412を使用したケーブルに交換したところ、かなり音質が上がりました。しかしそれでも、録音前の音と録音後の音を聴き較べると、かなりの音質差がありました。
友人・知人から依頼を受けて、アナログ盤を録音し、CD-Rに焼くという使い方を何回かしましたが、自分の愛聴盤を録音する気にはなれず、結局大して使わないうちにその存在すら意識しなくなりました。

 Line cable -Audio Technica Fine Gold Line Cable - Belden 8412 
オーディオ・テクニカ Fine Gold Belden 8412 


2台目のWavio

2012年5月にオーディオ用に使用していたPC(NEC Lavie)が故障したときに、もう古い型だったので、修理せず買い替えることにしました。新たに購入したのはLenovo ThinkPad X121eでした。OSはWindows 7でした。このとき、WAVIO SE-U55GX(B)のWindows 7用ドライバーの提供がすでに終了しており、SE-U55GX(B)が使えなくなってしまいました。WAVIOも買い替えることにしました。

SE-U55SXII購入したのはSE-U55SXIIという機種です。ネットで最安値の店を探して購入しました。

SE-U55GXの後継モデルとして期待していたのですが、残念ながら、音質はかえって悪くなったと感じました。これは、電源がトランス型からトランスレス(スイッチング・レギュレータ)に変更になったためではないかと推察しています。

SE-U55GXを使用していたときは、ほとんどPCオーディオについて勉強せずに、取説を読んだだけで使用していました。
このころから、PCオーディオがPCユーザーのみならずオーディオファイルの間でも関心を呼ぶようになってきました。図書館でたまたま見かけた「特選街」という雑誌に、PCオーディオ特集が載っていたので、読んでみました。ハイレゾ音楽ファイルが複数のサイトから入手可能なことと、WindowsのWASAPIを排他モードで使用すると音質が上がること、それに対応した再生ソフトが無料で手に入ることがわかりました。

再生ソフトにはfoobar2000を選び、WASAPI output supportコンポーネントを組み込み、排他モードで再生できるようにしました。
肝心なハイレゾ音楽ファイルは、国内のサイトはタイトル数が少なく、希望のタイトルが見つからないため、米国のHDtracksと英国のLinn Recordsのサイトから入手することにしました。HDtracksはタイトル数は多いものの、アメリカ国内でしか利用できず、Linnも日本からの利用には制限がありました。雑誌に書かれていることとずいぶん違うな、と感じました。それでも、いくつかのタイトルをダウンロードできました。

サブシステム使用中のWAVIOWAVIOで録音したファイルよりも、ダウンロードしたもののほうが明らかに高音質でした。
このことで、録音機能の必要性を感じなくなり、新たにより高音質の再生専用機(USB-DAC)が欲しくなりました。

なお、WAVIOはGaudiで使用しなくなった後も、しばらくの間サブシステムで使用していました。しかし、サブシステムでもあまり使用頻度が高くなく、結局売ってしまいました。

KORG DS-DAC-10

KORG DS-DAC-102013年4月、USB DACのKORG DS-DAC-10を購入しました。雑誌記事で非常にプライス・パフォーマンスが高いと評価されていたため、買うことにしました。購入価格は、約5万円でした。私は普段は雑誌記事は当てにしないのですが、USB DACに関しては商品知識がなかったのと、試し買いということで、たまには評論家の言うことに従ってみようと考えました。
DS-DAC-10を選ぶ際に、プライス・パフォーマンス以外に考慮した点は、DSD2.8MおよびDSD5.6Mを再生できることです。私は2001年からSACDを使用しており、DSDにはなじんでいました。また、本当に音のよいSACDはDSD録音のものに限られると感じていました。DS-DAC-10を用いることによって、DSD録音されたソースをSACDを介さず聴くことに興味津々でした。しかも、SACDで採用されたDSD2.8Mの倍のサンプリング・レートのDSD5.6Mまで再生できるのは、大いに魅力でした。

オヤイデのUSB・ラインケーブルUSBケーブルには「メーター当たり1万円以上のものを使うべし」と雑誌には書いてありましたが、科学的根拠やテクニカル・データが示されておらず、そこまで投資する気が起きませんでした。PCショップにて、プラグが金メッキされている3mのUSBケーブルと、オヤイデの通販でオヤイデd+ USB ClassA 0.7mを購入しました(購入価格:4,725円)。
ライン・ケーブルには、同じくオヤイデのd+ RCA ClassB 2.0mを購入しました(購入価格:4,200円)。

再生ソフトにはKORG社純正のAudio Gate Ver. 2 を使用しました。ドライバーも純正のASIOです。


設置方法1−リスニング・ポジション付近にPCを設置

設置方法1最初に3mのUSBケーブルを用いて、PCをリスニング・ポジション付近に置く方法を試してみました。
PCがサブノート・タイプ(11インチ)なので、自分の近くに置かないと表示が読めません。手元に置いておけば、座ったままあらゆる操作ができるので、このやり方でまずまずの音質が得られれば、そのまま使い続けてもよい、と考えました。
DS-DAC-10はTVラック上に置き、プリアンプ(PA-210)にはd+ RCA ClassB 2.0mで接続しました。

残念ながら、この方法は駄目でした。音質云々という以前に、PCのファンの騒音が気になって、音楽に集中できません。ThinkPad X121eのようなサブノート・タイプでも、ファンの騒音が意外に大きいということがわかりました。オーディオ用途以外の用途では気にならない程度の騒音なのですが、音楽鑑賞の際は気になります。
風量が同じであれば、大型のファンほど騒音が小さくなりますが、サブノートでは超小型のファンしか使えないので、ファンの騒音を抑えることは難しいと思います。

設置方法2−TVラックにPCを設置

設置方法2PCをTVラックの上に置きました。DS-DAC-10の近くなので、短いUSBケーブルで接続できます。オヤイデのd+ USB ClassA 0.7mを使用しました。
リスニング・ポジションから画面が見えないので、テレビとPCをHDMIケーブルで接続し、テレビでPC画面を表示することにしました。マウスは、リスニング・ポジション付近に置き、座ったままPCを操作できるようにしました。

オーディオ用USBケーブルを用いたのにもかかわらず、音質はかえって低下したように感じられました。あまりにも音質が悪いので、KORG社に電話し、使いこなしに問題がないかどうか問い合わせました。
真っ先に言われたことは、「オーディオ用USBケーブルを使っていませんか? オーディオ用は音を悪くします。付属のケーブルを使ってください」ということでした。その他の使い方には問題がないとのことでした。
付属ケーブルは安っぽく見えたので(線は細く、プラグは金メッキされていない)、一度も使わずにいました。早速、付属のUSBケーブルに換えてみたところ、音質が大幅に向上し、ハイレゾらしい音となりました。

またしても、「オーディオ・アクセサリーは高価なものほど効果がない」を経験してしまいました。d+ USB ClassAは24K金メッキを施したプラグを用いるなど、贅沢な素材を使用していますが、フラット・ケーブルという変則的な構造がエラー・レートを高くしているのではないかと思います。プラグも加工精度が高くなく、勘合が緩いのが気になりました。
メーカーのサイトを見ても、定性的な説明のみで、テクニカル・データが示されていません。テクニカル・データのないアクセサリーは、買わないほうが無難です。

同時にライン・ケーブルもd+ RCA ClassBから、Gaudi標準のBelden 8412を使用した自作ケーブルに変更しました。

設置方法3 − BusPower-Proを追加

BusPower-Proケーブル類の交換により音質が向上したものの、まだ満足できるレベルではありませんでした。DS-DAC-10の電源はUSBバスパワーですが、ThinkPadから供給される電源の質が悪いのではないかと、疑いました。
ネットで検索したところ、USBハブの変形で、+5V電源のみ供給し、信号はそのまま通過させる装置を発見しました。Aurorasound社のBusPower-Proという製品です。早速購入して使ってみることにしました。価格は、約1万円でした。

実物を見てまず感じたことは、「新米技術者が設計したに違いない」です。
BusPower-Proは、ACアダプターでアンレギュレーティッドのDC電源をつくり、本体内の3端子レギュレーター7805で安定化する構成になっています。設計者は、「本体内で安定化するのだから、ACアダプター側のクオリティはどうでもよい」と考えたのだと思います。しかし、この構成では、回路の基準電位であるグラウンドの電位があいまいです。ACアダプターのケーブルは1.8mもあって、トランスおよび整流回路のあるACアダプターと本体のグラウンド電位は同じとはいえません。これではノイズがのってしまいます。
プリアンプPA-203の経験から、ACアダプターのケーブル長は20cm以内が望ましいというのが、私の持論です。それゆえ、PA-210 SimplicityのPSU(電源ユニット)のケーブル長は20cmにしたのです。
PCオーディオ ブロック図
この製品には明らかな問題がありました。PCに接続するケーブルのシールドがどこにも接続されておらず、電気的に浮いている状態でした。シールドがアンテナになって、ノイズを拾ってしまいました。音楽再生中に、隣の部屋の蛍光灯をオン・オフすると、エラーを起こして接続が切れてしまうというありさまでした。
ケーブルのシールドを端末側(USB DAC側)のSGに接続することで、エラーを起こさなくなりました。
もうひとつの問題点は、BusPower-Proには電源スイッチがないということです。幸い、PA-210に電源スイッチ連動のACアウトレットを備えていたので、そこから電源を取ることにしました。

音質は若干向上しました。より開放的で明るい音になったと感じました。しかし、ハイレゾを再生するにはまだ不十分と感じました。

設置方法4 − DS-DAC-10の設置場所の変更

新たな設置場所小さな変更ですが、DS-DAC-10の設置場所を少し変えたところ、音質がかなり向上しました。
それまでは、PCをTVラックの最上段に置き、その真下にDS-DAC-10を置いていました。DS-DAC-10を少しでもPCから離すように設置したところ、ほんの30cmぐらい移動しただけなのに、音質が明らかによくなりました。
PCから発生する不要輻射が、それだけ強烈だということです。もちろんPCの不要輻射はVCCIなどの規制をパスしているわけですが、情報機器に要求される性能と、オーディオ機器に対するそれでは、大きく異なります。USB DACのように、アナログ回路を含むオーディオ機器は、少しでもPCから遠ざけたほうがよいとうことです。特に、PCの真下は、不要輻射が強烈なのだと思います。

USB DACの設置場所変更による音質向上は、BusPower-Proによる音質向上を凌駕するものであったため、BusPower-Proの使用をやめました

AudioGate2AudioGateはVer.3にバージョン・アップされましたが、現在(2015年4月)もVer.2のまま使用しています。Ver.3では、いっそうの音質向上が図られたようですが、ThinkPad X121eではCPUパワーが不足し、音飛びが発生してしまうからです。
音声の再生だけなのでCPUパワーはあまり必要はないとたかをくくってThinkPadを購入したのですが、考えが甘かったようです。ただし、DS-DAC-10購入前にKORG社のウェブサイトで確認したシステム要件は、Pentium 1GHz以上でした(Ver. 3では、Core 2 Duo 2.66GHz以上となっている)。私のThinkPadは、E300 1.3GHzなので大丈夫だと判断しました。

AudioGate 2の外観は、まるでゲームソフトのそれであり、音楽を聴こうという気になりません。もっとアーティスティックなデザインにしてほしかったです。特にTVの画面に表示すると、その思いが強くなります。

比較試聴

アナログ盤 vs ハイレゾ・ダウンロード

同一タイトルとして、ビル・エヴァンス・トリオの「Waltz for Debby」が手に入ったので、聴き較べてみました。
● アナログ盤: Analog Productions APJ 009 Seq. #4419
● ハイレゾ: 96kHz/24bit、HDtracks

明らかにアナログ盤の方が良いと感じました。アナログ盤のSeq. #がもっと若いか、程度のよいオリジナル盤であれば、さらに差がついたと思います。

SACD vs ハイレゾ・ダウンロード

同一タイトルがないので、厳密な比較はできませんが、やはりSACDプレーヤー(SONY SCD-555ES)で再生するSACDの方が、高音質に聞こえます。
SACDはDSD方式を採用しているので、DSDファイル(DSFまたはDSDIFF)をダウンロードしたかったのですが、DSDを配信しているサイトはあまりなく、なじみのあるタイトルを手に入れることができませんでした。今までSACDでリリースされたタイトルは、すべてDSDで配信してほしいと思います。

CD vs リッピング・データ

手持ちのCDはすべてリッピングしてハードディスクに保管してあるので、そのデータをDS-DAC-10で再生し、元のCDをSCD-555ESで再生して、比較試聴を行いました。両者を同時再生し、プリアンプ(PA-210)のセレクターを切り替えながら聴き較べてみました。30タイトル以上を使用しましたが、どのタイトルでもCDが勝っていると感じました。

CDプレーヤーはCDの音質を改善するための処理(ディザリングなど)を行います。SCD-555ESもご多分にもれず、そのような処理をやっていて、SACDと大差ない音質を実現しています。一方DS-DAC-10はCDスペックのファイルを特別に扱うことはしていないらしく、ハイレゾに較べると、明らかに音質が落ちます。
コレクションのほとんどがCDスペックなので、CDスペックを高音質で再生できるデジタル・プレーヤーが必要だと感じました。

結論

PCから発生する輻射ノイズが予想以上に音質を劣化させていると思います。
そのこと確認するために、簡単な実験を行いました。

AMラジオによる実験

PCからのノイズラジカセでAMを鳴らしている状態で、PCに近づけてみました。やはり、PCに近づけると、ノイズが聞こえます。
また、テレビに近づけると、ノイズが聞こえてきます。液晶テレビが内蔵している強力なDSPと、液晶ディスプレイの駆動回路がノイズ源のようです。上端の通気孔から特に強い輻射が出ていることがわかりました。
なお、オーディオ機器であるSACDプレーヤーからは、ノイズを拾いません。

PCの悪影響の確認

PCのノイズによる音質劣化輻射ノイズは電磁波です。電磁波、文字通り電界と磁界の組み合わせです。電界は静電シールドで防げますが、磁界を防ぐのは困難です。NOBODYアンプは静電シールドのみで、磁気シールドをしていないので、輻射ノイズによる音質劣化が心配です。
試しに、電源を入れたPCをプリアンプ(PA-210)に近づけてみました。ケーブルは何も接続していないにもかかわらず、これだけでも音質が劣化することが確認できました。
PCとプリアンプの距離をなるべく離すべきですが、所詮は程度問題であると思います。また、ケーブルを接続すれば、不要輻射だけでなく、伝導ノイズも伝わります。PCは音質劣化要因であることは確かだと思います。


結論として、PCのようなオーディオ機器ではないデジタル機器を使用すると、必ず音質が劣化する、と考えざるをえません。不要輻射、伝導ノイズに加え、前述のようなファンの騒音も音質劣化要因です。ファンの騒音は、夏場室温が高いときに特に深刻となります。
デジタル音楽データの再生には、オーディオ機器として設計されたデジタル・プレーヤーが必要だと思います。




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